◇◆ 一日を締めくくるデイリー任務??? ◆◇
食後のゆったりした時間。
摩耶はお気に入りのソファに腰掛け、湯気の立つカップを両手で包み込むように持っている。紅茶の優しい香りが漂い、体の芯までじんわりと温まる。
(ふぅ……落ち着く……)
一口、ゆっくりと紅茶を味わう。
――その瞬間。
(……ん? 紅茶……? ティーバッグ……? てぃーばっぐ ……てぃーばっく!?)
摩耶の脳内に、 「Tバック」 という単語が電撃のように駆け巡る。
(ちょっ……待て!! なんで紅茶飲んでるだけで Tバックが浮かぶんだよ!?)
一人で飲みかけの紅茶を見つめ、 じわじわと羞恥がこみ上げてくる。
(いやいやいや! ティーバッグ!! ティー!! バッグ!! それ以上でも以下でもねぇ!!)
しかし、 「黒のTバック姿でお姫様抱っこされる自分」 のビジョンが脳裏をかすめる。
(違う違う違う!! 紅茶飲んでるだけなのに!! なんでアタシ、下着想像してんだよ!!///)
「……摩耶?」
「はっ!?!?」
突然、隣の提督の声が飛び込み、摩耶は ビクッ!! と肩を跳ね上げた。
「ど、どしたよ!?」
「いや……何か、すごい真剣な顔して紅茶見てたから……」
(……しまったァァァァ!!)
摩耶は、そっとカップを口元に運び、誤魔化すように紅茶をすする。
「な、なんでもねぇよ!! 紅茶が美味いだけだ!!」
「そっか……それはよかった」
(……危ねぇ……今めっちゃ変な顔してなかったかアタシ……)
摩耶は 一人で勝手に恥ずかしくなりながら、紅茶の香りを楽しむふりをする。
隣の提督は何も知らず、穏やかに紅茶を飲んでいた。
そんな中、提督がふと口を開いた。
「そろそろお風呂タイム?」
――優しく微笑みながらの一言。
摩耶の脳内に一気に警戒音が鳴り響く。
(……きた……一日を締めくくるデイリー任務の時間が……)
(……っていうか!! さっきの Tバックの件を思い出したばっかりなのに!! なんでこのタイミングで風呂だよォォォ!!///)
しかし、そんな摩耶の動揺には気づかず、提督はクスリと微笑んでいた。
そう、摩耶にとって「提督と一緒のラブラブお風呂タイム♡」は、デイリー任務でありながら、最大の照れポイントでもある。
本音を言えば、楽しみ&大好きで仕方がない。
ぬるめのお湯に二人で浸かって後ろから抱きしめられたり、提督が摩耶の髪を優しく洗ってくれたりするのが心地よすぎて、ついつい毎回デレてしまう。
しかし、それを素直に認める摩耶ではない。
摩耶は照れ隠しもあって、いつもの反応を即座に発動した。
「毎日毎日、オマエもよく飽きねぇな!!」
――「ツン」を発動したつもりだったが、摩耶は気づいていなかった。
その時の自分の顔が、めちゃくちゃ緩んでいたことを。
提督はクスリと微笑みながらカップを置き、ゆっくりと立ち上がる。
「よし、じゃあ準備するか……」
そう言うと、自然な動作で摩耶の手を取り、指を絡ませるようにそっと握った。
「……っ!!」
突然の手つなぎに摩耶は小さくビクッとするが、拒む理由はどこにもない。
むしろ、こうやって手を繋ぐのはすごく好きだ。
(……アタシ、もう完全にダメじゃん……)
そう思いつつ、提督の手のぬくもりを感じながら、部屋着を脱ぎに二人でベッドルームへと向かう。
◇◆ 摩耶、己のミスに気づく ◆◇
ベッドルームに二人で入り、クローゼットの扉を開く。
摩耶はいつものようにお気に入りの部屋着――Tシャツとショートパンツを脱いでハンガーにかける。
(部屋着、今日出したばっかだから、洗濯は明日の夜でいいか……)
そう思った瞬間。
摩耶は 己の大失態 に気づいてしまう。
(……え?)
鏡に映る自分の姿。
――黒の下着。シースルー。しかも、ショーツはTバック。
摩耶の脳内に、忘れていた絶望的な事実が突きつけられる。
(……ぎゃあああああああ!!!!)
一瞬で全身が真っ赤に染まり、思考回路が完全にショートする。
「摩耶……」
不意に提督の声が聞こえ、摩耶はビクッとする。
恐る恐る振り向くと――
提督は、いつもの穏やかな微笑みを浮かべているが、超嬉しそうに摩耶の姿を見ている。
「摩耶、それ……今日買ったやつ……?」
(ちょ、ちょっと待て!! 何、超嬉しそうな顔でそんなこと言ってんだよ!!)
「い、言うなァァァ!!///」
摩耶は全力でジタバタし、慌てて浴室に向かおうとする。
その瞬間。
足がもつれ、摩耶の体が大きく傾く。
(――やっべ!!)
完全に倒れる――と思った次の瞬間、摩耶の体はふわりと宙に浮いた。
提督の腕がしっかりと摩耶の腰と背を支え、軽々と抱きとめる。
そう―― お姫様抱っこで。
◇◆ 摩耶、お姫様抱っこで爆発寸前 ◆◇
「えっ……?」
摩耶の思考が停止する。
黒のTバックのまま、完全に無防備な状態で、お姫様抱っこ。
昼間の一人ファッションショーでの自分の妄想を思い出し、顔から火が出そうになる。
提督は 「摩耶は軽いね」 と何気なく言いながら、余裕の笑顔を浮かべている。
(いやいやいや!! そんな余裕のある顔すんなァァァ!!)
「な、何持ち上げてんだよ!?///」
摩耶は全力で抵抗しようとするが、力は弱い。
「だって、危なかったし……それに、こうやって運んであげるのもいいかなって」
「お風呂まで運んであげるね♡」
(は、はぁぁぁ!?)
「お、おろせェェェ!!///」
ジタバタと暴れるが、提督はまったく動じず、そのまま 浴室へ。
摩耶 「やめろォォォォ!! こんな姿で風呂場に連行されるとかマジで勘弁!!!」
しかし、提督は一切止まらない。
(あ、これ……ダメだ……アタシ、完全に負けてる……)
◇◆ 摩耶、浴室に無事(?)連行される ◆◇
提督は優雅に摩耶を抱えたまま、浴室の床にそっと降ろした。
「よし、到着」
「到着じゃねぇぇぇぇ!!!///」
摩耶は顔を真っ赤にしながら、全力で抗議する。
しかし、そんな摩耶の姿を、提督はただニコニコと眺めるだけ。
「摩耶、ほんとに可愛いよね」
(……ちょっ、お前、それ反則だろ……///)