攻撃者の、名に賭けて。
…俺は人間だ。
人間として生を受け、俺は今日まで生きて来た。
…その筈だ。
しかし、目を覚ませば…
俺にはウマ娘の特徴である耳と尻尾が生えていた。
何故俺がウマ娘に?
そんな疑問は置いておくとしよう。
兎に角、俺は走り始めた。
訳が分からなくなっていたからだ。
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走り続ける内に、
俺は不思議と快感を覚え始めていた。
走る事が此処まで気持ちの良いものだとは…!
それからというもの、俺は長い間走り続けた。
気がつけば、遠く離れた場所まで来ていた。
…此処からどうやって、
俺の家まで帰るかが問題だった。
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途方に暮れながら駅に向かって歩いていると、
とあるウマ娘と出会った。
…アッシュノワール。
そう、俺の友人だった人間は…ウマ娘になっていた。
もともとアイツとは、
同じ学校で同じ部活に所属している…
つまり仲の良い関係だ。
何故、アイツだと分かったのかは分からない。
野生的な感だろうか…
アッシュから話を聞くにつれ、現状がわかって来た。
どうやら此処は夢の様な場所らしい。
厳密には夢では無いらしいが、
同じ様な物だとアッシュは言っていた。
その様な話を進めている内に、
俺の名前へと話題が移った。
名前…名前?と思っている内に、
俺の頭の中に名前が降りて来た。
“アグレッサーソウル”
…それが俺のウマ娘としての名前だった。
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それから、何年かが経過し、
俺はトレセン学園へと編入した。
何ヶ月かの間は学業詰めで大変だった。
模擬レースを終えた直後のこと。
俺は熱心な女性のトレーナーと契約し、
共にレースを駆け抜けた。
その後、俺は獅子奮迅の如く活躍を残し、
遂には”凱旋門賞”へと出走する事となった。
-日本総大将-
…そう刻まれた鉢巻と勝負服に、袖を通す。
さぁ、向かおう。
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ロンシャンレース場は異様な熱気に包まれ、
観客達はレース開始前だというのに熱狂している。
それほど、このレースは重要なのだろう。
俺は6枠のゲートに入る。
どの様な位置どりで、どの様な場所で抜け出すか…
そんな事を考えていると、ゲート入りが終わった。
…”ガシャンッ!”
耳障りな金属音と共に、レースが幕を開けた。
開始早々、
俺はあっという間に包囲されてしまった。
左右からはフランス語で罵詈雑言が飛んでくる。
…恐らくは徹底マークだ。
まぁ、そんな事は今は気にするべきではない。
…こんな展開も織り込み済みだ。
レースは澱みなく進んで行き、
フォルス・ストレート…
…偽りの直線へと差し掛かった。
それと同時に俺は、スパートを掛け始めた。
周囲は勿論、観客も動揺している様子だ。
それを意に介さず、俺はバ群の中を突き進む。
コイツらをブッちぎってやる……ッ!?
脚の回転が上がらん…!
知らず知らずのうちに負担とガタが来ていたのか…!
制御が効かん…このままじゃフェンスに…ッ!
…俺の記憶はフェンスに激突する寸前で途切れている。
結局俺は競走中断となり、
その後に意識は現実へと引き戻された。
未だ、俺はあの時の幻肢痛に悩まされている。
しかし、まだ諦めては居ない。
…