◇◆ 摩耶、妖精さんネットワークに感謝 ◆◇
制服を身に纏った重巡摩耶、ロッカールームを出て食堂に向かう。
(……まずは、腹ごしらえ……)
昼も近いせいか、廊下では何人かの艦娘とすれ違う。
手に持った私用スマホのロックを解除し、親指でLINEのアイコンをタップ。
(……やっぱ、妖精さんってすげー……)
鎮守府のロッカールームでは、私用スマホはネットに繋がらない。
外部との通信を完全に遮断する“閉域エリア”扱いで、通知の確認はできても返信はできない。
でも、一歩外に出た瞬間――
妖精さん外部ネットワークに自動再接続。LINEも即復活。
摩耶は結構感心しながら、通知欄の一番上に表示されている「明石」の名前をタップする。
◇◆ 明石、轟沈寸前のお知らせ ◆◇
グループ名:「全艦娘連絡」
差出人:明石
【緊急連絡】
本日11:30現在、私用スマホが接続されている妖精さんネットワークに通信輻輳が発生中です。
午後より急遽ネットワーク最適化工事を行います。
※スタンプを連打している犯人は全員自覚して下さい!
明石は轟沈寸前です。お願いだからスタンプ控えて!!
……ほんとお願いだから!!
摩耶は「ん?」と眉をひそめる。
(スタンプ……?)
自分が送ったLINEの履歴を、親指で画面を滑らせながら見返してみる。
(……アタシ……めっちゃ妖精さんスタンプ使ってんじゃん……!)
ハート、ぐるぐる目、猫パンチ、ピヨる妖精さんスタンプ――
見事なまでの乱舞。
(あああ……ごめん、明石……)
◇◆ 鳥海、いつも通りの追撃 ◆◇
そのとき、新着通知がピロンと届いた。
送信者は――妹の鳥海。
摩耶の胸に、小さく緊張が走る。
グループ名:「高雄型の三と四」
差出人:鳥海
もう鎮守府?
(……鳥海から、何か来た!)
(……なんで二人でグループ作ったんだっけ……?)
摩耶は鳥海から届いた「グループ名:高雄型の三と四」の通知を見て、あらためて素朴な疑問を抱く。
(……二人のグループって、意味ないじゃん……)
(いや……たしか、LINE始めたばっかの頃に作ったんだよな……たぶん。なんか理由あった気がするけど……もう忘れた)
画面を見つめながら、小さく首を傾げる。
(でも……間違えて“高雄型4姉妹”の方に返したらマジで終わるし……)
摩耶は深呼吸して、慎重に《高雄型の三と四》をタップする。
鳥海:
いる?
摩耶:
おぅ!
鳥海:
お昼どする?
摩耶:
食堂で焼き魚定食
鳥海:
一緒OK?
摩耶の指が止まる。
スマホを持つ手が、わずかに震える。
間を置かずに、鳥海の追撃LINE
鳥海:
OK?
(……………………)
摩耶:
おけ
摩耶:
なんかあった?
◇◆ 摩耶、妹には弱い…… ◆◇
鳥海:
食べながら話す
鳥海:
今日、遅刻だよね?
鳥海:
……昨日、何かあった?
再び、摩耶の指が止まる。
スマホを持つ手が、さらに震える。
(うそだろ……なっ……なに!?)
(つーか、“昨日”ってなに!?なに!?)
摩耶:
……っ
入力中のまま止まる吹き出し。
焦るほど、言葉が出てこない。
鳥海のこの静かに畳みかけるLINE、いつもながらヤバい破壊力。
既読ついてるのに何も返せない摩耶に――
追い打ちのように、ぽんっと一言。
鳥海:
食堂で待つ
(ひぇぇぇ……)
スマホを胸に抱いて、摩耶はその場で小さくうずくまった。
(……鳥海、妹なのに……圧強すぎ……)
でも。
(……まぁ……鳥海が待ってるなら、逃げられねぇ……)
ちょっとだけ息を整えて、LINE画面を閉じる。
歩き出した足取りは、ほんの少し重たい……でも――
久しぶりの鳥海とのランチ、どこか、ほんのり嬉しそうな摩耶。
LINEでのやり取りのシーン,表示される画面をLINEっぽくする方法があるらしいのですが,分かりません....もし,詳しい方が読んで下さっていたら,教えていただけると嬉しいです!!!