転生TS巡海レンジャーさん 作:─────
宇宙ステーションへ到着すると、そこには苛立ちを滲ませた様子のヘルタが仁王立ちで待ち構えていた。
「……やっと来たんだ。私はてっきり、カンパニーに討ち取られたんだと思ってた」
「………………その節は誠に申し訳なく──」
「本当に思ってる?」
「……はい」
「そう。じゃあ前と同じ部屋まで来て」
「はい、直ぐに伺います」
至弦は星穹列車の面々からは少し憐れみの目線を向けられたような気がしたが、気にせずヘルタのオフィスへ向かった。
「……さて、結論から言うね。一つ目、君の同胞に生き残りはいない」
「やはり、そうですか」
「うん。そして二つ目、あなたの幻覚のメカニズムについて」
「解析できたのですか?」
「ある程度はね。まずは……」
ヘルタの言葉に応えるように数体のヘルタ人形が至弦の元に集まった。
そして、ペタペタと彼女の体を無遠慮に触り始める。
「……えっと?」
「あなたの幻覚には二つの種別があるの。そのうち片方ではあなたの身体から憶質が放出されてる。今はそのための特別な器官がないか調べてるところ」
「えっと……ありました?」
「うん、なさそう。そうなると皮膚からの分泌の可能性が一番高いんだけど──あなた、解剖されてみる気はない?」
「ありませんよ」
「だよね」
その時、警報が鳴り響いた。
「……デジャヴ、ですね」
「はぁ、全く運がない。いいよ、行ってきて」
「感謝します」
──────────
宇宙ステーション『ヘルタ』内部にて
「状況は?」
「あまり芳しくないわ」
「そうか、なら僕が出る」
列車に乗っていた時とは打って変わった至弦の様子にたじろぎつつも姫子が彼女の仲間である列車組の座標を共有すると同時に、至弦は霞のようにその場から消えた。
そして、彼は反物質レギオンに囲まれた列車組と一人の少女の前に現れた。
手にした双剣で最も手近な二体を切り伏せると、一同の方へと目を向け
「無事か?」
「うん、なんとか無事!って、至弦ってその名前で双剣?」
「……彼の剣は二つ合わせて弓になる。仙舟で彼のために作られた武器だ」
なのかの疑問に丹恒が答えた。
すると至弦は
「軽口を叩けるなら無事だな」
そう言うと同時に指を鳴らした。
すると、反物質レギオンはそれぞれおかしな動作を始める。
困惑する丹恒となのかに至弦が
「ほら、騙せてるうちに早く!」
「っ、幻術か!助かる!」
「う、うん!ほら、アンタも早く!」
なのかが灰色髪の少女の腕を引っ張り、三人は姫子のあるエリアまで無事撤退した。
しかし、まだ終わりではない、なぜなら終末の獣が目前を飛んでいるからだ