【シャワールーム】
「摩耶ちゃん、アナタ下着ってどうしてるの?」
シャワールームに響く、高雄の穏やかな声。
しかし――その言葉は摩耶の心を直撃した。
「――えっ?」
(い、今なんて言った!?)
(……下着!? 下着の話か!? ここで!? 何で!?)
予想外すぎる質問に、摩耶の思考がフリーズする。
本能的に、自分の視線がゆっくりと下へ向かう。
そこには――
**洗濯を重ね、ヨレヨレになった、色もデザインも地味なパンツ。**
(……え、ちょ、待て、なんか思ったよりダメージがデカいぞコレ!?)
生地がくたびれた感じが否応なく目に入る。
伸びかけたゴム、全体的に色褪せた生地、圧倒的にイケてないデザイン――。
(あっれぇ!? アタシこんなの履いてたっけ!?)
(いや、履いてたよ!? いつも通りだよ!? でも今見ると、これ、結構……いや、相当ヤバくねぇか!?)
摩耶の脳内に警報が鳴り響く。
***
【摩耶の脳内パニック】
高雄がじっとこちらを見ている。
(やべぇ、なんか言わなきゃ!!!)
焦るあまり、思考がまとまらない。
摩耶は苦し紛れに口を開いた。
「あ、あのさ、ちょっと着古してるけど、大丈夫っていうか!! ほら!! まぁ、その、アタシ出撃とか色々立て込んでるじゃん?」
(何が「ほら!!」だよ!!!)
「で、で、でも、あの、提督が!! そう!! 立て込んでる時は提督が下着も洗濯してくれるから、まぁ、アタシそんなに気にしなくていいっていうか!!」
高雄「…………。」(静かに聞いている)
(やばい、全然まとまってねぇ!!!)
「でさ、薄くなって穴が空きそうになったら提督が教えてくれるからさ!! そしたら適当に近所の店でセール品買って補給してるっていうか!!」
(言ってて、自分でも悲しくなってきた。)
高雄「…………。」(微動だにしない)
摩耶「……いや、あの……ほら、ちゃんと自分で洗濯もしてるし、そんな変なことじゃ……ない、よね?」(目が泳ぐ)
(でもなんか……高雄姉、どんどん表情が険しくなってないか……!?)
摩耶は焦る余り、さらに余計なことをしゃべり始める。
「あ、あと、提督に言われたことあるぜ!!」
「ネットで可愛いの探してみたらって!! でも、アタシ、あいつと下着選ぶとか、なんか恥ずかしいし!!!」
(……えっ、何これ……なんかもう後戻りできねぇ……!!!)
摩耶の言葉は暴走を続ける。
「で、デパートの下着売り場の話も出たけど!!」
「提督連れてったらあいつ絶対恥ずかしがるし!!!」
「それに店員さんとかに『あら~奥様に選んであげるんですか?』とか言われたらさ、なんかアタシが尻に敷いてるみたいな誤解与えちゃうし!!!」
(うわぁぁぁぁぁ!!! 何言ってんだアタシ!!!)
(しかも、「奥様に」って何!? この状況でアタシ何そんな具体的な想像してんの!?!?)
しかし、摩耶は完全にテンパっており、もはや制御不能。
「だ、だから!! アタシって、あれだよね!! 提督を立ててるし!!」
「家計のこともちゃんと考えてるし!!!」
「**妻の鏡だよね!?**」
そして――
摩耶は、トドメの一撃を自らに放ってしまった。
「**摩耶ちゃんセーフ! テヘペロ♪**」
(あ、終わった。)