【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

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アクア君、本編中2度目の・・・


舞台裏

 

 1日限りの公演を終え、演者たちは控室で満足感と疲労感に溢れていた。互いに感想を言い合ったり、背もたれに体重を預けグッタリしている人や、夏に向けての課題や修正する部分を洗い出す団員もいる。

 

「さぁ!飲みに行くぞ」

 

 みたのりお氏のメガネがキラリと光り、団員は近くで飲める店がないかスマホで検索していた。姫川はメルトに対してダメだしをしていたが、それは彼の成長を願っての激励であった。だが刀鬼を演じたアクアの姿がここにはいない。

 

 

 ミヤコとアイが控室近くまで訪れ、歩いていた有馬にアクアのことを尋ねても彼女も彼の行方を知らなかった。

 

 

「(あのバカ、どこにいるのよ?本番中のあの顔って)」

 

 

 有馬はメルトに、アクアがトイレに居ないか確認を頼み、自身も大人たち二人と手分けしてアクアの捜索に向かった。

 

 星野アクアはスグに見つかった。そこは舞台で使う備品を入れる倉庫で彼は刀鬼の衣裳のまま、床に座り込んでいた。呼吸も荒く額からは汗が止まることなく流れている。

 

「あんた、まさか?」

「かなか?・・・凄いね人体って、こんだけ痛いのに壇上に立てば、なんとかなるんだな」

「バカ言ってないで、救急車呼ぶよ」

 

 有馬がスマホを操作して、119番を押そうとしたが

 

「止めてくれ」

 

 アクアが彼女の手を抑えた。

 

「お得意のやせ我慢?いいアンタは怪我人なのよ」

「分かってる」

「分かってないでしょ、無茶をすることはカッコイイことじゃないの」

「俺のことをよく、ご存知で」

「どうせアンタのことだから、救急車に乗っても逃げ出しそうだし、この前の約束ここで使わせてもらうよ」

 

 有馬は部屋の鍵を掛けて彼の前に立ち

 

「そのマットの上に仰向けになって寝てちょうだい」

「こうか?」

 

 アクアは指示された通りに横になった。きっと無理に動かさないように寝かせると思っていた。

 

「かな?なんで近づいて?」

 

 有馬は彼の腹の上に跨り、怪我をしていない方の腕を掴み、もう片方の手でアクアの顎を固定した。

「なんでも言うこと聞くんでしょ?動かないでね!私も初めてだから」

「それ2つになってない?」

「女はワガママなの、それを受け入れるのが男の器量でしょ!」

 

 有馬はアクアの唇を自身の口で塞いだ。怪我人のアクアは動くことが出来ず、唯一動く手も封じられた。呼吸が出来なくなり離そうとしても有馬の口は、それを許してくれなかった。ようやく彼女の顔が離れた。

 

「キスってこんなにも気持ちいいんだ?癖になりそう」

 

 自身の口を舌なめずりして、ハイライトが消えた目はアクアを捉え

 

「かな?どうゆうつもりだ!」

「アクアが入院したとき、私が何を叫んでいたか聞きたかったよね?」

「あぁ、だから!それとこれがどう」

 

 

 

 

 

 

「好き、誰にも渡したくない」

 

 

 

 

 

「え?」

「私の役者としての人生を隣で見てほしい、そしてアクアの人生の隣に立ちたい。アクアの夢に私を入れて!毎朝私の顔をみて、あんたの幸せを叶えたい!」

「かな」

「お願い、もう独りにしないで!事故でアクアが死んだと思ったとき、全てが真っ暗になるほど絶望になった。フェス前に味わったアクアの温もりを失うのが怖かった」

 

 有馬はアクア胸に顔を埋め、涙を流していた。アクアは痛む手で彼女の頭を撫で、落ち着けようとした。

 

「もっとゆっくり、やって」

「ワガママな天才だ」

「あんたには、あかねがいる。でもアクアが選んだ訳じゃない。あかねを傷つけちゃいけないと思って惰性に流されてる。今ここで答えはいらない、私の魅力を生きてる限り伝える。そこで答えをだして」

 

 彼女はもう1度、彼と口づけを交わし、互いの唾液を交換し続けた。長い時間を経て痛みから回復したアクアは1つ気になることを聞いた

 

「なぁフェス前って、何かあったっけ?」

「ごめん、寝ているあんたの部屋に入りました」

「え~っと、それって」

「あんたが私とルビーを間違えて、ベッドに引きずり込んだの」

 

 有馬は当時のことをカミングアウトし、彼をドン引きさせたと共に寝るときは鍵を必ず閉めようと思うのであった。

 

 

 二人で倉庫を後にして、アクアは控室に戻って着替えた。みたのりお氏から「アクア君は来ないの?」と聞かれたが、怪我を理由にやんわりと断った。

 

 

 ミヤコが運転する車には、後ろの席にアイとアクアを乗せていた。当初は有馬も乗る予定だったが、黒川に連れられて飲み会に強制参加となった。自宅までの帰路を車内は沈黙が包んだ

 

「ねぇ、アクア」

「何?母さん」

 

 アクアが隣にいるアイに呼ばれ、声を上げると

 

『ツン』

 

「イダ~~~~~アぁあ」

 

 アイに怪我をしているところを指で押さえ、激痛に耐えることが出来なかったアクアは大声をあげた。

 

「やっぱり無理してたんだ」

「分かっているなら、やらないでよ」

「アクア、いつから痛めてたの?」

 

 ハンドルを握るミヤコが焦った口調で聞いてきた。

 

「匁と話している所から痛みだして、かなを抱いた時には痛覚がいかれてた」

「呆れた、何?上演中殆どじゃない」

「ごめんなさい」

 

 アクアは二人に謝ったが

 

「母さん?」

 

 母のアイに抱き寄せられた。

 

「今回だけは許してあげるけど、もうこんな無茶二度とやらないで、アクアどれだけ私たちを心配させれば気が済むの?嫌だよ、病院でご対面するのは赤ちゃんが産まれたとき以外じゃないと」

 

「うん」

 

 そう言って母の腕の中から、離れた

 

「ところでアクア」

「まだ何かあるの?」

 

 アイの首がぐるりとアクアの方を向き

 

「なんでアクアから、有馬ちゃんの匂いがするの?」

「いや劇中で、かなを抱いたじゃん!」

 

 彼の背中から、冷や汗がドンドン滴り落ちる

 

「それにしては、濃い匂いがするね。まるで長時間密着したような」

「これぐらい普通でしょ?」

「怪しい、吐け!いったい有馬ちゃんとなにをした?私に隠し事なんて16年早い」

「ちょっと短いな、いやだから何も」

「ミヤコさん、カツ丼買って帰るよ、この未成年Aを事務所でこってり絞りあげるから」

「じゃあ、あそこのコンビニで買いましょう、アクアの隠し事なんて、面白そうだし」

「ミヤコさん!」

 

 

 

 結局アクアは、有馬と告白を受けたことと馬乗りにされてディープキスされたことを話すと

 

「ア゛~~~~~~~~」

 

 アイが壊れたスピーカーのように奇声をあげて、ぶっ壊れてしまい

 

「あなたねぇ」

 

 ミヤコは舞台が始まる前に買い込んでいた胃薬の箱を握り潰していた。

 

なおMEMからは

 

「アクアさん、鮫島アビ子先生のサインは?」

 

今日1日だけで女性陣から様々な感情をぶつけられるアクアであった。




東京ブレイド編これにて完結です。

・鮫島アビ子先生の汚部屋設定と諸々
アニメを見た時に演じる佐倉さんの声質も相まって、ハマるキャラになりました。漫画を描くこと以外無頓着な性格に見えたので生活能力ゼロという設定にしました。なお記述してましたが、冷蔵庫内のサラダとカルピスは上京後に下宿先で倒れていた石ノ森章太郎先生のエピソードです。発見した赤塚不二夫先生が住んでいるトキワ壮に連れ込み、彼のお世話をしてました。それ込みで話を作りました。料理はハンチョウからです。

・競馬
とりあえず、作中で使うか分からないけど姫川さんの車の購入資金にしようかと思います。

・雷田さん
声優ネタを入れたかった「お前倒すけど、いいよね?答えは聞いてない」東京ブレイドで使えたのか不明ですが(筆者は中の人のファンです)

・アクアの復活
当初のプランでは舞台千秋楽の日に目を覚まして、最後のシーンに代役と交代させようと思いましたが筆者の力量では書くことが出来ず、すぐに復活させました。刀鬼が仮面のキャラクターならアドリブで仮面を投げ捨ててアクアを登場させるって考えたんですが作れませんでした。


日曜日から10本投稿っていかれてますね。とりあえず日常編を入れながら宮崎編に移行します。

木曜から仕事なので投稿ペースは落とします。
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