超現実アナザー・ワールド ~異世界でもぼっちはぼっちだった件~ 作:蛮野ゲリラ
『あらすじ』
生まれてこのかた、一度も友達ができたことがない。頼れる相棒なんて夢のまた夢。
そんな「ぼっち」な主人公が、高校入学式の帰り道で命を落とし、転生した先は妙に現実的な異世界だった。
――それすなわち、ぼっち脱却のビッグチャンス到来である。
「高校デビューならぬ異世界デビュー!」
「二度目の人生だし現実っぽい異世界だから実質強くてニューゲーム!」
「チートも手に入れて、脳内の超高性能AIが手厚くサポートしてくれる!」
ゆえに、「異世界なら友達ができる!」――そんなふうに考えていた時期が俺にもありました(泣)
これは異世界に転生したぼっちが友達をつくろうと足掻くものの、やっぱりぼっちになってしまう――そんな物語である。
なお、主人公はクソ鈍感であり、信頼できない語り手とする。
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『プロローグ』
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彼を一目見た者は、必ずこう言う。
――「あいつはただ者じゃない」と。
黒髪の少年。何の変哲もない制服に身を包み、学校の窓際の席で静かに佇む姿は、いたって普通の学生のように見える。だが、彼をめぐる噂話は、学園の垣根を越え、今や国中に広がっている。
「彼は伝説の勇者の生まれ変わりだとか」
「いや、彼の瞳は世界を焼き尽くす力を秘めているらしい」
「聞いたか? コロシアムでの決闘、全く動かずして相手をねじ伏せたとか」
顔を合わせれば誰もが口々に彼の「偉業」を語る。
魔法学の授業で回答を誤っただけでも、なぜか「秘めた力を抑え込む彼の苦悩」としてドラマ仕立てで語られるほどだ。
いや、きっとそれもまた真実なのだろう――なぜなら彼は「彼」なのだから。
こうして、彼の存在は学園の伝説となった。
「彼のノートを一目見たが、宇宙の法則を書き換える方程式が書かれていた」
「彼が好きだと言ったからカレー屋は、神のご加護で急成長したらしいぞ!」
周囲の者が思い描く彼の像は天をも貫くかのように輝かしいが、彼自身の生活は至って普通――いや、それどころか「孤独」という言葉に満ちている。
誰も近寄らないのだ。
その圧倒的な存在感と鋭い眼差しに恐れを抱き、彼に話しかける者は皆無だった。
だが、そんな姿でさえ彼には似合っていた。いやむしろ「孤独」こそが彼の本質そのものと言えるのかもしれない。
夜の学校。静まり返る校舎で、一人ため息をついた彼が呟く。
低く、ぽつりと。
「……異世界でもぼっちはぼっちだった件について(泣)」
これは周囲に勘違いされ続ける転生ぼっちが、なんやかんやで世界を救う物語。