ぼっちでダンジョン配信してたら賞金1500億円のデスゲームに巻き込まれたので、のらりくらりと生き残っていきます 作:古野ジョン
「ぐぎゃああああっ!!!!!」
背中に剣を突き刺した途端、デカワニが一段と大きい叫び声を上げた。毒を浸透させるように深くまで刺してから、素早く剣を抜き去る。
「ぴぎゃっ!!」
「タロー殿!」
「Soldier boy!」
「二人とも離れろ、早く!」
カオリとMikeに離脱するよう指示を出しつつ、俺も急いで背中から降りる。痛みのせいかデカワニは大声をあげて暴れており、危うく俺も地面に転げ落ちるところだったが、なんとか着地した。
『あぶな~!』
『ワニどうなった!?』
急いで逃げながら、頭部のカメラをデカワニの方に向けた。まだまだのたうち回っていて、手足をぶんぶんと振り回している。それを尻目に、俺は先に逃げていた二人と合流した。
「Soldier boy!」
「タロー殿!」
「二人とも無事か!?」
「ああ、生きてるぜ!」
「私も無事だ。タロー殿も食べられずに済んだみたいだな」
「ああ、おかげさんでな」
二人に会って安心したせいか、思わずふうと息をついてしまった。これでようやくダンジョンの先に進むことが出来るな――
「お前ら、やめろっ!!」
「へっへーん、そんなの聞くもんか!」
「10億ドルは俺たちのもんだー!」
「わざわざワニを倒してくれてご苦労様だぜー!!」
その時、Mikeが必死に周囲の配信者たちを呼び止めていることに気づいた。どうやら俺たちがデカワニを討伐したと
「ああっ、愚か者が……!」
カオリも心配そうに彼らの行く先を見つめている。そうだ、たしかに毒のついた剣を突き刺しはした。だが毒が全身に回るのには時間がかかるのだ。要するに、今近づけば――
「ぐおおっ、ぐおおおっ!!?」
「うわーっ!!?」
「助けてくれえええっ!!」
「誰かーっ!!」
混乱したデカワニに蹂躙されてしまうのだ。先に行った配信者たちと、それに煽られてついていった奴ら。あっという間に食われるか踏み潰されるかしてしまった。自業自得とはいえ、このデスゲームに踊らされたという意味では気の毒である。
『あーあ……』
『タローたちが頑張ってたのに先に行こうとするからだよ』
『悪いことは考えるもんじゃないな』
コメント欄にもいろいろと書き込まれていた。とはいえ、時間が経てばデカワニは倒れてくれるだろう。俺は改めてMikeとカオリの方を見た。
「二人ともありがとう。俺一人じゃあのデカワニは倒せなかったよ」
「なーに、気にするなSoldier boy。どうせ俺は仲間もいなくなっちまったしよ」
「私も、タロー殿に食料をいただかなければ飢え死にしていた。感謝する」
この先はどうしようか。最終目標はあくまで賞金を獲得することなんだろうが、このデカワニを見る限り一人で攻略するのは難しいのだろう。……だったら。
「二人とも、提案があるんだが……俺たち、正式にチームを組まないか?」
「チームだと?」
「どうせダンジョン攻略は一人じゃ難しそうだろ? 賞金をゲットするには、しばらくは一緒に行動した方が都合が良さそうじゃないか」
俺の提案に対し、Mikeもカオリも最初はきょとんとしていたが、すぐにニッと笑顔を見せてくれた。
「いいぜ、乗ってやるよ。Soldier boy、お前はなかなか見ごたえがありそうな男だ」
「私もタロー殿にお供したい。食料がないんだ……」
Mikeはともかく、カオリはなかなか切羽詰まった理由である。とにかく、これで当面の間の仲間は得ることが出来た。ぼっち探検者でもなんとかなるもんだな。……おっ、デカワニが静かになってきたな。
「よっしゃ、行こうか!」
「おうっ!」
「参ろうか!」
俺たち三人、即席のチームで歩き出す。こうしてデカワニ討伐は無事に終わったが、ダンジョン攻略はまだまだ続いていく――