【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

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おかしいな、初期に考えていた構想と全く違う。でも書いていて楽しかった。
ヒロイン未定からヒロインはアクアにしました。もしタグ詐欺だって言われたら、ヒロインに狙われるアクアにします。


鼓動

 

 

 有馬かなが新生B小町のセンターに就任してから、レッスンは熾烈を極めていった。特にルビーに対して厳しく「今まで顔の良さだけで生きてきたんだから、生半可な気持ちでやるなら辞めなさい」という始末である。反論しようとすると「あら、ルビーの覚悟って甘いのね」とカウンターを返されKOする日々が続いていた。

 

・リーダー 有馬かな

・キュートな末っ子 MEM

・苺プロの秘密兵器 星野ルビー

 

 別段キャッチフレーズではないが、上記のような構図が完成している。メンバー最高齢なのに末っ子認定されるMEMは「じゃあ、お兄ちゃんのアクアさんに甘えてもいいですか?」とサラッと爆弾発言をかましている。なおルビーの秘密兵器は「カッコイイ」と喜んでいたが、ミヤコさんに「秘密兵器が秘密のまま終わったこともあるわよ」と言われている。

 

 

 

 

 日めくりカレンダーはあっという間にフェス前日まで破り捨てられ、事務所内で寝泊りしている新生B小町の面々は明日に備えて早く就寝していた。なお当日はミヤコさんが運転する車で現場入りするが、道中にアクアの撮影場所となる式場がある為、一緒に輸送出来るように彼も事務所内の自室で寝ている。星野アイは泊まりの地方ロケがあり、会場で合流することになっている。

 

 

 

「いよいよ明日だね、あ~もう緊張しちゃって寝られないよ」

「さっさと寝なさい。睡眠不足が体に与える影響ってしんどいのよ、本調子に戻すのに3日はかかる」

「そうなんだ」

「睡眠を蔑ろにする人に成功者なんて居ないわ、どっかの大学の研究で論文として発表されたのを、大谷の元トレーナーがYouTubeで言ってたわ」

「大谷も、じゃあ寝ないと、あ~でも寝られない」

 

 こんな押し問答が1時間以上続いている。辟易した有馬は

 

「トイレ行ってくるから、寝てなさい」

「怖いなら一緒に行ってあげようか?」

 

 その瞬間、有馬の右手にシャッフルの紋章が浮かび上がり、ルビーの顔面を掴み、彼女をヒートエンドさせることに成功した。

 

 

 

 用を済ませた有馬は、部屋に戻る前に1つの好奇心に襲われた。

 

「(あいつの部屋でも覗いてやろう、あられもない姿でも撮って、おちょくってやろうかしら)」

 

 

 無論あいつとはアクアである。キスの一件以降、心の黒いモヤモヤは多少漂白されて若干灰色になったが、未だに有馬の心を惑わせる存在となっている。ちょっとしたイジワルで部屋の鍵が閉まっていたら帰るつもりだった。【好奇心は猫を殺す】彼女の頭にこの言葉があれば、あんなことにはならなかった。

 

 

「(開いてる?不用心ね、私みたいな女がいたらどうするの?)」

 

 部屋のドアノブに手を掛けて侵入してしまった。もう後戻りできない

 

「(パソコンに書籍が結構あるけど殺風景ねぇ、このパンフレットって明日の式場のやつ?」

 

 有馬の脳内に授業中に出てきてしまった。存在しない記憶がフラッシュバックする。有馬はその記憶に鍵をかけて閉じ込めることにした。

 

 

「てめぇ、何してる?」

 

 一瞬にして有馬の心臓が急激に鼓動し、複数の謝罪文と手をついて謝ろうと振り返った瞬間

 

「ルビー、ご飯にチョコを混ぜるな」

 

 どうやら寝言だった、本来ならルビーの食生活についてツッコミを入れようと思う有馬だが、流石にそんな余裕はなく、音を立てずに深呼吸した。

 

「(ビックリした、寝言って、どんな夢見てるのよ?)」

 

 なおルビーはご飯にマーブルチョコをふりかけのように入れて食べるのが好みである。

 

「(普段はカッコイイのに、寝るときは可愛い顔して、オラオラ)」

 

 彼の頬を指先でプニプニ突いていたら、アクアの瞳が開いて、有馬を直視している。

時間が止まった。終わった。数々の思い出が走馬灯のように駆け巡り、自身の芸能生活が終焉を迎えると思った。だが

 

 

「なんだルビーか?また・・・怖い夢でも見たのか?ほら」

 

 アクアは彼女の手を取って自身のベッドに引きずり込む、寝ぼけているのであろう。その勘違いが有馬を救ったが更に事態を悪化させた。

 

「えっ?ふぇっ?」

「ほら、大丈夫だから、一緒・・・だから」

 

 彼が再び目を閉じて寝息を立てていたが、完全に抱き寄せられる形となり、抜け出すことが出来なくなった。

 

「(あぁ手はひんやりしてるのに、体は温かい、それに甘い匂いもする。化粧水かな)」

 

 オーバーヒートした彼女の脳は考えるのを止めてしまい、惰性にながされてしまった。

 

「ほら、いい子」

 

 アクアは彼女の頭をゆっくり撫でながら、上から下へ髪の毛をとかしていく、それは子供をあやす母親のように愛情の籠ったモノだった

 

「(ママに最後に撫でてもらったの、いつだっけ?)」

 

 親から愛情ではなく成り上がる道具として扱われた彼女にとって、この感覚は久しく無かった。寝ているがアクアから受ける愛情は有馬の心を満たすモノだったが同時に

 

「(黒川あかねは、アクアを独り占めにしようとしている)」

 

 ドス黒い感情がこみ上げてしまった。それは確証もないもない彼女の妄想であったが

 

「(嫌だ、もう何も失いたくない、離れてほしくない、だって、だって)」

 

 思考が黒く染まる。

 

「(あぁ私、アクアのこと好きなんだ)」

 

 導き出された答えは素朴で単純なことだった。だけどアクアには黒川あかねがいる。でも彼が選んだ訳ではない、彼女が選んだにしかすぎない。なら彼がアクアが選んでくれればいい。薄ら笑いを浮かべた有馬は彼の胸に顔を埋めていた。それは自分の獲物だということを示すマーキングに近かった。

 

 

 

 

 結局、有馬は朝の4時過ぎまで、アクアの温もりを堪能し、ルビー達のいる部屋に戻った。二人はぐっすり寝ている。バレていないことに安堵したが、結局寝れていないので体は絶不調なのに心はとても軽かった。どんな困難が訪れても今日のライブは成功出来ると思った。なおアクアの朝は早く5時には起きて、全員の朝食を用意するので割とギリギリだった。

 

 

 

 

 

 朝食を済ませた各々は準備に奔走し事務所をあとにした。4人を乗せた車は先にアクアの撮影場所になる式場で止まり彼を降ろした。去り際に有馬が「絶対に来なさいよ」という強い念を込めて言葉にしていたが、「絶対に行く、嘘はつかないよ」と返された。

 

 

 式場では各事務所から到着していた役者やモデルがいて、先着していたフリルが出迎えてくれた。彼女の手引きで撮影衣装に着替える場所に案内してもらい、アクアはネイビーのタキシードを着用した。待機所では既に白のドレスを着ていたフリルが座っていて、普段の彼女とは違う色気と清楚が混在した出で立ちに彼は素直に

 

 

「綺麗だねフリル」

「ありがとうアクア」

「しかし嫁入り前の女の子にウエディング衣装着せるって、どう思う?」

「あら、おじさんみたいなことを言うのね、じゃあ今日アクアが貰ってくれる?」

「法が許してくれないよ」

 

 彼女とたわいない会話をしていたが気になったことがある。

 

「なぁフリル、この衣装って靴を含めて高級なブランド品だよな?」

「そうね、私のドレスも海外の有名デザイナーな手掛けたって言ってたわ」

「ギャラも含めてだけど撮影にしては、かなり羽振りが良くないか?ここ」

 

 昨今のブライダル産業は景気低迷も相まって、右肩下がりである。挙式を1回でも行うだけで数百万のお金が飛んでいき参列者も少なく、ご祝儀で賄うことも不可能で入籍だけで済ませたり、親族だけで小さく行うことが多く、アクアの疑問も最もである。

 

 

「お答えしよう!!」

 

 二人の真後ろで、男性の大声が響き渡った

 

「誰ですか?」

「驚かしてしまって失礼、私はこの式場の総支配人の檀黎斗だ、以後お見知りおきを」

「あぁ、はい」

 

 彼の圧にたじろぐアクアだが、それもそのはず

「(エグゼイドの檀黎斗神じゃん、凄いマジで会えてるなんて)」

 

 ニチアサ特撮オタクの生前の彼にとって、最高の人物との出会いで天にも昇る気持ちである。

 

「さて、君の疑問だが、確かにこの業界は右肩下がりで不要論すらある。だが結婚式とは神事であり、互いの愛を誓いあう神聖な儀式、それを疎かにして何が目出度い?娘の晴れ姿を待ち望む父がいる。息子の一生に一度の晴れ舞台を楽しみにしている母がいる。ならその期待に応えるのが私の使命だ!」

 

 檀黎斗は階段を颯爽と駆け上がり、全員が注目する中で

 

「諸君、今日はここチャペル幻夢へようこそ、私が総支配人の檀黎斗だ、忙しいスケジュールの中、撮影に協力してくれることに感謝している。さて私からのささやかなプレゼントだが、今諸君らの着ている衣装をプレゼントしよう。ただし1つ条件がある。SNSで多いに宣伝してほしい、君たちの影響力に期待している」

 

「ねぇアクア、言ってることや理念は正しいわ、だけど」

「フリル、多分俺ら一緒のこと思ってるから、せーのっで言おうか」

 

せーの

「「上半身裸でパンツ1枚で言う台詞じゃない」わ」

 

 スタッフに羽交い締めされて式場から追い出される檀黎斗であった。

 

 

 

 この撮影は大人数が参加している為、タイムスケジュールが機能してなくアクアの出番も時間通りではなく、既に30分遅れていた。着換えることを含めるとフェス会場に辿り着くのはギリギリになる。そんな彼を横目に見ていたフリルは、ある準備を進めるためスマホを操作していた。

 

 結局呼ばれたのは予定の時間から1時間過ぎていたが、不平不満を顔には出さず、フリルと腕を組んだり、彼女をお姫様抱っこして撮影を済ませた。しかし既に夕日は傾きかけアクアは撮影衣装のまま、式場の外に出たがタクシーが見つからない、万事休すと思った瞬間

 

「アクア、こっちよ!」

 

 フリルが彼の名前を呼んで手招きしている

 

「はやく乗って、行くんでしょフェス会場に」

「恩に着るフリル」

 

 不知火フリルは撮影前にマネージャーと連絡を取り、アクアをフェス会場まで送ることを了承させた。なお最短ルートで辿り着ける為に下見もさせていた。マネージャーが運転する車に乗り込んで、アクセルを踏み込んで発進した。

 

「ありがとうフリル」

「お礼は、また今度貰うわ」

「なんでも言ってくれ、出来る限り最大限のことはする」

「ふふ、今のうちに考えておく」

 

 これで安心したと思いきや、車が全く進まなくなった。どうやら少し先で交通事故が発生し、それが原因で渋滞となっている。焦るアクアだが

 

「(会場まで、あと2.5キロぐらいか)」

 

「すいません、ここで降ろしてください。あとは走ります」

「マネージャー、車を脇に寄せて」

「わかりました、星野さん、この道を真っ直ぐ行けば会場に着きます。どうかご武運を」

「ありがとうございます。フリルもありがとう」

 

 彼がこの台詞を口にした瞬間、彼女に抱き寄せられ

 

「行ってきなさい、フェスの話、いっぱい聞かせてね」

 

 そう言ってアクアを送り出した。静かになった車内では

 

「中々、芯の据わった殿方ですね」

「えぇ、私のお気に入りですから」

 

 なお、このマネージャーは視聴した作品に影響を受けやすく、運転するまでに時代劇をみていた。

 

 

 

 アクアは全速力で駆けた、慣れない靴だが関係ない、会場に近づくにつれて人が多くなり真っ直ぐに走れない、しかし彼は最大限の力を足に込めて会場まで向かった。

 

 既にフェス会場では新生B小町の出番が迫っていた。緊張で震えているルビーとMEMだったが、有馬の「ここで震えていたら、一生ビクビクして生きるよ、さぁ私たちのステージを皆に見せつけるよ」と二人を焚きつけていた。

 

 スターステージに立ったルビーとMEMは、初めてのことで気圧されていたが、不思議と緊張はなく、この空間を全力で楽しもうと心を弾ませていた。しかし有馬は

 

「(アクア、アクアはどこ、来るって約束したじゃん)」

 

 彼が居ないことに意気消沈していたがライブは止まらない、彼女たちの楽曲がかかった瞬間、白いサイリウムが天高く掲げられた。

 

「(えっ!アクア!来てくれた、噓じゃないアクアがここにいる。なら私がやることは1つしかない)」

 

 アクアは間に合った、呼吸も粗く、額から零れる汗も関係無く、彼女のパーソナルカラーである白のサイリウムを掲げ、会場にいる皆と多いに盛り上がった。新生B小町の初のライブはファンから受け入れられることに成功した。

 

 

 

 関係者控え室の倉庫近くでアクアはぐったりしていた。運動はしているが、適さない服と靴で全力疾走したことで彼の体力はゼロに近く、更にライブではっちゃけたので、既に瀕死状態だった。夜風に当たりながら体力回復に務めていた。そんな彼の近くに

 

「中々、似合ってるじゃん」

「どういたしまして」

 

 有馬がやってきて、アクアの隣に座った

 

「約束守ってくれてありがとう」

「ん?あぁそのことか、約束を守るって当然のことだろ?」

「あんたらしいね、しかも走って来るなんて」

「笑うな、ここに来るまで大変だったんだ」

「その恰好で言われてもねぇ」

 

 互いに疲れていたが笑いあって心地良い時間だ

 

「そういえば、アクアって推しのアーティストやアイドルって居ないの?」

「特に居ないな、別に興味が無いという訳じゃないな」

「ふ~~~~ん、そうなんだ、じゃあ」

 

 

 

 

 

「私が、アンタの推しの子になってやるよ」

 

 

 有馬かなの渾身の宣言に見惚れたアクアも無言の笑顔で答えた。だけど彼女の目からハイライトが消え、目が眩む太陽のような光は漆黒の闇に包まれていた。目の前にいたアクアもそのことには気付いていなかった。

 




 なんでヒロインを闇化させちゃうんだろう?ヤンデレ好きだけど



1つ気になったのですが、楽曲のタイトル名だけを本文に記載する場合でも、楽曲コードを入れる必要ってありますか?
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