星野アクアはどんな人ですか?
MAYちょ
真面目な話、隣にいてほしい。いや恋人というには関係が薄いけど、こっちの意図を読んで動いてくれたり、さりげなくフォローしてくれるのを見ると堕ちちゃうよね。アクたんは打算抜きで素の状態でやってくれるから安心出来るし、この前の企画で抱き着いたとき、落ちないように支えてくれたし凄くいい匂いがした。もう1回やっていいかな?もし結婚出来たら「年の差夫婦」って呼ばれるのかな?
昨今はSNSの発達によりリアルタイムで番組の感想や評価を見ることが可能であり、【今ガチ】の視聴者のつぶやきをピックアップしてみた。
・女子高生17歳
やっぱ、ゆきを巡る三角関係が気になる。私的にはノブユキ君と結ばれてほしいな
・会社員37歳
娘と妻がハマっていたので、一緒に見たらアクア君とMAYちょの掛け合いに笑わせてもらいました。自分の世代に直撃する内容なので、もっとこの二人を見たいと思います。しかしあの二人、本当に10代なの?
・プロレスラー73歳
やっぱアレだな、アイツとアイツがアレな関係になれば、最高に面白いアレになる。アレがないとグダグダになるから、どんどんアレをやってくれ
やはりと言うべきか、黒川あかねの焦りが露わになってきた。カップルとして形になってきたノブユキと鷲見ゆきの間に割って入ろうとしたり、浮いてしまったケンゴに「もっと彼女にアタックしなさい」という悪女的な役割になってしまい、SNSでも【黒川あかね不要論】が散見している。アクアも彼女をこれ以上追い込ませないように、手を差し伸ばしているが、反応は芳しくない。真面目過ぎるせいで人に頼るのが苦手なのかもしれない。
事務所で雑誌撮影の打ち合わせを行っている時だった。編集者とはモデルデビュー当時からの付き合いで、軽口を言い合える仲である。終わりに近づいた頃にミヤコ副社長が部屋に訪れ
「アクア、ちょっと来て?」
「どうしました?」
「今、事務所の入り口で、貴方サイン入り名刺を持った女の子が来ているのだけど、もしかして、この前の人なの?」
「あぁMEMさんだね。壱護社長にも話してあるし、ミヤコさんとしてはどう見える?」
「確かに人手は欲しいけど、大丈夫なの?」
「初めから、完璧に全部出来る人なんていませんよ」
「分かったわ、しかし事務所のスタッフまで探して来るなんて、モデルのする仕事じゃないわよ」
「褒め言葉として受け取っておきます」
とりあえずMEMは事務所スタッフとして採用された。しばらくは試用期間で能力を見極めてから本採用となる。面接合格後に「不束者ですがお世話になります」と言うあたり、礼儀は大丈夫だと思う。なお彼女を他の面々に紹介した結果「アイさんだーーー」と言って倒れてしまったのは別の話である。
「(どうすればいいの?どう動けばいいの?なにが正解なの?劇団のみんなは「あかねらしく動けばいい」って言ってくれるけど、私らしくってどうやればいいの?事務所の人達も期待しているのに、これじゃあ駄目だ、もっと自分から動かないと、アクア君だって自分から動いて今の立ち位置を作ったんだ、じゃあ私もそうすれば)」
それは空が曇天模様で気分が晴れない日だった。図書室でMAYちょと今後の展開を相談し、ケンゴからお薦めされた海外アーティストについて調べている時だった。それは故意だったのか偶然なのか分からない。結果だけを述べるなら【黒川あかねが鷲見ゆきの顔を傷つけ出血させた】のである。スタッフに見せてもらった映像では、黒川あかねが悪役に見えてしまう構図で、そのまま放送されてしまった。
この日を境に【黒川あかねバッシング】がSNS上で加熱し、大炎上騒動にまで発展した。
「最悪ね」
事務所でスマホを操作していた有馬かなは頬杖をついてぼやいていた。
「どうゆうことですか?ロリ先輩?」
「あんたねぇ、芸能界の先輩として教えてあげるけど、黒川あかねが謝罪文を出したことよ」
「???」
「理解出来ていない顔ね、簡単に言えば、火事の現場に可燃物とガソリンを投下したって感じよ」
「それってつまり」
「SNS上で正義マンを気取る輩に、更にエサを与えたの彼女は」
「でも、謝るのが普通じゃないんですか?」
「そう普通ならね、でもここは悪鬼蔓延る芸能界、普通のルールなんて通用しないの」
「黒川さんどうなるの?」
「さぁ?デジタルタトゥーって、どんなに頑張っても消えないからねフェードアウトするのが妥当な線かな」
・正直さぁ黒川あかねがいる意味あったの?
・ホント現場をかき乱して、見ていて不愉快だった
・彼女の演技は好きだったけど、今回のことを見ると、もう応援出来ないな
「(わたし、なんでこんなことしちゃったの?もう嫌だ助けて、助けてよ)」
黒川あかねはSNSで書かれている自分に対するバッシングに目を瞑ることが出来なかった。芸能界で生きていくには問題をスルーする鈍感力が必要だが、真面目な彼女にはそれが出来なかった。全て対応が後手に回ってしまい個人の力ではどうにもならない。
「(そういえば、何も食べてなかった)」
彼女は風雨荒れる外に出てしまった。
「(台風かぁ、小学生の頃は学校が休みになるって喜んでいたけど、社会人になると仕事は休みにならないから憂鬱だったな)」
アクアは窓の外を眺めていたが現実逃避をしていた訳ではなかった。
「(黒川あかねの炎上対策をどうするべきか、過去にも問題を起こした芸能人が炎上したけど、犯した罪が常に付きまとっていたな)」
結局考えがまとまらず、気分転換にパソコンを付けようとした瞬間、彼のスマホに
【あかねが台風の中コンビニに行った】
この文字を見た瞬間アクアは部屋を飛び出し、暴風雨荒れる外に駆けていった。
「(クソ最悪だ、あかねのやつ完全に自暴自棄になってる。ヤケになった人間のやることにマシなことなんて1つもない)」
「(どこだ?どこにいる?近くのコンビニに行ったのなら、この辺にいるはずだ。信号無理?いや飛び降り?最悪なことは考えるな)」
「もうツカレタ、ラクになってもいいよね」
あかねは歩道橋の欄干の上に立ち、足を踏み出した。
「(あ、もっと生きたかったな)」
「どっっせいやい!!!」
落ちる瞬間、黒川あかねを現実の世界に引き戻した男がいた。彼女を後ろから抱えてこむ形でバックドロップをするような体制で倒れる。
「え?」
「このバカタレ、てめぇ今なにしようとした」
「ア…クア君?どうして?」
「MAYが【あかねが台風の中、外に出て帰ってこない】って来たから、探しに来たんだよ、たく、お気に入りの服がずぶ濡れだよ、ドアホが」
アクアの答えに泣きながら謝る彼女を胸に抱き寄せ、自身の心臓の鼓動を聞かせることで落ち着けさせようとした。
「たく、世話の焼ける女の子だ」
それはアクアの本心なのか分からない。
ここは原作に近い形になってしまいました。
感想や評価をいれていただき感謝しています。