ほかの奴が全部スランプなんでしばらく書くとしてもこれだけです。
また、受験まであと少しなので定期更新などは期待できません。
申し訳ありません。
その日も雨が降っていた。
しとしとと、あるいはぽつぽつと。
それとも……。
人々は雨の降る中をどこへともなく歩き去っていく。
誰もが先を急いで余裕のない表情だ。
人ごみは常に余裕なく流れている。
その様はまるで個をなくしたひとつの群れのようで、だからこそ逆にそれはひとつの生き物のようにも思えた。
傘を持っていない人々は駆け足勇み足、傘を持っていても早足止まらぬ足。
都会とはこんなにも灰色な世界であっただろうか。
それとも雨の東京とはどこもこんなものなのだろうか。
どちらであったとしても今の私には関係ないことではあるけれど、特にすることがあるわけでもなし。
暇をつぶすにはちょうどいいとりとめのない思考だ。
上を見上げればこちらを見下ろす背高いビルディング。
周りを見渡せば、改札前の屋根の下で立ち往生する運の悪い人たち。
人も物もなにもかもが飽和した街。
雑多にごった煮、でもそれらは混じり合うことなく全てが孤立している。
私は今、どうしようもなく孤独だった。
時間をつぶそうとあてどもなく歩いていたところにいきなり降り出した夕立は、私の服をびしょ濡れにして、いまだなおザンザカ降り続けている。
シトシトでもポツポツでもなくザンザカだ。
ゲリラ豪雨だかなんだか知らないけれど傍迷惑な通り雨だ。
昨日の降水確率は10%だったと記憶しているけれど、はたして今日のソレはいくらだったのだろうか。
そんな毎日のたわいのないことすらも、今は私からすると遠い出来事だった。
待ち人は未だ来らず。
ただ私の心は曇り空。
もしかして騙されたんじゃないかな、とか。
今頃こんな雨の中ボーっとひとり立ちしているところを嘲笑っているんじゃないかな、とか。
家で暖かい紅茶でも飲みながらぬくぬくとしている未だ現れぬ待ち人を想像して、むかっ腹がたってきた。
顔も知らぬ彼あるいは彼女ではあるけれど、約束を守らないような人なのだから、きっとまともな人ではないのだろうと。
いい加減、寒空の下待ち続けるのにも嫌気がさしてきた。
追加の連絡があるわけでもなし、ただただ待ちぼうけを食らっている自分が馬鹿らしくなってきたというのもある。
頼るものもいまさらない自分、唯一信じられる頼みの綱も切れてしまったのだ。
はぁ、と重く深くため息ひとつ。
背中に背負った体に見合わぬ大きさのリュックを今一度引っ張り上げて、後ろを振り向き改札を潜ろうかと思ったその時だった。
彼はそこに立っていた。
あれほど個性のなかった濁流だった人ごみに、ひとりだけぽつんと彼は立っていた。
特に変わったところがあるわけでもない。
黒縁のメガネに茶髪がかった艶のある黒髪。
顔は整っていたけれど、学校中探せばひとりくらいはいそうなほどでしかない。
左手に傘を一本引っ掛けて、右手で赤い傘を掲げている。
それでも、彼はこちらの目線を釘付けにしていた。
雨の中、モノクロの世界の中、彼だけが色づいて見えた。
その時私が思ったことはなんだったのか、後から考えてみればそれはあまりにありきたりなものであったし、でもこの世において不変で普遍のものだった。
まぁ、なんだ。
難しいことを言わないで彼を一言で表すならば、彼は運命の人だった。
その日、私は恋をした。
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それではそれでは