ぼっちでダンジョン配信してたら賞金1500億円のデスゲームに巻き込まれたので、のらりくらりと生き残っていきます   作:古野ジョン

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第14話 陽動

「ぐおおおおおおっ!!!」

 

 デカワニは地底湖から飛び出し、その勢いのまま俺に食いつこうとする。今までコイツに挑んだ配信者たちは、そのほとんどがこの段階で餌食となってしまった。だが――俺は跳ぶ!

 

「はっ!!」

 

 速度を生かして力強く地面を蹴りだし、空中に高く舞い上がる。デカワニはさっきまで俺がいたはずの空間に突っ込んでいき、情けない声を出して驚いていた。

 

「ぐわっ!!?」

「上だよ、デカワニさん」

「ぐおおっ!!」

 

 無様にも地面に突っ伏したデカワニ、その上あごに着地を決める。ぎょろっとした目を見開いて度肝を抜かれていたようだが、俺は煽るように手招きをして左サイドの地面に飛び降りた。

 

『タローがおとりだったの!?』

『さっき何メートル飛んだ!?』

『迫力すげええええ』

『ワニこわっ!!』

 

 読み上げ機能を使っているので、逐一コメントが耳に入ってくる。そうだ、囮になったのはこの俺だ。デカワニの注意を引きつけ、それでいて最後まで逃げ続ける。そんな危ない任務を他人に任せるわけにはいかないだろう。

 

「ぐおおっ、ぐおおおおおっ!!」

「こっち来いよ、爬虫類野郎!!」

 

 俺は地底湖に沿って全速力で走る。あまり遠くまで行ってしまうとカオリが目を狙えなくなるから、出来ればここらへんで止まっておきたい。

 

「カオリさん、準備はいいか!?」

「いつでも構わない。既に目を狙っている」

「よし、頼むぞ!」

 

 無線越しに聞こえるカオリの声。とても力強くて頼りがいのある返事だな。

 

「ぐおっ!!」

「ほらよっ!!」

『また避けた!』

『すげえwwww』

『速すぎない??』

 

 再び食らいつかんとするワニの口をひらりとかわした。よし、片目はずっとカオリさんの方を向いているはず。これなら――

 

「カオリさん!!」

 

 そう叫んだ瞬間、遠くの方から弦の弾けた音がしたような気がした。大穴の方から僅かに差し込む光が矢に反射して、美しく輝いている。その光は綺麗な放物線を描き――デカワニの左目に直撃した。

 

「ぐわッ!?」

 

 その眼球には痛々しく矢が突き刺さり、赤い血が流れ出ている。デカワニは痛みに耐えられないのか、短い手で片目を抑えようとバタバタと蠢いていた。

 

「よっしゃ!!」

「Good shot!!」

 

 俺とMikeは大声で叫んだ。これでデカワニの左半分が死角になったはずだ。あとはMikeが剣を突き刺しさえすれば俺たちの勝ちだ。意外とうまくいくもんだな。

 

「今だMike、突っ込めー!」

「おっしゃ、俺に任せとけーい!」

『Mikeいけええええ!!』

『勝つる!!』

『勝ったな、風呂入ってくる』

 

 イヤホン越しに伝わるMikeの野太い声。あとはジョンコム一位様に任せておけば問題ないだろう。これでじり貧生活ともおさらば――

 

「Mike殿、wait!(待って!)」

「What!?」

「どうした!?」

 

 か、カオリ!? なぜ止める!? 今がまさに絶好機、千載一遇のチャンスだというのに――

 

「目が、目が……!!」

 

 言われるがまま、デカワニの片目をじっと見る。なんと眼球だった「モノ」がこぼれ落ちていき、新たな眼球が形成されている。まさか……

 

「あのワニ、再生しているぞ!!」

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