摩耶、甘い朝の目覚め
◇◆ 朝の訪れ、甘い記憶 ◆◇
「……チュン、チュン……」
遠くから聞こえてくるスズメのさえずり。
レースカーテン越しに差し込む、朝の穏やかな光。
そよぐ風が、摩耶の頬をそっと撫でていく。
柔らかい布団に包まれたまま、摩耶は ふわりとしたまどろみの中にいた。
(……ん……?)
身体を小さく丸めたまま、微かにまぶたが震える。
でも、まだ目を開ける気にはなれない。
(……なんか……すげぇ気持ちいい……)
じんわりとした温もりが、心地よく全身に染み渡る。
まるで誰かに抱きしめられているような、そんな安心感。
(……提督……)
隣に提督の姿はない。
(提督、先に起きたのか……)
まどろみに浸る摩耶。
昨夜の記憶が ゆるやかに浮かび上がってくる。
◇◆ 甘く蕩ける夜の記憶 ◆◇
(……っ!?)
――突然のフラッシュバック!!
(あっ……あんなこととか……こんなこととか……!!!)
一瞬で、全身がカッと熱を帯びる。
(や、やばいやばいやばい!!!)
昨夜の記憶が、まるで映画のスローモーションのように 鮮明に蘇る。
(提督の……あの声……あの手……アタシ……)
ガバッ!!!
摩耶は 寝起きとは思えない勢いで布団をかぶる。
(ダメだ! 思い出したら死ぬ!!!)
しかし、脳は記憶の再生を止めてくれない。
甘く優しい声が、ふわりと蘇る。
(「……摩耶、行くよ」)
(わぁぁぁぁぁぁぁ!!!!//////)
(「……うん……来て……」)
(アアアアアアアアア!!!!)
ドカッ!
布団の中で足をバタつかせる摩耶。
(アタシ、どうしたらいいの!!!??)
悶絶しながら、布団の中で全身を使ってジタバタする。
そして脱力。
そっと自分の胸に手を当ててみる。
(……めっちゃ……心臓、ドキドキしてる……)
この甘い余韻、どうしたらいいのか分からない。
でも 幸せすぎる。
◇◆ 寝間着に着替えた記憶が……ない……? ◆◇
(……ん?)
ふと、摩耶は寝間着を着ていることに気づく。
薄いピンクのTシャツと柔らかい白のショートパンツ。
提督も「可愛い」と誉めてくれた、お気に入りの寝間着。
(……あれ?)
昨夜、摩耶は そのまま提督の腕の中で眠りに落ちたはず。
(……え?)
つまり――
(……提督がアタシに寝間着を……?)
ゴクリと生唾を飲み込む摩耶。
ショートパンツのウエスト部分を そっと引っ張る。
(……え?)
覗き込むと、そこには 見慣れたヨレヨレのパンツ。
(……えっ……)
(えっ……)
えええええええええええええええ!!!!???
摩耶 大パニック。
(ちょ、ちょ、ちょっと待て!!!)
(ね、寝間着を着せてもらうのは、まぁ……うん……でも……)
(パ、パンツまで……!?!?)
枕を抱えたまま ジタバタする摩耶。
(アタシ、提督に履かせてもらったの!?)
(いやいやいやいや!!!)
(アタシ、寝てたよな!? 意識なかったよな!?)
(つまり……その間に……!!!!)
布団の中で再び悶絶。
(アタシ、どうすればいいの!?!?)
◇◆ 気づくと、朝の光が…… ◆◇
ジタバタと悶えまくった後、摩耶はようやく ふぅ…… と息を整える。
(……落ち着け……落ち着けアタシ……)
視線を寝室の中へと向ける。
ふと、遮光カーテンが開けられている ことに改めて気付く。
(……ん?)
朝の柔らかな光が、レースカーテン越しに部屋へと注ぎ込んでいる。
それが、まるで 「おはよう」 と語りかけてくるような、優しい光。
(……なんでカーテン開いてんだっけ?)
昨夜、夜戦(意味深)の前に閉めたはず。
つまり――
(……提督が、開けてくれたの……?)
そう気づいた瞬間、摩耶の心が ふわりと温まる。
(……アタシが朝、自然に目覚めるように……?)
(……まったく、どこまで優しいんだよ……///)
(……提督、アタシのこと好きすぎる……///)
つい ニヤけそうになる顔を、枕に突っ伏してごまかす摩耶。
◇◆ 摩耶、時間に気づく ◆◇
(……今日は……何か……大事な……)
ぼんやりと、頭の奧から記憶が浮かんでくる。
(……確か……今日は……朝イチで……)
(……演習……?)
摩耶は 寝ぼけたまま、枕元の目覚まし時計に視線を向けた。
(……ん……?)
カチ、カチ、カチ――
(……んんん!?)
目に映った時刻――
「08:30」
「……っ!!!!???」
(……えっ、マルハチサンマル!?!?!?)
目覚まし時計を二度見する摩耶。
(……演習、朝イチで……!!!)
(…………)
視界の端で何かが動く……。
視線を向けると、枕元にちょこんと座る妖精さん。
妖精さん、残念そうにうなずきながら、静かにプラカードを掲げる。
プラカード『小破(寝坊確定!)』
【摩耶の脳内】
── ERROR: INFORMATION OVERLOAD ──
【現在、状況を処理中……】
【……情報過多のため処理に失敗しました】
【強制再起動します】
(………………再起動中)
(………………再起動中)
(………………再起動完了)
「ちょ、待っ……えっ!? やばいやばいやばい!! 提督………提督ぅぅぅぅ!!! どうしよどうしよどうしよ!!???」
寝室に摩耶の 絶叫が響き渡った――!!!