親愛度+6000   作:名無しの権左衛門

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R-15は、鼻血の表現をするために記載しています。


マンハッタンカフェ

 

 どうも、去年新人として入社したトレーナーっす。

実は最近後輩として気にかけてやってほしいと頼まれ、ずっと見てきている今年の新入社員がいる。

 新入社員は男性で、雰囲気は柔らかくて包み込む感じ。

包容力があり、言葉も相手の心を包み込む聖人君子みたいな男だ。

といっても、まだ自分は話しかけたりしていない。

そこらへんは女性の同期や先輩から、よく耳に入ってくるからだ。

 

 入社式から一週間が経過した。新入社員の彼もそろそろ学園に慣れてきた頃合いだと思う。

これからトレーナーとして、専属かチームかに分かれて各々ウマ娘のために

動き出さなければならない。

 そのためにまずはスカウトの活動というわけだ。

今日も彼は正門前に来ているのだろうか?

 

 さて、アグネスタキオンが彼に懐いて行ってしまってから、なかなかコンタクトが取れずにいた。

まあ彼女も色々理由があるだろうし、あまり気にしていない。

それよりもまずは、あの彼が誰を導くのか気になるところだ。

 

「何をしてらっしゃるのですか?」

 

 後ろからダウナー系の声が聞こえる。

後ろを振り返らなくてもわかる。

複数の気配と一つの現し世。マンハッタンカフェとその御一行様だ。

今日はサンデーサイレンスの残滓だけでなく、他にも同期のウマが来ていると思われる。

 自分はカフェが建物から他者を覗き込む変態さんだと思ったのか、

視線の先にいるトレーナーを見て少し引いていた。

 

「横恋慕ですか? 男性同士でその……ダメだとはいいませんが……」

「そういうんじゃないよ、カフェさん」

「では、一体何だと言うんです?」

 

 一緒に建物の影から覗き込む。

ウマ娘の目からどう見えているんだろうか。タキオンのように、鼻血ブシャー

しないだろうか。

今度こそ、生徒たちを助けないと。

 

「新人トレーナーさんでしょうか……?」

「うん。ちなみに、タキオンは彼に絆された」

「……え? まさか……そんな……」

「どうしたの?」

 

 カフェさんが思い当たる節があるのか、思案にひたる。

少しばかり気になったので、お願いをしてみる。

カフェさんは快諾し、一部始終を教えてくれたぞ。

 その内容はタキオンさんが、今までにない明るい表情と雰囲気をまとって

愛妻弁当なるものを作って持っていったらしい。

その弁当を作る前に、カフェさんが味見を幾度とされたので

味に関して言えば問題ないとされた。

 

「何があったんですか?」

「あのトレーナーと目を合わせたら良いと思うよ」

「……目?」

 

 タキオンさんとは以前、保健室に先生がいなくて捻挫のテーピングをしてもらえず、

そこで偶然出会った時以来の仲だ。

別に友達というわけではないが、活動時間が合っているのか

妙にばったり出会うことが多かった。

 まあ、ちょっとした仲間という感じだったわけだ。

それがどうだ。入ってきて2日とたたず、タキオンさんは彼にやられてしまった。

 

 仕方がない。顔面偏差値でいえば、あのトレーナーはホストで行ける口。

最低限の服装と最低限の身だしなみをしているヤツに、あんな表情を出す

子はいない。

 まあ、健全な距離感を保ちやすいから、この業界はそこまでイケメンでなくて気が楽

だったりする。

 

「ぇ、あ……?」

「カフェさん、鼻血が出てるよ」

 

 自分はタキオンさんにできなかったことを、カフェさんに行おうとした。

だが。その手を払われ、ハンカチが宙を舞う。

すくっと立ち上がって、彼の下へ走っていき鼻血の止血作業を行うのだ。

 これ、いつか見た景色だ。

ウマ娘が夢中になる甘いマスクに惑わされ、そのまま手を繋いで学園外に出ていく。

カフェさんは誰にも見せることがないような、明るく光が指した表情を向け

寵愛を注ぐのだ。

 

 自分はスマホでLANEの自分用メモの場所を開き、後ろへ振り返る。

 

「なあ、サンデーサイレンス、イージーゴア、アンブライドルド。

どう思うよ」

 

<アレは圧倒的だ

 

<魂のレベルが違う

 

<ウマ娘に注がれる魂とその残りカスとじゃ、話にもならん

 

「諦めろっていいたいのかよ……!」

 

<オレらの強い闘争心が宿っているのに、それを凌駕する本能

 

<性別は肉体に宿るから、魂に色はない

 

<優秀な遺伝子を残すために、レース成績の良さが関係している

 見た目でダメなら、なにを行えばお前の男としての価値が生まれる?

 

「わかった。奪われないよう、努力する」

 

 そう意識を変えて取り組んでみたものの、後に出会ったサンデーサイレンスが

あのトレーナーに魂レベルで包みこまれ完全に絆されていたことが判明した。

ただただ、苦虫を噛み潰すしかなかったんだ。

 

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