百鬼夜行が始まった。
集中したいと引きこもる夏油。
そして、的確に迎撃していく呪霊達。
「凄いね! 傑、もしかして呪霊の視界見える?」
「悪い、悟。話掛けないでくれないか。今集中してるんだ」
そして、夏油が呪専へと現れた。
五条が前に進み出るのを真希が止める。
真希の周囲には、呪霊と人形が守るように布陣する。
「悟。びっくりしたよ。まさか、呪霊操術の使い手がもう1人いたとはね」
「よぉ。夏油傑。最強女神教団の禪院真希だ。単刀直入に言う。悔い改めて、教団丸ごと俺らの教団に降れ。すでに罪を犯したお前には救済は与えられないかもしれないが、残りの時間を心穏やかに過ごす事はできる」
「君は……禪院家の出来底ない、ではないね。身長が違う」
「まあな。並行世界で、別の神様に帰依した夏油傑と禪院真希って事だ」
「フィギュアを操る能力者と私、ってとこかな? 虎の威を借る狐ってわけだ」
「いや。ちゃんと私はテメーの説得の任を受けてるし、出来ると信じてもらってる」
そして、真希は夏油を指差した。
「霊視。自分の罪を直視しろ」
「!??? 馬鹿な!!! 幻覚の術式!?」
夏油は思わず下がった。五条の目からは何も見えない。
だが、呪霊に目線をやった真希に気づく。今の真希は呪霊が見えている。
「お前には同情するよ、夏油。ウニャちゃん殿下に出会えなかったなんてな。だが、それでもお前は、やってはいけない事をした」
「お前に何がわかる!」
呪霊で、呪具で、周囲をがむしゃらに攻撃する。
「無駄だ。それは罪には通じない。今頃、我が教団のメンバーがお前の教団に罪を問うている」
「罪、罪だと? 猿を殺した事が!?」
「わかってるんだろ。力のあるなしなんて関係ないって」
真希は、悠々と黒い槍状のものを夏油へと飛ばした。
五条は驚愕した。目に見えるけど六眼で見えない。
それは普段見る呪力とは全く正反対の性質のもの。
夏油はそれに気づく事はない。
「ぐっ あっ」
それが刺さった時、夏油は震えた。
「効くだろ? 急に怖くなってきただろ? 精神を傷つける術だ。罪を恐れよ。悔い改めよ」
さらに、黒い槍を浮かべていく。
「こんな! こんな!」
「なぁ、美々子と菜々子にも同じ思いをさせるつもりか? それはやっぱり……駄目だろ。あ、夏油から伝言だ。『あの時、すごく病んでいて苦しかったのはわかる。私は君だからね。でもだからこそ、君をそこにいさせるわけには行かない。無理矢理にでも、更生の道を歩んでもらうよ』だとよ。おっと、美々子と菜々子は保護させてもらったぜ。ほらほら、降伏しろよ」
夏油の狙いのなっていない攻撃を、呪霊が、人形が、真希自身が捌いていく。
そうして、ダークニードル。恐怖を埋め込む闇の属性魔法を打ち込んでいく。ちと絶望に濡れ、無抵抗になった夏油を、真希は自らの影に沈めた。
「うしっ ミッションクリア!!! あとは連れ帰ってじっくり教化するだけだな」
ガッツポーズをする真希。
「ちょっと話が違ってきたかな。お話し聞こうか。最強女神教団だっけ?」
「いやぁ。もうここに用はねーかな」
真希も影に沈むのだった。
夏油も気がつけば抜け出していた。
してやられたのである。
百鬼夜行は終わってみれば、死者は0。
負傷者は多数だが、それもきれいに治療されていた。
そうして、いつの間にやら教団のあった村は要塞化されていたのだった。
マシュマロ
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