【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

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姫川さんの誕生日を変更し、既に20歳にしています。


書き込むときは、間違いが無いか確認しよう

 

 

 

 鮫島アビ子先生は『今日あま』の吉祥寺先生と一緒に稽古の現場にやって来た。アクアは彼女を見た第一印象は小さくて可愛い女の子に見えた。この人が5000万部以上を売り上げる人気漫画家とは到底思えなかった。童顔で背も小さく着ている服も子供服のように見える。その上、吉祥寺先生の後ろに隠れて声も小さい

 

「(小さい頃のルビーみたいだな)」

 

 

 アクアは小学生時代のルビーが人見知りで、初めての会う人の前だと自分の後ろに隠れてしまうことを思い出し笑いをしていた。有馬は吉祥寺先生と仲が良く和気あいあいと喋っていたが、メルトには親の仇を見るような目で睨み付け、その場を後にした。

 

 

 

 彼女たちは金田一さんの隣に座り、稽古を見学していた。分野は違うが彼女も作り手側の人間であり、アクア達の演技に見惚れていた。そんな彼女が椅子から立ち上がり、後ろにいた雷田に

 

 

「台本って、今から直してもらうことって、出来ますか」

「もちろんですが、どの辺りでしょうか?」

 

 

 額に汗を浮かべた雷田が恐る恐る聞くと

 

 

「全部です」

「え?」

「台本全部、書き換えてください」

 

 

 彼女の一言は現場を騒然とさせ、『みたのりお』のメガネに亀裂が入る大惨事となった。

 

 

 鮫島アビ子先生の怒りは脚本家のGOAさんに向かって、思いの丈をぶちまけていた。

 

 

「本当に私の漫画を読んだのですか?なんで性格が変更されているんですか?ちゃんと修正案を出しましたよね」

「ですが、舞台の性質上すべてを入れる訳には」

「だから、それも込みで伝えましたよね!」

 

 

 アクアのグループたちは蚊帳の外から、アビ子先生の怒号を聞いていたが収まる気配が無い、黒川あかねが近づき

 

 

「アクア、この後稽古を続けるのは?」

「無理だな、下手したら原作者NGで舞台そのものが中止になる」

 

 

 二人で成り行きを見ていたが、後ろにいた姫川が

 

 

「バラシになるな、黒川お前の旦那借りていくぞ」

「え?」

 

 

 彼の首を掴み、稽古場から去っていった。結局稽古は中止になった。

 

 

 アクアは姫川に促され、タクシーに乗っていた。

 

 

「あの姫川さん、どこに向かっているんですか?」

 

 

 アクアは助手席に座り、スマホを操作する姫川に向かって質問するが、答えは帰ってこなかった。アクアとしても稽古が中止になって、やることも無かったので時間を潰すには丁度良いと思う程度だったが、行き先も分からないのは不安だった。数十分後タクシーはとある場所に到着し、アクア達はタクシーを降りた。

 

 

「あのここって?」

「大井だ」

 

 二人が降り立ったのは平日のギャンブラー達が集う聖地『大井競馬場』にいた。入場料を払い、屋内の観覧スペースに腰を下ろした。

 

 

「どうした星野?なに惚けている?」

「いや、何で競馬場に?」

 

 

 アクアのツッコミもごもっともである。

 

 

「競馬場は競馬をするための所だろ?ここでゴルフやダーツでもするのか?」

 

 

 この時アクアはフリルの言った『反面教師にしなさい』という意味がようやく理解出来た。

 

 

「まぁ建前はそっちだが、本音は違う」

「どうゆうことですか?」

「星野、お前と話したかった」

「?」

 

 

 アクアの頭の中は「?」でいっぱいだった。話したいことがあれば稽古場で言えばいいのに、何故ここにしたのかが理解できない。姫川はマークシートを書き終えて口を開いた。

 

 

「黒川に関して、お前に礼を言いたかった」

「え?」

「恋愛リアリティショーの時、お前が黒川を助けてくれた」

「別に俺だけじゃ」

「いや、現にあいつの命を救ったのはお前だ」

 

 

 姫川の目が真っ直ぐアクアに向けられる。

 

 

「最初、黒川に【今ガチ】の話がきた時、俺は向いていないと思った。あいつは舞台上では天才役者だが、テレビに関しては素人に近い、お前だって現場で空回りしている姿を見ていただろ?」

「えぇ」

「劇団の面々も黒川にアドバイスを送ったが、結果を出すことが出来ずに大炎上、ったく外れた」

 

 

 姫川は外れた馬券をゴミ箱に捨て話を続けた

 

 

「追い込まれていくあいつを、俺たちは見てることしか出来なかった。しかしお前は黒川を助けて、ネットのイメージも回復させた」

「買いかぶりすぎですよ」

「過剰な謙遜は嫌味になるぞ、黒川が言ってたが『アクアがいてくれたから、私はここにいることが出来る』って」

「大袈裟ですよ」

 

「劇団ってのは家族みたいなモノさ、お前のおかげで家族を失う悲しみを回避することが出来た。もうあんな思いなんてしたくないんだ」

「あんな思い?」

「個人的なことだ詮索するな」

 

 

 姫川は机の上に散乱した外れ馬券を更に投げ捨てた。

 

 

「姫川さん、どんだけ負けているんですか?」

「多分、今日だけ中古の軽自動車が買えるぐらい」

「向いてないですよ」

「これが最後だ、この馬の単勝に財布の中身全部賭ける」

 

 

 姫川は前走逃げ切り勝ちをした馬の単勝に8万5千円つぎ込み、ファンファーレを聞きながら心臓を大きく震わせていた“大丈夫だ今回は前に行く馬は殆どいないし、稍重で逃げる馬にとって有利な馬場だ”と自分に言い聞かせていた。

 

 

 

 

 

 

「さぁ全馬ゲートに収まりました。1頭暴れていますが落ちつくのを待ちます。スタートしました。ああっと12番落馬しました。ジョッキーの三家本は大丈夫でしょうか?」

 

 

 

「あ゛~~~~~」

 

 室内ブースに劇団ララライの看板役者で月9の主演を務めた俳優の大絶叫が響き渡った。腹から声が出ているので凄く響いた。

 

「大丈夫ですか?姫川さん」

「星野、帰りの電車賃借りていい?」

「年下にたからないでください」

 

 

 アクアは姫川が捨てた馬券を拾い上げると、あることに気付いた。

 

 

「姫川さん、これ違いますよ」

「え?どうゆうことだ?」

「ここ大井ですよ、なんでここに園田って書いてあるんですか?」

 

 

 姫川は馬券を購入するとき焦ってしまい、マークシートを間違えて塗りつぶしていた。

 

 

「窓口に行けば、キャンセル出来るんじゃないですか?」

「分かったすぐ」

「あっ締め切り時間だ」

 

 姫川はこの日、2度目の絶望に落とされてしまった。

 

 

「最終オッズは」

 

 

 アクアはスマホを開いて地方競馬のサイトにアクセスした瞬間、顔をしかめた。

 

「どうした星野、この馬、何番人気だ?」

「12頭中の11番人気で、単勝オッズ104倍です」

 

 もうやめて姫川のライフは0よ、真っ白に燃え尽きた彼は立ち上がる気力すらなかった。アクアはYouTubeに切り替えてレースを見始めた。

 

「ほら、姫川さん最後まで見ましょう。もしかしたら勝つかもしれないでしょ?」

「もう駄目だ~無理だ」

「落馬せずにスタートしましたよ、応援しないと、後続を離してドンドン逃げてますよ」

 

 姫川はアクアの言葉に反応すらしなくなった。

 

「最後の直線ですよ、まだ先頭で走ってますよ、ゴール板も通過して1着でゴー・・・1着でゴール!!?」

「え?今なんて言った?」

「姫川さんの買った馬、1着でゴールしましたよ」

「うそ!!」

「嘘じゃないですって、ホラ見てください」

 

 

 アクアはさっきのレース映像をリプレイで見せた。

 

 

「おっしゃーーーーーーーーーーー」

 

 

 再び室内ブースに絶叫が響き渡った。アクアは周りの人達に「すいません」と謝り、姫川を払い戻し窓口まで連れて行った。姫川は約880万円の払い戻しを受け、アクアにも30万円手渡し、そのまま夜の街に消えていった。

 

「(あの人、競馬の税金大丈夫だろうか?まぁ紙馬券なら足もつかないしバレないか)」

 

 

 アクアは競馬場を後にして、貰った30万をミヤコさんへのプレゼント代に利用しようと思ったが、彼女が今、何を求めているのかを知らないので保留となった。

 

 

 

 

 数日後結局、脚本が白紙になってしまい、稽古そのものが出来なくなった。原作者がNGを出してしまうと演者は暇になってしまう。アクアはこの後の予定を頭に浮かべていた。

 

 

「(雑誌の撮影は無いし、事務所に戻ってもやることないし、あかねを誘ってミヤコさんへのプレゼントを買いにいくのもありだな)」

 

 

 予定を決めて動こうとした矢先

 

 

「アクア、あかね、ちょっとツラを貸しなさい」

 

 

 有馬に呼び止められた、アクアは何やら嫌な予感がすると感じてしまった。

 

 

 

 

 

 

 




 競馬ネタは筆者自身がやったことのある過ちです。
先に言いますが、あかねとのデートは無しです。重曹ちゃんにちょっと頑張ってもらいます。



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