◇◆ 摩耶、新たな戦利品を手にする ◆◇
試着室での 激戦 を終え、ようやくお気にのワンピに着替えた摩耶は、パンプスを履き、レジへと向かった。
さっきまでの死闘が幻だったかのように、店内は優雅な空気が漂っている。
(……終わった……終わったよな……?)
思わず、心の中でしみじみとつぶやく。
姉たちの "超特急試着作戦" に巻き込まれ、気づけば 白と黒のランジェリーが戦利品として確保されていた。
(……いや、ほんとにこれ、アタシの意思入ってたか?)
そんな疑問を抱きつつも、店員さんが 白のセットと黒のセットを、それぞれを丁寧に薄紙に包んでいく光景 をぼんやりと見つめる。
ランジェリーを包む柔らかそうな白い薄紙 は、明らかに摩耶が今まで見たことのない代物だった。
(……この紙……なんか、高級な感じがする……)
今までの摩耶の買い物といえば 「ビニール袋入りセール品、以上!」 というシンプルなものだった。
それに比べると、この包装の時点で 何か異次元のオーラを放っている 気がする。
そして、もう一つ、摩耶の脳内にひっかかっていた謎のワード——
「てぃーばっぐ」
(……てぃーばっぐ? ……てぃーばっぐ…… 紅茶のアレだよな……?)
シンプルイズベストを信条としてきた摩耶にとって、パンツのデザインなんて 「履ければOK」 以上の概念は存在しない。
(まぁ……帰って開けてみれば分かるか)
そう軽く考えていた摩耶だったが——
この数時間後、 自宅の鏡の前で「人生最大級の衝撃」に見舞われることになろうとは、 この時の摩耶は知る由もなかった——。
◇◆ 姉たちからのプレゼント ◆◇
「お包みが完了しました。」
店員さんが、 お洒落な紙袋 にセットを入れ、摩耶に手渡してくれる。
その瞬間——
「高雄様と愛宕様からのプレゼントだそうです。良かったですね、摩耶様♪」
摩耶の脳内に、衝撃音が鳴り響いた。
(ななななっ……なにぃぃぃ!?)
「プレゼント」
(いやいやいや、待て待て待て待て!!!)
「プレゼント」
(そんな大事なこと、アタシ聞いてねぇよ!?)
「プレゼント」
(つまり……アタシの支払いじゃなくて、姉さんたちが出してくれたってことか!!?)
顔が一気に 真っ赤 になる摩耶。
口を開こうとするが、言葉が出てこない。
嬉しいのに、恥ずかしい。
恥ずかしいのに、嬉しい。
感情がグルングルンと渦巻く。
「……ありがとう……高雄姉、愛宕姉……」
本当はもっと感謝の気持ちを伝えたかった。
でも 恥ずかしさと嬉しさがせめぎ合い 、うつむいたまま、か細い声しか出せなかった。
そんな摩耶の 心の中をすべて理解している姉たち は、優しげに微笑んでいた。
高雄は 「うんうん、いい買い物だったわ!」 と言わんばかりの満足げな表情で頷き、
愛宕は 「ふふっ、摩耶ちゃん可愛い♡」 という視線を送ってくる。
◇◆ 摩耶、次なる海域へ ◆◇
「じゃあ、次は ランチに出撃 ですわよ!(キリッ)」
高雄が旗艦モード に入り、颯爽と歩き出す。
その隣で、愛宕が元気よく 敬礼ポーズ を決める。
「ラジャー!(ニコッ)」
その光景を見て、摩耶も 思わず笑ってしまった。
(……そうだ……せっかくの姉妹デートだし、ここは素直に楽しもう。)
お洒落な紙袋に 新たな戦利品を収め 、摩耶は二人を追う。
——だが、このときの摩耶は、「てぃーばっぐ」という未知の存在によって、再び運命に翻弄されることになるとは夢にも思っていなかった……