【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

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ルビーの回想とモノローグになります。


1期と2期の空白期間
ルビーの振り返りと夏祭り


 

 

 私は天童寺さりなとして短い生涯を終えた。最期は両親すら来なかったけど、担当してくれた「せんせ」と一緒に過ごすことが出来て幸せだった。そして気づいたら、アイドルの星野アイの娘として生まれた。推しの子供なって生まれるなんて最高なんですけど、この時は神様に感謝しました。しかも前世の私が死んでから数年しか経っていないことは「せんせ」に会うことが出来る。流石に0歳じゃ結婚は無理だけど、いつか「せんせ」に告白したいなぁ。

 

 

 私には双子のお兄ちゃんがいました。お兄ちゃんも前世の記憶を持っていたので、頭が良くて、いつも難しい本を読んでいました。自慢できるお兄ちゃんだった。だけどママの東京ドームライブの日にナイフでお腹を刺されてしまった。お兄ちゃんの指示で刺された所をタオルで押さえても血がドクドク出て来て、段々と冷たくなるのが分かってしまった。『死』を理解してしまった。社長が来てくれてすぐに救急車で運ばれたけど、もう意識が無かった。みんなお兄ちゃんの無事を祈ったけど、私は「死」を受け入れてしまった。

 

 

 

 だがお兄ちゃんは復活した。しかしその代償は大きくて、お兄ちゃんは皆のことを忘れていた。最初は皆を驚かす冗談かと思った。でもそれは嘘じゃなかった。悲しかった。ライブでオタ芸を披露したこと、ママと一緒に映画に出たこと、今までの思い出を全部失くしていた。アニメみたいに頭を叩けば戻ると思ったけど駄目だった。お兄ちゃんを含め皆は前を向いて「これから」のことを考えていたけど、私には生き返ったお兄ちゃんを受け入れることが出来なかった。

 

 

 

「なぁルビー、俺の記憶が戻ってほしいか?」

 

 家には大人たちがいなくて、お兄ちゃんだった人と留守番している時だった。

 

「医者が言うには、普段の生活をしていれば戻る可能性があるって言ってた」

 

 この言葉を聞いた瞬間、お兄ちゃんが戻って来る。また皆で楽しく暮らしていける。そう思った矢先

 

「じゃあ記憶が戻ったら俺は【要らない】よな?」

 

 分かっていたことだった。見て見ぬふりをしてやり過ごそうと思ってた。それは星野ルビーとして転生する前に自分が受けていた状況と同じだ、自分があの両親と同じように汚い大人になっていることを理解してしまった。どんなに言葉で否定ても

 

「結局は、お前は俺のことを見ていない、後ろにいる星野アクアの幻影だけを追っている。それは今を生きる俺に対する侮辱だ」

 

 

 口喧嘩じゃ絶対に勝てない、卑しい自分に嫌悪してた。でもいきなり頭を下げて

 

「納得してくれなくてもいい、受け入れてくれなくてもいい、でも【今の俺を見ていてくれ】」

 

 

 その瞬間、私はお兄ちゃんを受け入れることが出来た。理由なんてない。目の前にいるのは星野アクアマリンで、一緒に生まれた私の双子のお兄ちゃんだ。

 

 

 

 厳しいけど優しい。それが私のお兄ちゃんだ、子供の頃、怖い夢を見て一人で寝れなくなった時は、お兄ちゃんの部屋に行いくと、察してくれて一緒に寝てくれた。安心出来るように心臓の鼓動を聞かせて、頭をゆっくり撫でてくれた。体温は温かいのに手が冷たくて気持ち良かった。

 

 

 お小遣いがなくて母の日にママにあげるプレゼントが買えないという時も

「ルビー、ちょっと監督の所に行ってくるから、これで母の日のプレゼント買っておいて、俺がお金を出してルビーが選んだなら、一緒にプレゼントしたことになるだろ?」

 多分お兄ちゃんは、お金が無いことを知っていたと思う。ごめんなさい。余ったお金でお菓子を買いました。

 

 

 

 モデルとして活動していた、お兄ちゃんが久々に役者としてドラマに出ると聞いた時は嬉しかった。【今日あま】も好きな漫画だった。でも、お兄ちゃんを役者の舞台に引き戻したのが『有馬かな』と知った時、嫌な感覚に陥った。記憶を失う前に共演した時の印象が今でも残ってる。ドラマ自体は低評価だったけど、ストーカー役として復帰した最終回だけは、世間から一定の評価を受けていた。社長も「これを足掛かりに役者復帰に舵がとれる」と言ってた。

 

 

 その矢先、お兄ちゃんのスカウトで『有馬かな』苺プロに移籍した。役者として再浮上を目指す彼女の夢に共感した、ということで手を差し伸べた。最初は嫌だったけど、同年代で芸能界の先輩として頼れる人で面倒見が良かったし、更に新生B小町のメンバーにもなってくれた。

 

 

 お兄ちゃんはその後、恋愛リアリティショーの【今ガチ】に出演し、最初はコメディ担当として、お茶の間を笑わせてくれる存在だった。でも台風の日から変わってしまった。追い込まれた共演者の『黒川あかね』を助ける為に無茶をした結果、動画を作った後に事務所の床で倒れていた。最初見たときはビックリしたけど寝息が聞こえて安心した。マジックで胸に北斗七星を描いたらハリセンで叩かれた。

 

 番組が終盤になる頃には『黒川あかね』と結ばれるのか?が焦点になった。彼女の復帰以降お兄ちゃんは普段見せない顔を画面に残した。あと私の制服を着たママと一緒に説教されたこともあった。最終回では、押し倒されたお兄ちゃんに、跨ぐ形でディープキスを見た瞬間、心が痛くなった。私のお兄ちゃんに何してるの?カップル成立のテロップが流れた時『こんなの違う』って思ってしまった。

 

 

 新生B小町は元声優で事務員アルバイトをしていたMEMさんが加入し、夏のジャパンアイドルフェスに向けて活動を始めた。MEMさんもお兄ちゃんと出会ったことで人生が変わったと言ってたが、この世界の神様はどれだけ奇跡を起こすのだろう?バーゲンセールのやり過ぎだ。

 

 世間に名前を広める為に【今ガチ】で共演したMAYちょの番組に出演した際「アクアさんって年下なんですけどお兄ちゃんみたい」と聞いた瞬間

 

「(お兄ちゃんの妹は私、誰のものでもない)」

 

 と大声で言いそうになったが、寸前で堪えることが出来た。

 

 フェスに向けて練習は熾烈を極めて、センターを務めるロリ先輩の言葉はきつかったけど、自分の目指す夢に妥協はしたくなかった。お兄ちゃんも仕事の合間にサポートもしてくれて、それだけでも嬉しかった。ライブ当日は緊張したけど、会場にいた人達に新生B小町をアピールすることが出来た。

 

 

 

 

でもずっと気になっているんだよね。アイドルフェスの当日

 

 

 『どうしてロリ先輩からお兄ちゃんの匂いがしてたの?』

 

 

だって、その香り、私がお兄ちゃんにプレゼントした化粧水と同じだよ

 

 

 

 

 夏休みも終盤に差し掛かり、夏の甲子園では30対48で島根県の高校が優勝したが、放送を見ている地元民以外の人が『島根県ってどこだっけ?』と頭にクエスチョンマークを浮かべていた。

 

 陽東高校の芸能科は仕事の都合で授業に出席することが出来ない生徒がいるので、授業よりも提出物が出されていることが重要視されている。アクア・フリル・有馬は既に夏休みの宿題を終わらせ、休み明けに行われるテスト勉強もしている。なお当然のようにルビーは溜め込んでいた。去年までならアクアが手を貸していたが、アイとミヤコさんから「貴方が甘やかすから、ルビーは馬鹿になる」と言われ、今年からは手伝わない方針となった。

 

「お兄ちゃんの読んでいる本が難しいよ~」

 

 普段、漫画しか読まないルビーにとって、アクアの読む小説は、赤ちゃんが象形文字を解読するレベルで難しく、頭から煙を出してダウンするルビーであった。

 

 

 そんなルビーをソファーで寝かしたアクアはミヤコさんに呼び止められ

 

「アクア、暇ならここに行ってみたら?」

 

 渡されたのは、事務所近くで行われる夏祭りのチラシだった。

 

「リアリティショーから立て続けに仕事して、碌に夏らしいことしてないでしょ?」

「分かった、あかねを誘ってみる」

 

 アクアがスマホで連絡をしようとした瞬間

 

「黒川あかねは、今北海道で2時間ドラマの収録中よ」

 

 二人の後ろから有馬がやってきて、アクアも「あっそうだ」と思い出した。黒川あかねは【今ガチ】で知名度を上げ、端役だがドラマの現場に呼ばれるようになり、数日前から北海道に旅立っていた。一人で夏祭りに行っても味気ないし止めようと思っていたら

 

 

「じゃあ、私と行く?」

「かなちゃん、流石に現役アイドルとモデルで、そうゆうのはマズイ気が」

 

 ミヤコさんの言ってることは正しい、デビュー間もないアイドルを狙う週刊誌のゲス野郎は神出鬼没で対処が出来ない。

 

 

「別に、学校と事務所の先輩・後輩が遊びに行くだけですし、変装もしますよ、特にアクアはそうしないと駄目でしょ」

 

 

 以前アクアは変装無しで出掛けてしまったせいで、電車内でパニックを起こしてた。ミヤコさんは根負けして「バレないようにしなさいよ」と残し去ってしまった。

 

 

 本来なら浴衣でも着て、夏祭りの雰囲気を楽しみたいところだが、急遽決まったイベントに対して準備する時間もなく、簡易的な変装とお互いにラフな格好で会場に向かった。

 

 

「ねぇアクア」

「なに?かなさん?」

「もう、さん付けするのは止めてくれない、そりゃアクアが礼儀正しいのは知ってるけど、他人行儀で壁を感じるというか」

「流石に名前の呼び捨ては、ハードルが高いな」

「黒川あかねには出来て、私には出来ないと?」

「せめて、苗字の呼び捨てで」

「まぁいいわ、心の広い先輩はそれで許してあげる」

 

 

 会場内を歩き、近くのテーブルで購入したラムネとたこ焼きを二人で食べている時だった。

 

 

「そういえば、アクアの夢って何?聞いたことがないけど」

「ん?別に言うほどでもないよ」

「気になるじゃない、教えてよ」

「1日が終わって、寝るときに『明日もいいことがありますように』と思って生きること」

「なにそれ?」

 

「そりゃ役者としての夢はあるけど、でも根幹は人であり心、朝起きて家族の顔を見て『頑張ろう』という気持ちになれれば、最高だと思ってる」

「あんたホントに16歳?」

「アニメやフィクションのように『大金持ちになりたい』『世界を我が手に』とかあるけど、否定はしない。でもそれって気づいたら一人なんだよね。自分の理解者が隣にいてくれるだけで、俺は幸せを感じる」

「その夢は叶いそう?」

「叶える為に生きてる」

 

「(アクアの夢って、当たり前のことなんだけど、みんなそのことを忘れてしまって生きてる)」

 

 自分の好きな男の夢は小さくない、誰にでも叶えることが出来ることだけど、かぐや姫の難題よりも難しい、彼の求める家族に自分を入れたい。アクアが私の顔を見て頑張ろうと思えるのなら、私もアクアの顔を見て頑張れる。絶対に渡してはイケナイ

 

「じゃあ、かなさ・・・有馬の夢は?やっぱ女優として名声を得ること?」

「そうね、それも夢の1つだけど、大事な夢は内緒」

「え〜」

「女の夢は口に出さず、心の宝箱に仕舞っておくの、叶った時に鍵が開くってことよ、まぁルビーは例外ね」

「言えてるが、あれじゃ自分を脅迫しているみたいだ」

「有言実行してて可愛いモノよ、さて帰りましょうか、遅くなると心配するでしょ?」

「そうしますか、ありがとう有馬、誘ってくれて」

「いいのよ、後輩の面倒を見るのも先輩の仕事よ」

 

 

 二人揃って会場を後にした。アクアの夢は幸せを願う光、有馬の夢は、その光に並び立つこと、道のりは険しく後ろ指をさされることかもしれない。光に照らされることで闇は濃く写るのは、どの時代も変わらない。

 

 




ルビーはアクアに対して恋愛感情はありません。あくまで家族愛です。役者復帰してから兄の周りに女性が増えたことによる不安で感情が揺れ動いています。だから闇化はしません。

アニメ1期と2期の間に空白期間があるので、そこを埋めるオリジナルを数話入れて、東京ブレイド編にいきます。
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