夢か、現か。   作:ST-33-4

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主人公とは別の人物の物語です。


“アグレッサーソウル”
攻撃者の、名に賭けて。


…俺は人間だ。

 

人間として生を受け、俺は今日まで生きて来た。

 

…その筈だ。

 

しかし、目を覚ませば…

俺にはウマ娘の特徴である耳と尻尾が生えていた。

 

何故俺がウマ娘に?

そんな疑問は置いておくとしよう。

 

兎に角、俺は走り始めた。

訳が分からなくなっていたからだ。

 

───────────────────────

 

走り続ける内に、

俺は不思議と快感を覚え始めていた。

 

走る事が此処まで気持ちの良いものだとは…!

 

それからというもの、俺は長い間走り続けた。

 

気がつけば、遠く離れた場所まで来ていた。

 

…此処からどうやって、

俺の家まで帰るかが問題だった。

 

───────────────────────

 

途方に暮れながら駅に向かって歩いていると、

とあるウマ娘と出会った。

 

…アッシュノワール。

 

そう、俺の友人だった人間は…ウマ娘になっていた。

 

もともとアイツとは、

同じ学校で同じ部活に所属している…

つまり仲の良い関係だ。

 

何故、アイツだと分かったのかは分からない。

野生的な感だろうか…

 

アッシュから話を聞くにつれ、現状がわかって来た。

 

どうやら此処は夢の様な場所らしい。

 

厳密には夢では無いらしいが、

同じ様な物だとアッシュは言っていた。

 

その様な話を進めている内に、

俺の名前へと話題が移った。

 

名前…名前?と思っている内に、

俺の頭の中に名前が降りて来た。

 

“アグレッサーソウル”

…それが俺のウマ娘としての名前だった。

 

 

───────────────────────

 

それから、何年かが経過し、

俺はトレセン学園へと編入した。

 

何ヶ月かの間は学業詰めで大変だった。

 

模擬レースを終えた直後のこと。

 

俺は熱心な女性のトレーナーと契約し、

共にレースを駆け抜けた。

 

 

その後、俺は獅子奮迅の如く活躍を残し、

遂には”凱旋門賞”へと出走する事となった。

 

 

-日本総大将-

…そう刻まれた鉢巻と勝負服に、袖を通す。

 

さぁ、向かおう。

 

───────────────────────

 

ロンシャンレース場は異様な熱気に包まれ、

観客達はレース開始前だというのに熱狂している。

 

それほど、このレースは重要なのだろう。

 

 

俺は6枠のゲートに入る。

 

どの様な位置どりで、どの様な場所で抜け出すか…

そんな事を考えていると、ゲート入りが終わった。

 

…”ガシャンッ!”

 

耳障りな金属音と共に、レースが幕を開けた。

 

開始早々、

俺はあっという間に包囲されてしまった。

 

左右からはフランス語で罵詈雑言が飛んでくる。

 

…恐らくは徹底マークだ。

 

まぁ、そんな事は今は気にするべきではない。

…こんな展開も織り込み済みだ。

 

 

レースは澱みなく進んで行き、

フォルス・ストレート…

…偽りの直線へと差し掛かった。

 

それと同時に俺は、スパートを掛け始めた。

 

周囲は勿論、観客も動揺している様子だ。

 

それを意に介さず、俺はバ群の中を突き進む。

 

 

フォルス・ストレート(偽りの直線)を抜けると同時に、

コイツらをブッちぎってやる……ッ!?

 

脚の回転が上がらん…!

 

知らず知らずのうちに負担とガタが来ていたのか…!

 

制御が効かん…このままじゃフェンスに…ッ!

 

 

…俺の記憶はフェンスに激突する寸前で途切れている。

 

結局俺は競走中断となり、

その後に意識は現実へと引き戻された。

 

 

未だ、俺はあの時の幻肢痛に悩まされている。

 

 

しかし、まだ諦めては居ない。

 

 

攻撃者(アグレッサー)の、名に賭けて。

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