あったかもしれないイヴァラージェヒロイン‪√‬   作:何処ん錠

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本編でイヴァラージェが登場する前に考えていたものなので、本編のイヴァラージェとは性格や見た目が違います。
ご了承ください。

まだまだリムルは出てきません。すみません。



発生

まだ、この世界が誕生したばかりの頃。

何も無い世界で、何も無い男が一匹の邪竜と共に生きる。そんな話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜だ。

竜がいる。それもとても大きな。

 

竜だ。

 

 

 

画面の向こうの君たちは、目が覚めたら目の前にバカでかい竜がいた経験はあるだろうか。もしあるのならお聞きしたい。

 

何をするのが正解なのかと。

 

竜からしてみれば人間なぞ鼻息で殺せる程度の生き物なのだ。人間が抵抗するすべはない。諦めるのが正解なのか?それは違う気がする。命とはそう簡単に諦めていいものではないのだ。

では抵抗してみるか?それもダメだ。力量差がありすぎる。

やはり正解は、竜を刺激せずここから逃げ出すことではないか。そうと分かれば話は早い。早速ここから逃げ出そう。そうしよう。

 

 

「グルルァアアア!!」

 

 

竜が吠える。

どうやら逃がしてはくれなさそうだ。

手に入れたばかりの二度目の生もここで終わりか。俺は死を覚悟し、諦めの思いで目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

Side イヴァラージェ

 

 

何故だろうか。目の前のちっぽけな命に興味が湧いた。

 

初めて何かが欲しいと思った。

 

理性も感情もない竜に心が宿った。見様見真似で男の姿を真似た。あまり上手くはいかなかったがいつかみたであろう人類の姿に似ていたため良しとした。

 

この命は自分のものだ。

 

決して離してなるものか。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

目が開く。どうやら三度目の生を得たみたいだ。神は性懲りも無く俺を生かしたいらしい。

 

 

「ちがうよ」

 

 

どうやら幻聴まで聞こえてくる。度重なる死の体験に精神が異常を来たしたのだろうか。

 

 

「だからちがうって」

 

 

それにしたってうるさい。そういえば前世、俺を殺した竜はなんだったのだろうか。

 

 

「あなたはしんでないの!」

 

 

なんという世迷言を。己の死も受け入れられないほど弱い人間だったのか俺は。失望したぞ、俺。

 

 

「イヴのことがみえてないの!?」

 

 

 

 

 

ここでようやく俺は自分以外の存在に気がついた。

 

目に入ったのは絶世の美少女。透き通るような白い肌に輝く白髪。白の中に一点目立つ紅い瞳。とても華奢な身体付きをしており、今にも消えてしまいそうな儚さと危うさを感じる。胸は控えめで年齢は14歳程だろうか。

 

そこまで考えたところで俺はこの少女に疑問を抱いた。この少女は誰だ。一体どこからやってきたのか。分からないことが多すぎる。

 

 

「わたしはイヴァラージェ。イヴってよんで」

 

心を読めるのか?

 

 

「よめるよ。イヴはすごいんだ」

 

 

そういうと誇らしげに平らな胸をはる少女。儚げな見た目とは裏腹に随分と調子のいい性格をしているようだ。

 

 

「ちょっと、きこえてるんだけど。それと‪”‬少女‪”‬じゃなくてイヴ!」

 

「すまない。何分心を読まれるという体験は初めてでな」

 

「次からはイヴってよんで」

 

「ああ。ところでさっきまで言っていた俺が死んでいないとはどういうことだ?」

 

「それは、イヴがあなたのいってる竜の正体だからよ!」

 

 

この少女が竜?どんな妄言だ、それは。

 

 

「妄言じゃないし、イヴね。まなばないの?バカなのかしら?」

 

 

そう小馬鹿にしたように見上げるイヴ。生意気なやつだ。

 

一度冷静になろう。ここはどこで、結局イヴはどのような存在なのか。一通り彼女に質問をした。

 

 

どうやらここは俺が生きていた世界とは別世界であり、目の前の彼女は滅界竜の名を冠する凄いやつのようだ。

 

真偽は定かではないが。

 

聞きたいことは一通り聞けた。さてこれからどうしようか。前世は自由に生きることが出来なかった。せっかく生まれ変わったのだから旅でもしてみるか。思うがままに生きるというのも悪くないだろう。

 

 

「情報の提供をありがとう。俺はこれで失礼する。」

 

「まって。ゆるさない。イヴから離れるのは許さないから!」

 

 

その切羽詰った声に思わず振り返った。まだ出会ったばかりの俺になぜこんなにも執着するのだろうか。

 

 

「なぜだ?許すもなにもないだろう」

 

「とにかくだめ。あなた、そんなに弱いのにイヴから離れたらしんじゃうわ。そうだ。イヴから離れられない理由をつけよう。そう、今からあなたはイヴのあるじ。‪”あるじ”よ!」

 

「主?」

 

「そう。名案でしょう?」

 

 

そう言ってまたも平らな胸をはるイヴ。バカなのは俺じゃなくてこいつでは?

 

 

「だからきこえてるって!でも合理的だと思わない?」

 

 

確かにこの世界のことをあまり分かっていないまま一人でほっつき歩くのは危険だ。だが、このマヌケに自分の命を預けていいものか…

 

 

「ほんっとに失礼ね!なんでイヴがこんな目に…」

 

「不満なら別行動だって構わないが?」

 

「だから危ないっていってるでしょう!このわからず屋!」

 

 

怒りっぽく調子に乗りやすい性格であるイヴと能天気な俺。果たしてこんな調子で大丈夫なのだろうか。一人より二人と言うが、無能が増えたところで変わらないのでは…

 

 

「きこえてるって何度いったらわかるのかしら…」

 

「もう諦めた。とにかくここから動こう。動かないことには始まらない」

 

「そうね。まずはここからでましょう。ここにはなにもないもの」

 

「あてはあるのか?」

 

「北の方に昔の知り合いがいたはずよ。向こうは覚えているか分からないけれど」

 

 

若干不安が残るがまあいいだろう。せっかく二度目の生を得たのだ。この訳の分からない世界を進んでみよう。なにもかもが違う世界でしがらみを忘れて自由に生きよう。あてもなくただ生きる。それも悪くないだろうと思うのだ。分からないことだらけだが、だからこそ面白い。

 

 

こうして俺はこの珍妙な少女と旅路を歩むことになったのだった。

 

 

 




イヴァラージェの見た目のイメージはFGOのイリヤです。
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