摩耶、新たな海域へ
◇◆ 摩耶、戦利品と共に新たな海域へ ◆◇
ランジェリーショップを後にし、姉妹三人でランチへ向かう道すがら。
摩耶は、可愛らしい紙袋を肘にかけながら、少し姉たちの後ろを歩いていた。
高雄と愛宕は並んで歩き、何やら楽しげに談笑している。
その優雅な佇まいは、まるで映画のワンシーンのようだった。
(……いやいや、なんでこんなに絵になるんだよ……)
摩耶は二人の後ろ姿をぼんやりと見つめた。
◇◆ 美の化身たち ◆◇
高雄の私服は、上品でクラシカルなワンピース。
深いネイビーのフィット&フレアのシルエットで、ウエスト部分がほどよく絞られたデザイン。
彼女の引き締まったスタイルを際立たせる、落ち着いたが女性らしさのある一着だ。
胸元には控えめなレースの装飾が施され、清楚で気品のある雰囲気を醸し出している。
足元はシンプルなパンプス。ヒールは高すぎず、それでいて女性らしい美しさを引き立てている。
髪は風にそよぐたびにふわりと動く。
背筋をピンと伸ばし、所作のすべてがエレガントで、道行く人々の目を引いていた。
(……高雄姉、マジでモデルみたいだな……)
愛宕の私服は、まさに彼女らしい華やかさを備えたものだった。
淡いシャンパンゴールドのブラウスに、柔らかく揺れるホワイトのロングスカート。
ブラウスの胸元には、上品なフリルが施されていて適度なフェミニンさがある。
ほんの少しだけ開いたVネックが、彼女のデコルテの美しさを際立たせる。
ロングスカートはふわりと広がり、歩くたびに軽やかに揺れる。
彼女の金色の長い髪は、今日はハーフアップにまとめられ、光を受けて輝いている。
ほんの少しヒールのあるヌーディーベージュのサンダルを履き、颯爽と歩く姿は、まるでモデルのようだった。
(……いや、これもう美の暴力だろ……)
◇◆ 摩耶、姉たちの美しさを再認識する ◆◇
どこを歩いていても、道行く人々の視線を集める姉たち。
そのオーラは、ただの「美人」ではなく、洗練された大人の女性そのものだった。
(なんかさ……ファッション雑誌に載ってる人たちみたいだよな。)
摩耶は、重巡寮の談話室に置かれたファッション雑誌を思い出した。
暇つぶしに何気なくめくったページに載っていた、一流ブランドを纏ったモデルたち。
それと同じような空気を、今、目の前を歩く姉たちから感じる。
(……アタシは……?)
ふと、自分の姿を振り返りたくなる。
提督に買ってもらった白のワンピース(新妻風?)
お気に入りの可愛いパンプス。
(……なんか、ちょっと場違い……?)
そんな言葉が、脳内にぽつりと浮かんでしまう。
◇◆ 摩耶、姉たちと並ぶ ◆◇
「もう、摩耶ったら! なんで離れて歩いてるの?」
愛宕が、くるりと振り返って微笑みながら手を差し出す。
「せっかくの姉妹デートなんだから、一緒に歩きましょ♡」
「……う、うん。」
摩耶は少し戸惑いながらも、愛宕の隣へと並ぶ。
ふと、歩道脇のウインドウガラスに目を向けると、映り込んだ三人の女性の姿。
黒髪のショートカット。金髪のロングヘア。そして、茶色の髪——
(……三人目、アタシ、じゃん。)
摩耶は呆然とした。
ショーウィンドウに映る女性たちは、どこから見ても「美しい大人の女性」だった。
その一人が、自分——摩耶自身だということに、一瞬現実感を失う。
(これ……アタシなの……?)
◇◆ 摩耶、姉たちに現実を突きつけられる ◆◇
「摩耶、みんなに見られてるわよ?」
愛宕がくすりと微笑みながら囁いた。
摩耶が驚いて周囲を見回すと、確かに道行く人々の視線がこちらに集まっている。
「そ、そんなわけないだろ……」
「そんなことないわよ。ほら、あそこの人、摩耶のこと見てたわよ?」
「な、なんでそんなこと言うんだよ……」
「摩耶、綺麗だもの……。」
愛宕がそう言うと、高雄も微笑みながら頷いた。
「ええ、とても素敵よ。」
「……そ、そう?」
摩耶は頬をかすかに赤らめながら、姉たちの言葉を照れくさそうに受け止めた。
(……アタシ、ちょっとは「大人の女性」になれてるのかな……?)
心のどこかで、ほんの少しだけ期待する自分がいた。
——そんなことを考えながら、三姉妹はランチの目的地へと歩を進めるのだった。