ウニャの呪い箱   作:かりん2022

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秘密

悟に秘密が出来た。

 

「ウニャはウニャです! よろしくお願いします!」

 

 小さくて可愛い主人が出来た。ウニャといると私は笑えた。

 

悟に秘密が出来た。

 

「な、なんなんやここ!? 召喚!? そんな漫画みたいな事あるんか!?」

 

 ライバル?論外。仲間?論外。それでも、秘密の共有は甘美だった。

 

悟に秘密が出来た。

 

「賢者様、お願い。ウニャを誰も知らない場所に連れて行って」

 

 居場所がないのは私達も同じ。誰も彼も放っておいてくれない。

 新天地が必要だった。

 呪術師達のいない場所が。

 

 

ごめんね、悟。

私はもう、君とは一緒に歩けない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガバッと仮眠していた五条悟は起き上がる。

 

「ヒェッどうしましたか、五条さん」

「傑が」

「はい?」

「傑の気配が増えた」

 

 

これは、呪われし玩具箱の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 新都算座は、ドアホンが鳴り、ドアをノックされて、飲んでいたコーヒーのカップを置いた。

 新都はニートで老女だ。ドアホンが鳴るとしたら宅配便くらい。それも今、頼んでいるものはない。

 ドアに近寄ると、声がする。

 

「ニーテスト。助けてほしい」

 

 よく使うアカウント名を言われて、新都は警戒した。

 

「誰かな?」

「並行世界の君の弟子だよ」

「つまり他人?」

「そうなんだけど、困っているんだ。助けて欲しい。君とサバイバーとネコ太と覇王鈴木と工作王とネムネムだけが頼りなんだ」

「多いな!」

「とりあえず、1番資産があって頼り甲斐のある宰相の君の所に来た」

「それってゲームの王国か何かか?」

 

 ハンドルネームらしき雑多な名前に当たりをつけて問う。

 ただし、それらのハンドルネームに覚えはない。よくありそうな名前ではあるが。

 

「そうだよ。猫耳帝国というか、ミニャンジャ村というか。今の規模は実質街だけど。その、街を支配するミニャちゃん陛下の宰相が君。私は、その孫のウニャちゃん殿下の宰相候補なんだ。諸事情があって、私達は並行世界に逃げる事になってね。君なら助けてくれるし、いっそ家臣になってくれるかなって思って。君の懐を飛び出しておいて、並行世界の君を頼るなんて情けないと思うかもしれないけど……」

 

 かなりやばい。頭がおかしいとしか思えなかった。

 

「ニーテスト、お願い……」

 

 小さく震える声に、新都は息を呑んだ。

 こいつ、子供を巻き込んでるのか。高校生くらいの女の子っぽい。

 

「子供がいるのか?」

「ウニャちゃん殿下だよ。並行世界の君のご主人様の孫。ドアを覗いてごらんよ」

 

 どうやって子供を救うか、ドキドキしながら、新都は外を伺った。

 

 長身の男2人に囲まれ、猫耳の少女が震えていた。

 猫耳の少女が震えていた。

 

 耳がペタリとなっている。ゆらめく尻尾も震える耳も、偽物ではあり得ない。

 

「わかるだろ。目立ちたくないんだ。こちらの世界に猫耳はいないからね」

 

 どうかしている。

 心臓が早鐘を打っている。

 

 どうかしている。

 

 新都は扉を開けた。

 

「ニーテスト、ありがとう」

 

 そうして、新都は一風変わった三人組にコーヒーとミルクをご馳走する事にした。

 

「つまり、異世界人のミニャちゃん陛下は、女神様から『ミニャの玩具箱』という能力をもらった。私達を召喚して賢者様と呼んで魔法の力と掲示板の能力を与え、使役していた。その孫のウニャちゃん殿下は、召喚先の世界が違った。ウニャちゃん殿下もお前らも立ち回りを大失敗して、更に並行世界へと逃げる事にした」

「だから、そう言ってるやろ、ニーテスト」

「直哉。ニーテストに対して失礼だよ。それにしても、この世界にもニーテストがいて本当に良かった」

 

 新都は戸惑いながら、お菓子を口に入れた。頭を働かせる為、糖分が必要だった。

 話をする過程で、夏油と直哉は不思議な力を見せてくれた。

 

「ウニャちゃん殿下の臣下はお前ら2人だけなのか?」

「いきなり百人も来たら迷惑だろ? 私達は先発隊」

「いきなりじゃなくても迷惑だ。1人2人ならともかく、その人数は面倒みきれん。……ウニャちゃん殿下、君に忠誠を誓えば、私も魔法が使えるようになるのか?」

「ニーテスト、ウニャに忠誠を誓ってくれる? ニーテストがいてくれたら、とっても心強いと思う。でもでも、ミニャお祖母様やニニャ姉様の方がいいって言わない?」

「宰相の座は渡さないよ」

「将軍の座は渡されへん」

「今更出しゃばらんよ。顧問という形はどうかな」

 

 それなら、という事で、ウニャは新都の手を取った。

 温かいものが流れ、ニーテストが力を込めると、手の内に土塊が現れた。

 新都の運命の流れは、ここで予想もつかない濁流となったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニーテストは荒ぶっていた。荒ぶらないでか。

 

「作戦会議をする! お前ら、正座! あ、ウニャちゃん殿下はちょっとアニメでも見ててくれないか。ウニャちゃん殿下に奏上する前に情報のすり合わせをしたい」

「わかった。料理しながら待ってる」

「無理はしないでいいからな」

 

 そうして、ニーテストは絶対零度の目で2人を見た。

 

「なんやなんや」

「また直哉がなんかしたのかい?」

「お前だバカ、このテロリスト! 10年前に村を一つ皆殺しにしていると出たぞ」

「やってないよ!?」

「並行世界の傑くん、そんな事するんやぁ。怖」

「誤解だ! 誤解だよ、きっと冤罪だ。そんな、ウニャちゃん殿下がいて……いないんだったね、この世界。そういえばすごく病んでた時期があった」

「それやな」

 

 そうなると、自分を信じられない夏油である。

 何せ、あの時は病んでいた。

 

「百人の戸籍をどうにかするってのも問題だが、同姓同名同顔のテロリストがいるって相当ヤバいぞ」

「傑くん、目立つしなぁ」

「魔法なしで、どうやって村一つ皆殺しにしたんだ」

「私は呪術師でもあるからね」

「呪術師? ちゃんと全ての情報を開示しろ」

 

 そして、話し合いを続ける。

 

 問題点は、夏油傑の率いる宗教。

 百人分の戸籍。

 秩序の守護者を気取る呪術師。

 

 こちらの手駒は、夏油、直哉、九十八人の待機賢者達、そして並行世界の賢者……つまり、女神に選ばれる程の傑物の情報。ただし、50年の月日が過ぎ去っている。

 

「むぅ。どれも頭が痛いな……。呪術師とは何れ和解をしなくては駄目だ。だが、今は論外。一方的に潰されて終わりだろう……。よし。私が教団を作って手続きは全部する。村も用意する。最初の賢者との接触もする。呪術師に対する対応もできる限りしよう。そんな私を全力で守れ。あと、2人信頼のおける女子の賢者を呼べ」

 

 鬼気迫るニーテストに、夏油達はこくこくと頷いた。

 

 さあ、ウニャちゃん殿下に奏上である。

 最終的な決定権はウニャちゃん殿下にあるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、サバイバーの住まう廃村となりつつあった場所を改造し、そこに百人の賢者が移住した。戸籍についてもどうにかしたし、薬草である女神の恵みも畑に植えた。外貨の獲得も回復魔法でOKだ。後は呪術師との和解のみ。

 それも、村を担当していた人のいい術師が黙っていてくれる事となった。

 様々な準備を終えて、冬。

 冬支度に慌ただしくしている中、その術師が駆け込んできた。

 

「どういうことだ、夏油傑!」

「何を怒っているんだい? 五十嵐」

「どうもこうもない、百鬼夜行のことだ!」

「何それ」

「お前がクリスマスイブに暴れると言ったんだろう!」

「言ってないよ。おひたし食べる? 落ち着きな」

 

 夏油が女神の恵みのおひたしを用意する。

 病気を祓う霊験あらかたな薬草で作ったおひたしである。

 プリプリとしていた五十嵐は、怒りをひとまず飲み込み、夏油の家へと上がり込んだ。美味しいし傷の化膿がしなくなるので、五十嵐もおひたしには世話になっていた。

 

「どうしたんや?」

「多分、この世界の私がまたテロするらしい」

「はぁ? ええ加減にせぇや。村一つ滅ぼしたんやしもう満足せぇや」

「こっちの私に言ってくれ」

「直哉特別一級術師……!? どうしてここに」

「こっちの自分は偉いんやなぁ。自分はせいぜい二級やで」

 

 なんだなんだと、美々子や菜々子、禪院家の子達もやってくる。

 彼らと面識のあった五十嵐は、目を白黒させた。似ているが違う。

 双子というよりも、体の大きさが違うため、兄弟という印象を受ける。

 特に、禪院家の双子と呪詛師の双子の差異が大きかった。

 

「言っただろう。皆で並行世界に引っ越したって」

「なんかみんな背が高いですね……?」

「ウニャちゃん殿下の加護を得ているからね。その分よく育つのさ」

「並行世界の人間ってもしかしてマジ……?」

「そうだよ? 信じてなかったのかい?」

「もう一回話を聞かせてください」

 

 それから、じっくり話を聞いた五十嵐は頭を抱えた。

 

「本当に女神様の話がマジなら、もう一回参拝させてください」

「いい心がけだね。もちろんいいよ」

 

 女神様の像にお祈りをした後、五十嵐は夏油のやらかしについて相談した。

 ウニャちゃん殿下も合流した。

 

「こちらの私が罪を犯すことについては心を痛めていたんだよ。ウニャちゃん殿下の許可が取れたらだけど、協力させて欲しいかな。京都は任せてくれていいよ」

「にゃー……。ウニャは、賢者様が道を誤ってしまったなら、一緒にごめんなさいしたい」

「ウニャちゃん殿下……うう、皆、本当にごめん」

 

 なお、五十嵐に見えないウィンドウでは夏油への大ブーイングが飛び交っている。

 

「とは言っても、残穢同じなんですよね……。隠れて協力は無理だと思います。秘匿死刑されないように精一杯弁護するので、皆さん、来ていただけますか? 並行世界の証明のために禪院家の方にも来て欲しいです」

「じゃあ自分が行くわ」

「いや、話がややこしくなる。私が行った方がいい」

 

 ということで、真希が証明としてついてきてくれる事になったのだった。

 




マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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