転生TS巡海レンジャーさん   作:─────

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第二話

カンパニーの宇宙船を盗んだ私は、長い放浪の末に一つの惑星に不時着し、少しの間そこに住んでいた。

その星は私の元いた場所──正確には前世にいた街──に似ていたので住み心地が良かったのだ。

しかしそれも長くは続けず、私は巡狩の使命の下に旅に出た。

当時私に懐いていた女の子と、三年に一度会うと約束を残して。

 

旅に出て少し経った頃、私の宇宙船へと外部から通信が入った。

 

『あー、あー、聞こえてる?』

「どなたですか?」

『天才クラブ#83番、これでわかる?』

「……存じ上げず、申し訳ありません」

『えっ?……はぁ、自分で言うと馬鹿っぽいけど、取り敢えずは宇宙指折りの天才、そう思って』

「そうですか。そのような方が、一介の巡海レンジャーに連絡を?」

『それはあなたが()()()()()()()()()()だから。理解してるでしょ』

「……はぁ、私に何を望むのです?」

『近くに私の宇宙ステーションがあるの。受け入れ準備はさせてるから、すぐに来て。話はそれから』

 

宇宙ステーションに訪れると、そこは今まで私が見たこともないような技術の結晶だった。

出迎えをしてくれたアスターと名乗る少女の案内を聞きながら、私がステーションを隅々まで歩いて回っていると

 

「ねぇ、いつまで待たせるつもり?」

 

気がつけば、小さな少女の人形が背後から私に話しかけていた。

 

「おや?」

「私がヘルタ。あなたから二システム時間分ほったらかしにされた──あなたを呼んだ張本人。覚えておいてね」

「あっ……、すいません。あなたの宇宙ステーションがあまりに素晴らしかったので、隅々まで見学して感想をあなたにお伝えしたいと思って」

「……そう、心遣いだけ貰っとくね。ついて来て」

 

ヘルタさんは明らかに不機嫌な様子で私に背を向ける。

彼女について歩いていくと、たどり着いたのは小さな一室。

曰くそこはヘルタさんのオフィスらしい。

 

「初めまして、巡海レンジャー()()

 

至弦、それは私が今名乗っている名前。

元の名前は長く名乗らずにいるうちに忘れてしまった。

 

「それにしても、噂では女だって聞いてたんだけど、()だったなんてね」

「ははは、噂とはいつも信用ならないものですよ」

「この目が正しいのか、噂が正しいのかは聞かないでおくね」

「……ありがとうございます」

 

旅を始めて少し経った頃、私が初めて自分自身を見つめた時、私は私自身の自認の歪さに気がついた。

長寿の生命体というのはやはり体感時間が短い、体感時間だけで語るのならば前世の記憶の印象というのはかなり大きく、私は自分がまだ男であると思っている節が大きい。

しかし私の体は女で、女として生きてきた時間も体感時間は短いが前世の数十倍の時間を生きてきた。

その結果、私は自身が男か女か、そんなことすらわからなくなり結果として巡回レンジャーとしての私は名前と性別という大きなパーソナリティを失ってしまった。

その為、今の私は仙舟羅浮で手に入れた至弦という名前を名乗り、容姿も幻術を使用して行く先々で変えている。

 

「それで、話なんだけど」

 

「私があなたの知りたいことを教えて、調べて、知る手伝いをしてあげる。その代わりにあなたは私のためにデータを提供する。これでどう?」

「えぇ、構いませんよ」

 

そうして、いくつかの質問と計測を行なっていると、突然ステーション内に警報が鳴り響く。

 

「……ヘルタさん、申し訳ございませんが私は──」

「巡海レンジャーとして、でしょう?なるべく早く終わらせてきて」

「……感謝します」

 

ヘルタさんの返答を聞いたと同時に、私は走り出した。

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