ぼっちでダンジョン配信してたら賞金1500億円のデスゲームに巻き込まれたので、のらりくらりと生き残っていきます 作:古野ジョン
「再生だと!?」
俺はデカワニから逃げながら、必死に眼球を観察した。さっき貫かれたはずのそれは既に元通りに戻っており、デカワニはまたも完全な視界で俺のことを追っている。
「Soldier boy!」
「タロー殿、ご指示を!」
「カオリさんはとにかく目を攻撃してくれ!! Mikeさんは待機!!」
『なになにどゆこと!?』
『やっぱり再生したか……』
『どうすんのタロー!?』
ええい、どうするのかと聞きたいのは俺だ! たしかにMikeからデカワニの再生能力のことは聞いていたが、ここまでとは予想外だ!
「ぐおおおおっ!!!」
「はっ、はっ……!」
『逃げろタロー!!』
『がんばれ!!』
息を切らしながら、怒り狂うデカワニから逃げ続ける。しかしだ、いくら再生能力があるとしても無限ではないはず。何度も攻撃していれば活路は開ける!
「ぐおっ!?」
『当たった!!』
『カオリすげええええ』
背後から聞こえる鳴き声で、カオリの矢がまたも左目を仕留めたことを知る。こんな激しく動くデカワニの眼球を狙い撃つなど、並の弓使いでは出来ないはず。やはりカオリの技術は本物だ。
「カオリさん、どうだ!?」
「また再生している! キリがないぞタロー殿!」
デカワニは一旦その場で止まり、またも短い手で目を押さえようとしていた。だがさっきと同様に、古い眼球がこぼれ落ちて新たな眼球が生まれようとしているのが見える。
「間髪入れずに、次の矢!!」
「任された!!」
カオリに指示を飛ばすと、またも弦の弾けた音が聞こえてきた。だが流石にデカワニも学習したらしく、素早く頭を振って回避する。
「ぐおおっ!」
『かわされた!』
『ヤバいぞタロー!』
クソッ、打つ手がなくなってきた。どうする? このままMikeに強行させるか? いや、単身で突っ込むのは危険すぎるか――
「Shit!!」
「しまった、こっちか!!」
耳に二人の慌てた声が聞こえてくる。ふと顔を上げると、目の前のデカワニが進行方向を反転させていることに気が付いた。まずい、デカワニの標的が二人に変わったのか!
「戦うな、逃げろ!!」
二人に指示を飛ばし、全速力でデカワニを追いかける。弓矢しか持たないカオリに近接戦闘は無理だし、Mikeの剣も迂闊に使えばせっかくの毒を無駄遣いすることになってしまう。
「無理だ、追いつかれる!」
凛々しい姿に似合わぬ、カオリの焦り切った声。デカワニはその図体に似合わずかなりのスピードを持ち合わせている。どんなに俺が速く走ったところで、このままでは二人が先に食われてしまう!
「速く逃げてくれ、二人とも!!」
『ヤバいって!!』
『カオリにげて!!』
『タローなんとかしてー!!』
どうする? デカワニは二人とほんの数メートルのところまで到達していて、今にも食いつかんと口を大きく開いているのに、俺はまだ奴の尻尾にすら届かない。一体どうすれば、どうすれば――
「心配するな、Soldier boy!」
「へっ?」
次の瞬間、俺は――Mikeが「一位」たる所以を見た。