【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

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アクアとフリルちゃんのやり取りを書くのが楽しいです。


行ってみよう宮崎旅行
フリルちゃんは癒し


 

 

 東京ブレイドの1日公演は1名を除いて無事に終わった。役者たちも次の仕事に足を運ぶが、ララライ本部の舞台が使えないのと責任者である金田一の謹慎が重なり、しばらく休業状態となる。演技の面白さを体感したメルトは事務所に「ドラマの仕事を増やしてください」と直訴し、アクアや姫川に「もっと勉強したい」と躍起になっている。苺プロもB小町の活動を本格化させる為に奔走中で、近々にも大きな進展がある。なおB小町メンバー、ルビーの兄であるアクアは

 

 

「あ~~~~」

 

 学校の机の上でいつも通りに倒れていた。この男は机とキスをするのが好きなのであろうか?女の子と複数回キスをしているのに、無機物を好むのは変態なのだろう?

 

 

「フリル、俺の上でトランプタワーをしないでくれ」

「動かないで崩れちゃうから、あとトランプじゃなくてUNOよ」

「どっちでもいい」

 

 結局UNOタワーは崩れてしまい、床の上にカードが散乱してしまった。

 

「もう、せっかく2段目が出来たのに」

「頼むから、ツッコミをやらせないで。まだ体が痛い」

 

 事故から復帰し、上演中は激痛に耐えて刀鬼を演じていたアクアは、治るまで休業状態であった。一応モデルの撮影は先に予定されているが現在は暇である。

 

「自業自得ね」

「返す言葉もありません」

「毎回思うけど、アクアってマゾヒスト?」

「どっちかと言うとS寄りのハズだけど、考えてみるとMに傾倒してるかも?働き過ぎかな」

「そもそも、ちゃんと休んでいるの?」

 

 フリルの疑問も最もである。いくら怪我を負ったとはいえ体は若い、数日もすれば回復するのでは?

 

「実は昨日のことなんだけど、修羅場がありまして」

「面白そうだから聞かせて」

 

 アクアが語ったのは、MEMに頼まれていた東京ブレイドの作者、鮫島アビ子先生のサインについてである、稽古期間中にアクアは貰うことを忘れていた。どうにかしたいと思っていた矢先、吉祥寺先生からのLINEで『アビ子先生がお腹が空いてSOSを出している』と届いた。末文には『甘やかしちゃいけないけど、あと1回お願いします』と書かれていた。この時に『MEMさんを連れて行こう』と思い、彼女に声を掛けて食材を買い込んで鮫島家に足を運んだのだが

 

「私のアクアさんに近づくな泥棒猫が~」

「えっ?わたし泥棒でも猫でもありません」

 

 アビ子先生がMEMのことをアクアの彼女と勘違いし、説得するのに1時間かかった。部屋の掃除と料理を作り終えた頃には夕陽が完全に沈んでいた。なお彼女はMEMにサインを渡し、アクアには婚姻届の紙を手渡そうとしていた。

 

「泥棒猫って、流石にもう死語だと思うわ」

「二度と経験したくないね」

「アクアも漫画家の先生の為にご飯を作るなんて、相当なお人好しね」

「自分でもそう思う」

「因みに私の好物は四川料理だから、楽しみにしてるわ」

「激辛にしてやるよ」

 

 何気ないクラスメイトとの会話だが、舞台で疲弊したアクアの心を癒す最適な環境だと実感する。アクアは彼女を女優ではなく1人の女の子として接し、フリルも彼のことを芸能人とは思わず、二人の間には壁やフィルターなど存在しない。アクアの視線がフリルの目を見つめていた。

 

「アクアどうしたの?」

「ん?フリルと喋ると癒されるって思っていた」

「それ,愛の告白として受け取っていい?」

「これで結婚出来たら役所はパンクするね」

 

 周りを含め、二人の掛け合いは冗談だと思い笑っていたがフリルの目は少し違った。

 

「ところでアクア、これ見てくれる」

 

 彼女が差し出したスマホを見るとSNSの画面が開かれていて

 

「『競馬場で四つん這いで叫ぶ、姫川大輝らしき人物?』」

 

 その投稿文と共に映像も添付されていた

 

「これ姫川さんだよな?」

「間違いなく本人ね」

「日付は一昨日だから、中山かな?」

「アクアもう1度言うわ、こんな人間には絶対にならないで!」

「あぁ(言える訳ないよな、稽古中に800万当てましたなんて)」

 

 なお彼から貰った資金は無事にミヤコさんのプレゼント代と使われ、彼女の目から涙がこぼれていたのは言うまでもない。後日だがLINEにて「あのときの30万って残ってる?」と聞かれた。

 

 

 

〜放課後〜

 

「お兄ちゃん、帰るよ!」

「おう」

 

 アクアの席まで、ルビーがやってきて声をかけた。本来なら一人で帰るのだが、ミヤコさんからの命令で『アクアを一人にさせない』と命令されていた。途中で有馬と合流し校門を出ると

 

「おい、迎えにきたぞ!」

 

 苺プロ社長の斉藤壱護が車の窓から顔出して3人を呼んだ

 

「珍しいですね。社長がここに来るなんて?」

「仕事の交渉帰りでな、少し遠回りだったがアクアの怪我を考えて来たんだよ」

「社長が優しいなんて、偽物じゃ」

「ルビー、お前だけ置いていくぞ」

「乗ります!乗ります」

 

 3人を乗せた車は事務所に向かった、車内では

 

「実は、既にMEMには言ってあるが、今後の予定が決まってな、まずB小町の新曲についてだが『ヒムラ』がやってくれることになった」

「ヒムラって『STAR☆T☆RAIN』を作ってくれた、あのヒムラ?」

「そうだ、向こうも乗り気でな楽しみにしてていいぞ、あと今までPVを作ってなかっただろ?その撮影を2月に宮崎で行う」

 

 壱護が口にした言葉に疑問を持った有馬は

 

「なんで、わざわざ宮崎に行くのよ?」

「知り合いの映像作家がそこにいるのと、事務所のトップとして勤めている役者やアーティストの福利厚生を考えなければいけないからな、いわば休養も兼ねている。特にアクア!向こうには温泉もある。体をオーバーホールさせてこい、すぐに撮影の仕事があるからな」

「わかった」

 

 4人の乗った車は苺プロに到着し、学生たち3人が先にミヤコのいる部屋に入った。

 

「お帰りなさい。もう社長から話は聞いているわね?」

 

 彼女が3人に尋ね

 

「宮崎旅行たのしみ」

「ルビー遊びに行くんじゃないのよ」

「え~」

「まぁ観光する時間も作るし、多少ハメを外しても問題無いわ、アイは別の撮影があるから現地で合流する予定になるわ」

「じゃあ、みんなで枕投げ出来るね」

 

 既にルビーの脳内は遊ぶことでいっぱいだった。

 

「アクア、あんたキャリーケース持ってるの?」

「一応モデルだからな、連泊する撮影もあるから持ってる」

「そう」

「あの~、私持ってなくて~」

 

 対面にいたMEMが気まずそうに手を上げていた。

 

「じゃあさぁ一緒に買いに行こうよ!これからも絶対に必要になるし、先輩も行きましょうよ」

「しょうがないわね」

「でも、予算が」

「それは任せていいよね、アクア」

 

 有馬が隣で座る彼に向かってニヤリと笑いながら語り掛ける

 

「なんで俺なんだ?」

「聞いたわよ、ララライの姫川から30万円貰ったんでしょ」

「どこで聞いた!?」

「本人からよ、稽古中に高級車のパンフレットを読み込んでいたからね。質問したらゲロってくれたわよ」

「お兄ちゃんそんなに持ってるの?じゃあ私のキャリーも新調していい?」

 

 ルビーがキラキラとした目で近寄ってきたが

 

「ミヤコさん達へのプレゼント代に使ったよ、今までのお礼も兼ねてね」

「因みに何を買ったの?」

「メイクアーティスト御用達の化粧道具一式と高級酒のセット」

「お兄ちゃん、事故ってからおかしくなった?普段そんなことしないじゃん。もう1度病院に行こう。一緒に行ってあげるから」

 

 実の兄に対して酷い言い草である。

 

「俺にだって身内を敬う気持ちぐらい、持つよ」

「じゃあどうする?事務所にはあるけど女の子が持つには大きいし」

「アクア」

「はい」

 

 アクアは財布から5万7千円を取り出し有馬に渡した。

 

「お兄ちゃん、それって?」

「全額使ったなんて言ってないが、それに、これはあぶく銭だ使える時に使った方がいい」

「でも、アクアさんのじゃ」

「なら、MEMさんが姫川さんに会った時にお礼を言えばいい、元はあの人の金だし」

「それなら頂きます。そして姫川さんにお礼を言えるレベルまで頑張ります」

 

 MEMの宣言は今後B小町として売れていくを宣言するもので、室内にいる面々は久々に、笑い温かい気持ちになった。

 

 キャリーケースは明日買いに行くことになり、アクアも誘われたが「今の俺に荷物持ちは無理」と言って断った。

 

 

 翌日、集合場所へ向かうルビーを見送り、アクアは暇を持て余していた。運動や筋トレを禁止されウォーキングも誰かと一緒でなければいけない。それなら書店巡りでもしようと思い着替えていたらスマホが震え、ディスプレイを見ると『鷲見ゆき』と写し出されていた。

 

「どうした?珍しいな、そっちから掛けてくるなんて」

「ねぇアクア君、最近MAYちょって見た?」

 

 

 宮崎旅行へ行くまで、どうやら一仕事ありそうな予感がするアクアであった。

 




はたしてアクア君は宮崎旅行まで無事でいられるか?


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