ぼっちでダンジョン配信してたら賞金1500億円のデスゲームに巻き込まれたので、のらりくらりと生き残っていきます   作:古野ジョン

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第2章 デカワニ攻略戦
第8話 巨大ワニの襲来


「なんだ!?」

『Mikeが食われた!!』

『嘘だろ!?』

『逃げて逃げて逃げて!!』

『タロー逃げろ!!』

 

 俺よりずっと前方、地底湖のほとりで配信者たちが逃げ惑っているのが見える。何が起こっているのかさっぱり分からないが、危機的状況であることは明らか!

 

「うわああああっ!!」

「来るなっ、来るなあああっ!」

「ちょっ、押すなよ!」

 

 次々にワニのいる方向から大人数が逃げてきて、押し合いへし合いの大混乱だ。俺は人の波をかき分けるようにして、後方の断崖まで走っていく。

 

『どうなってるタロー!?』

『なになになに!?』

「わっかんねえけど逃げるしかねえよこんなの!」

 

 なんとか人ごみを抜け出すと、目の前には切り立った崖。つかむような岩の出っ張りもないが、ここは無理やりにでも登るしかない!

 

「はーっ!!」

 

 気合いを入れて、一気に地面を蹴りだした。指先で壁を引っ掴み、自らの体重を必死に支える。本当はこのまま地上まで脱出したいところだが、流石にこの状態で二十メートルも登りきるのは不可能だ。数メートル登ったところでなんとか体勢を落ち着かせた。

 

「スマホスマホ……」

 

 俺は左手で崖を掴んだまま、右手でポケットからスマホを取り出す。ちなみに、今は頭部に取り付けたカメラで撮影した映像を配信している。なので視聴者には崖しか見えていないはずだが……って、うん?

 

『気分悪くなった……』

『これやべえって』

『もう次々に配信止まってるよ……』

 

 コメント欄の様子が明らかにおかしい。どうやら皆は他のチャンネルも同時に視聴しているようだが、まるで災害か何かでも起こったかのような発言を多く残している。

 

「みんなどうした……?」

 

 俺は崖に体重を預けたまま、地底湖の方に目をやる。すると、そこにあったのは――見るに堪えない地獄のような景色だった。

 

「うわっ……」

 

 巨大なワニは次々に配信者たちに食いつき、勢いよく飲みこんでいく。さらに逃げようとする人間たちはワニの強靭な手足に踏み潰され、その亡骸すらも餌食になっているという有様であった。

 

「ぐおおおおおおっ!!!」

 

 ワニは咆哮をあげ、さらに動きを激しくした。果敢に挑もうとする配信者もいるが、どうやら剣や銃の類は全く通用していない様子。俺はスマホを使って適当な配信者のチャンネルを開いた。

 

「うわああああっ!!」

「やめろっ、やめろおおおっ!!」

 

 残念ながらこのチャンネルの主も既に斃されてしまったようで、地面に固定された視点での映像だけが垂れ流されている。他の配信者と思しき人間たちが必死に抵抗している様子が映っていたが、すぐに食われてしまった。

 

「ああ……」

 

 何を言えばいいのか、分からなかった。どうしてこんなことに。10億ドルを夢見て参加した者たちが次々に倒れていく。さっきの開会式で、あれだけ楽しそうな歓声を上げていた「仲間」たちが消えていくのを――俺はただ、遠くから見ることしか出来なかった。

 

 やはり最初に崖を登ったのは正解だったらしい。他にも上に避難しようとした者たちもいたが、焦りからかうまく崖を登れず、そうこうしているうちに転落してしまったケースがほとんどだった。

 

 巨大ワニ……いや、デカワニの攻撃は数時間も続いた。あれだけすし詰めだった広場(だった場所)が目に見えて空いてきたことが、遠目に見ていた俺にとっては何よりの恐怖だった。

 

 唐突に訪れたデスゲーム。残るチャンネル数は――157/320。

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