あの後のことだ。
何気なく、自分の部屋でベッドに倒れ込んだ。
その瞬間、
俺の意識は深い微睡の中へと吸い込まれていった…
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惰眠から目を覚ますと、そこには病室の天井が。
どうやら、俺は戻ってきてしまったらしい…
この…美しくも残酷な世界へ。
今の俺…正確にはアグレッサーソウルの体は、
重篤な障害を患っている。
障害というのは、脚が思う様に動かないこと、
そして、色覚障害だろう。
前者に関しては、…常に脚が痺れている様な物だ。
…頭からフェンスに突っ込んだ筈だが、やけに軽い。
後者に関しては…
一定の条件を満たしてしまうと、
周囲が紅に染まったかの様に見えてしまう、という物だ。
レースに悪影響が及ばなければ良いが…どうだろうか。
幸いにも、
ウマ娘の体であれば障害からの回復は早いらしいが…
…本当だろうか。
という事で、俺は病院でリハビリを開始した。
毎日、思う様に動かない脚を引き摺りつつも、
手すりを伝って歩く練習を繰り返す。
時には、
上体起こしをサポーターを着けながらしたり…
時には、外科的手術を受けたり。
こんな日々が続いて早、6ヶ月。
…奇跡の回復治療というべきか。
俺の脚は、以前と遜色ないレベルで復活を遂げていた。
脚が軽く、まるで羽みたいだ。
気がつけば俺は、
病院の敷地内にある大庭園を駆け回っていた。
…その後、息を切らしてしまったが。
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その話を聞いた時、私はにわかに信じ難かった。
あれだけの重傷を負いながら、復帰するなど…
…考えても仕方がない。
私は私にできることをし続けよう。
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二者がターフに立つ時…
中山に、奇跡が舞い降りる。
その奇跡は、誰に微笑む?
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「っていうキャッチコピー考えたんだけどよ、どうだ?」
「却下です、私はそんな大層なウマ娘じゃありません。」
「ちぇ、ダメか…ならアッシュが考えろよ!」
「ゔっ…私にセンスが無いのは知ってますよね…?」
「あっ、そうなんだ。…それが何か問題?(主任風)」
「むぅ…アグレッサー、レースでは覚悟してくださいね?」
「怖い怖い…可愛い顔が台無しだぞ?」
「可愛い寄りの顔なのはそっちですよね?」
「…えっ?」
「…自覚無しですか…通りで女性人気が高いわけで…」
「んだとぉ!?」
「そう怒ってる顔も可愛いですよ。」
「っ〜…ふざけんなぁ!」ドタドタ…ガチャン!
「少し、揶揄いすぎたかな…」
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前日まで、そんなやり取りをしていたのが…
…まるで嘘みたいだ。
…有マ記念。
アッシュがかつて散った地で、俺たちは競り合う。
今年の俺は、
凱旋門賞には向かわずに有マでアッシュを迎え撃つ事にした。
全ては、ベストコンディションのアイツと戦う為…
この時の為、俺は凱旋門賞を棄てた。
…さぁて、ゲートに向かうとするか!
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私は誓った。
2度と負けないと。
そう、トレーナーに。
例え誰が相手だろうと…
…アグレッサーが相手でも。
かつて私は、この
でも、今の私は前までの私とは違う。
ゲート前へと、脚を進める。
その時、アグレッサーと私は邂逅した。
「よぉ、アッシュ。調子はどうだ?」
「完璧です。…パーセンテージで表すなら120%。」
「超完璧じゃねぇか!でもな、俺だって負けてねぇぜ?」
「む…?そういえば、そのボロ布は…?」
「見て驚け!ぬぅんっ!」
“バサァッ!”
アグレッサーはそう言うと、
身に纏っていた布を投げ捨てた。
「…っ…新たな勝負服…!」
「俺の新たな勝負服…まさに
「今回ばかりは負けられないんでね…先に待ってるぜ!」
「…君はすごいね。でも、私も負ける訳には行かないから…!」
また、始まる。
あの日の絶望も、あの時に抱いた希望も…
全てを賭けて、このレースに挑む。
今日は晴天、バ場は良バ場。
あの時とは全くの正反対。
ゲートに入る。
周囲が灰色に染まる。