【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

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何も考えずに、勢いだけで書いてしまいました。


夜の女子会

 

 

 今日の星野アイは、年末に放送されるドラマの撮影だった。有馬を連れて現場入りし、撮影も順調に進んだ。エキストラで急遽だが有馬も出演し久々の地上波ドラマの現場で爪跡を残すことが出来た。撮影も終わり二人で苺プロに戻る途中、ルビーの後ろ姿を見て、声を掛けたら今にも泣きそうな雰囲気を、察したアイは彼女達を連れて帰宅した。

 

 

「ルビー、話してくれるね」

 

 

 アイが目の前に座るルビーに向かって目を真っ直ぐに向けたが、当のルビーは黙ったままである。

 

 

「学校で何かあった訳ではなさそう?」

 

 

 うんともすんとも言わないルビーに対して隣にいた有馬が切れた

 

 

「あんたねぇ、私たちは超能力者じゃないんだから、はっきり口にしなさい。じゃないと何も解決することが出来ないでしょう」

「有馬ちゃん、落ち着いて」

「すいません」

 

 

 少しの静寂のあと、ようやく重い口を開いて

 

 

「私がいけないんです。私が・・・」

「何をしたの?」

「私がお兄ちゃんを苦しめていたんです」

「いったい、どうゆうことよ?アクアにイタズラしたんなら、まぁ一緒に謝ってあげなくもないけど」

 

 

 アイは顎に手を当てて考えていた。ルビーの言っていることが分からない。アクアに対するイタズラなら日常茶飯事のことだし、彼も目くじらを立てて怒ることはない。流石にレッドゾーンを超えることだったら、アクアも手を出すが、最後は笑って許していた。じゃあ目の前にいるルビーは何だ?『苦しめた?』アイはこのワードが引っ掛かる。だから確かめることにした。

 

 

「ルビー、まさか昔のこと?」

 

 

 アイの質問に頷くルビーを見て、母は答えを察してしまった。しかし【何故今になって?】という疑問が残る。

 

 

「昔のことって、あ~もう、分かるように説明しなさい」

 

 

 自分だけ蚊帳の外になっている有馬はキレていた。アイは1つ呼吸を整えて、目の前の彼女たちを見据えた。

 

 

「有馬ちゃん、有馬ちゃんはアクアの過去を知ってる?」

「アクアの過去?アイツが記憶を失っていることですか?」

「誰から聞いたの?」

「本人からですよ。二人が入試で学校に来た時に、教えてもらって」

「原因は知ってる?」

「知りません。アクアも話さなかったですし、私も聞かなかったので」

「知りたい?」

 

 

 アイの問いかけに少し思案した有馬だったが

 

 

「いいえ、こういったことはアイツの口から直接言うのを待ちます。今ここで答えを聞いたら、私はアクアと今まで通りに接することが出来ません」

「ありがとう」

 

 

 アイは彼女に頭を下げて、感謝の意を述べた。

 

 

「続けるね。アクアは事故で病院に運ばれて1回死んだの」

「え?でも、アイツは」

「そう、止まった心臓が動き出して、息を吹き返した。あの時のことは絶対に忘れない。『あぁ神様っているんだ、アクアを助けてくれてありがとう』って思ったけど、神様は残酷なことをしてくれた」

「記憶を失っていたんですね」

 

 

 有馬の回答に黙って頷くアイは、ルビーを見たが顔を下げていて表情が読めなかった。

 

 

「目覚めて、アナタは誰ですか?だもん。医者から『記憶が戻らない可能性がある』って聞いた時は倒れちゃって」

「まぁ経験はありませんが、理解できます」

「ベッドで横になっている時に思ったの、記憶が無くてもアクアはアクア、失った記憶以上に楽しい思い出をみんなで作ろうって」

「強いんですね」

「強くないよ、ただ足を止めたくなかった。それだけ」

 

 

 

 

「私は受け入れることが出来なかった」

 

 ルビーが重い口をようやく開けて話し始めた。

 

 

「生き返った時は凄く嬉しかった。でも記憶を無くて、私や皆のことや、先輩と共演した映画のことの記憶を失って、最初は受け入れようとした。でも生き返ったお兄ちゃんを見ていくと、今までのお兄ちゃんが居なくなってしまうのが嫌だった」

「ルビーあんた」

 

「ある時、言われたの『普段の生活をしていれば、記憶が戻る可能性がある』って、あぁ昔のお兄ちゃんが戻ってくる。また皆で楽しく過ごせるって、でも『記憶が戻ったら俺は【要らない】よな』って聞いたとき、卑しい自分が心の中で笑っているのが見えた」

 

 

「お兄ちゃんは今を必死に生きているのに、近くにいる私が目の前の存在を否定していた。でもお兄ちゃんは頭を下げて【今の俺を見てくれ】と言った時、初めて受け入れることが出来た」

 

 

 有馬はこの兄妹の壮絶な過去を憂いだが、1つ気になることがあった。それはアイも同様に思う事だった。

 

 

「ルビー、あんたの過去は分かったけど、じゃあ何でそれが今になって?」

「実は」

 

 

 ルビーは今日の出来事を二人に教えた。クラスメイトの不知火フリルの演じる役が記憶喪失の女性で、アクアに役作りの助言を求めた。当然フリルはアクアの過去を知らないので、男性目線や第三者からの意見として聞きたかったことだと二人は理解した。

 興味本位で先回りして二人を待ち伏せしたこと、五反田監督の家でアクアが自身の過去を架空の人物として作り上げ、フリルに役作りのヒントを助言している時の顔を見たら、過去の自分がフラッシュバックしてしまい、自分が兄を苦しめていたと思ってしまい家から逃げ出した。

 

 

「アクアのことは擁護しないけど【好奇心は猫をも殺す】ルビー今のあなたにピッタリな言葉よ」

「先輩」

「たくっあのバカ、もうちょっとデリカシーというか空気読め、というか」

 

 有馬はアクアに悪態をついているが嫌悪はしてない。

 

 

「ねぇ、ルビーはアクアのこと嫌い?」

「え?」

「アクアが9歳ぐらいの頃だったかな、事故の後遺症もなくて普段通りの生活をしてたんだけど、妙に周りをチラチラ見ててね、動き方もぎこちなくて、しばらく様子を見て気付いたの」

 

 

「今のアクアは過去のアクアを演じようとしている」

 

 

「多分ルビーに言った【俺を見てくれ】も本心だけど、アクアの心の底では記憶を失う前の星野アクアらしいことを演じれば、周りを笑顔に出来ると感じたと思う」

「あいつ、子供の頃からそんなことを?」

「でもね、ミヤコさんが言ってくれたの『過去の為に動くのじゃなくて、今を生きなさい』って、見違えるほどって訳じゃないけど、それ以降、顔色伺いをするアクアは居なくなった。でも別の問題が発生した」

 

 

 有馬とルビーは頭に「?」を浮かべていた。何が問題なのか分からなかった。

 

 

「ルビー、思い出してみて今までのアクアを」

「今までのお兄ちゃん?」

 

 

 アイに促され昔のことを思い出していた。

 

 

・自分がアイに甘えている時に掃除をしていた

・友達と遊んでいる時、いつも留守番をしてくれていた

・宿題を見てくれた。お腹が空いたらおやつを作ってくれた

 

 

「(あれ、お兄ちゃんって?)」

 

 

「理解した?アクアって自己犠牲の塊というのを」

「あっ」

「アクアは誰よりも悲しい顔を嫌うの、周りの人たちが笑顔なら自分は傷ついてボロボロになってもいい、好きな人が幸せなら何も要らない」

「今までお兄ちゃんに甘えていたんだ。なのに・・・なんで・・・」

「アイツは何、顔がアンパンのヒーローなの?色んなモノ背負って見返りを求めずに、そんなの16の子供がしていいことじゃない。狂ってるおかしいよ、私より涙を流していいのに、アクアの笑顔が壊れいくのなんて見たくない」

 

 二人は目に大粒の涙を溜め込んでいた。それは近くにいたのに気付くことが出来なかった自己嫌悪か彼に甘えてしまうことを当たり前だと思ってしまったことなのか、分からなかった。

 

 

「少し前、ルビーが学校をサボった時に、アクアと制服デートしたの」

 

 

 サラッと発言をしたが、スルーする

 

 

「あの子、自分の犠牲で助かっている人は居ても、悲しんでいる人のことを知らなかったの、そのことを指摘したらポカンとしてたわ、だから『周りの大人を頼りなさい』って言っちゃった。でもその時の顔を見たら、『大丈夫この子は変われる』って思った。まぁスグに変わることは無理だと思うけど、周りは口を出さずにアクアの成長を待つのが正解だと思うわ、有馬ちゃんもアクアのこと信じてあげて頂戴」

 

 

 

「まっ!後輩の成長を見守るは先輩の役目ですから、気長に待ちましょうかね」

 

 

 有馬が座った状態で伸びをしている時に、ふと思った。

 

 

「アイさん、アクアの夢ってどうゆう意味ですか?」

「あら、知ってるの?」

「夏祭りの時にアイツから聞きました」

「そう、でも言葉のままじゃないの?」

「えぇ理解して納得もしているのですが、腑に落ちないというか魚の骨が喉に刺さったような感覚があって」

「何に違和感を感じるの?」

「だって、『役者として名声をえたい』や『金持ちなる』という俗物的なことじゃなくて、目の前にある小さな幸せを大切に守ろうとしているなんて、年下の男が考えることじゃないです」

 

 

 あの時、自分もアクアの夢に賛同し、彼の隣に立って幸せを享受したい有馬であったが、あとからこみ上げる違和感を拭うことが出来なかった。

 

 

「アクアは何よりも家族を大切にしようとしている。彼らしいでしょ?誰もが見落としてしまう小さな幸せを守るのが夢なんだから、だから有馬ちゃんアクアのこと好きなんでしょ?異性として」

 

 

 百戦錬磨のアイドルに自分の心を見透かされた

 

 

「いや、ちょっと何言ってるんですか?わたしが・・・アクアを、好きだ・・な」

「先輩、見るからに動揺してますけど」

「うっさいわね、そうよ、私はアクアのことが好きよ」

「でも、お兄ちゃんには黒川さんが」

「いや、あれは黒川あかねが選んだだけで、アクアは選んでいない。なら私を選んでゴールインしてくれればいい」

 

「有馬ちゃん、それは修羅の道じゃ」

「ライブ前日の夜中に、アイツに抱かれた時、感じた温もりを手放したくない。黒川あかねに独り占めにさせたくない。アクアはワタシノモノにする。これは宣言です」

「抱かれたって先輩?ちょっと」

「有馬ちゃん、ちょっとお話し、しましょうか」

 

 

 有馬は暴走を続け、沈静化するのに10分を要した

 

 

「つまり、先輩は寝ているお兄ちゃんの部屋に侵入して、抱き着いてマーキングをしていたと、一言いいですか、ドン引きです」

 

 

 ルビーの一撃が有馬をKOさせた。多分初めてのダウンだ

 

 

「有馬ちゃん、流石に若気の至りで済ませることじゃ無いから、今の立場を理解して、清い交際を目指すなら邪魔はしないけど」

 

 自身の過去を棚にあげて諭すが説得力は皆無だと思う

 

 

「すいません。でもアクアを思う気持ちに嘘はありません。黒川あかねに負けるつもりはありません」

 

 

 彼女の顔には光煌めく太陽の輝きではなく、漆黒の意志が宿っていた。

 

 

「まぁいいわ、ルビー、アクアは貴方が思うほど弱くないの、別に明日からアクアに頼らず身の回りのことを全部自分でやるなんて出来ないでしょ、アクアも成長するようにルビーも変わっていけばいいの、それが小さい1歩でも、進んでいることに間違いは無いのだから」

 

「分かった」

 

「あと、アクアには今回のことは内緒よ、今まで通りにしないと気付かれるから注意して」

 

「「はい」」

 

 

「さて、どうする?結構遅い時間だけど何か食べに行こうか?」

「アクアを待たなくていいんですか?」

「多分、監督のところで食べてくるでしょ?偶には男のいない女たちだけの食事会でもしましょう。それに有馬ちゃんがアクアに惚れた理由も聞きたいし」

「言いませんよ、これは絶対に秘密です」

 

 

 3人寄れば姦しい、この場合は意味は違うがアクアを思う女性が複数人いることは確かだ。一癖二癖もある彼女たちに狙わるヒロインのアクアの明日はどうなる?

 

 

 




あと1話か2話のオリジナル話(コメディ寄り)を書いて、東京ブレイド編に入る予定です。金曜日と土曜日は仕事の都合により執筆の時間が無いので投稿は出来ないと思います。

あと姫川さんの誕生日を少し早めて良いですかね?ネタとして書きたい文章があって、東京ブレイド稽古中に20歳にしたい。


追記
作中内でヒロイン達がヤンデレ化してますが、自分にとってのヤンデレは、相手に対して「愛が深い、誰よりも貴方を愛する」の方に重点を置いてます。
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