【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

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 タグをヒロインに狙わるアクアに変更します。投票ありがとうございます。


そんな娘に育てた覚えはありません。

 

 

 「ねぇアクア君、最近MAYちょって見た?」

 

 鷲見ゆきの言葉を聞いたとき、アクアは自身の記憶を振り返っていた。彼女なら東京ブレイドのチケットを催促するはずなのに連絡が来なかった。最後の生配信も正月三が日の最終日だった。彼は自室のパソコンを立ち上げ、MAYちょのYouTubeチャンネルを開くと、最後の更新から6日間過ぎていた。電話越しの相手に対して

 

「動画も更新されていないし、この季節なら体調不良じゃないの?」

「それならSNSやコミュニティ欄に『体調不良でしばらく更新しません』って出るはずだよ」

 

 アクアはパソコンを操作し、MAYちょのアカウントを調べたが体調不良に関する情報は何1つなかった。

 

「確かに変だな、『正月休みで実家に帰ります』とも書かれていない」

「LINEの既読もスルーされてるし、ちょっと怖くて」

 

 ゆきの声が段々と震えてくるのが分かる

 

「それで俺に確認しに行ってこいと?」

「ゴメン、本当は私が行きたいんだけど仕事で外せなくて、ノブユキたちもテストで大事な時期だから」

「分かった。どうせ時間を持て余していたところだし、顔を見に行ってくる」

「ありがとう!こっちも片付いたら向かうから」

 

 アクアは電話を切り、タクシーを呼んでMAYちょの自宅へ向かわせた。

 

「(俺って本当に、お人好しだな、まぁ確かに連絡が取れないのは気になるが)」

 

 アクアは外の景色を見ながら、彼女宛に連絡を試みるが全く既読もされず電話を掛けても出てくれない

 

 

「(嫌な感じがするな、杞憂ならいいが)」

 

 

 不安なアクアをよそにタクシーは目的地に着いた。昨年の動画作成以来訪れていないが、あれから起きた怒涛の人生を振り返ると小学校へ訪れた中2の気分になる。 

 

 彼女の部屋のドアに立ち、インターフォンを押してもドアを叩いても反応が無い

 

「やっぱいないのか」

 

 アクアは帰ろうと思ったが、ふと立ち止まり、試しにドアノブを回してみると開いてしまった。

 

「(開いてる?閉め忘れ?いや1人暮らしの女の子がそんな不用心なことしないよな?)」

 

 アクアは最悪を想定して警戒心を上げ、すぐに110番出来るように準備し、玄関にあった傘を1本持ち背後から襲われないよう壁に背を向けて静かに進んだ。

 

 少し進むと目の前には倒れた段ボールがあり、ドアと壁の間にキッチリ詰まっていた。彼は以前この部屋に来た時のことを思い出し、ドアの先がトイレだと気付いた。

 

「(まさか?じゃないよな?)」

 

 手に持った傘でドアを叩くと、か細い声で

 

「誰かいるの?ねぇ誰?」

 

 探していた彼女の声だった。

 

「MAYか?アクアだ!いったい何があった?」

 

「アク・・た・ん?アクたんなの?お願い出して!助けて出して!」

 

 彼女の叫びと共に傘を投げ捨て、目の前の段ボールをどけてドアを開けると

 

「ア゛グだ~~ん、あり゛がどう~怖かっだよ~~」

 

 涙で顔がぐちゃぐちゃになり、全て感情が入り混じった顔をしたMAYちょが彼に抱きついてきた。なおアクアお気に入りの服は見事に洗濯コースとなった。

 

 

「いったい何があったんだ?連絡も返さないで」

 

 

 アクアに抱きついて、少し落ち着いたMAYちょが少しモジモジしながら語り出したのは、頭の痛くなる内容だった。正月の生配信後に体調を崩していたが年末年始に多額の出費をしてしまい、病院には行かないで寝て過ごしていたが治らず、その状態で収録していた動画を予約投稿で上げていたが、今度は横になっている時に使用していたスマホが異様な熱を帯びてしまい起動すら出来なくなった。多大なるダメージとストレスでまともな思考が出来なくなり、2日前に怠いが歩けるようになったので、誰かとコンタクトを取ろうと思い、外に出ようとしたが吐き気を催してしまいトイレに入った瞬間に段ボールが倒れて閉じ込められた。

 

「んで、飢えはポケットに入れていたチロルチョコで凌いだと」

「はい、そうです。あっトイレの水は飲んでないからね、そこだけは死守したから」

「おバカ!あれだけお金と健康の管理は、ちゃんとしなさいと言ったのに、お母さん悲しいわ」

「ごめんなさい。アクアママ」

 

 命の危機があったのにこの二人は呑気なモノである。

 

「はぁ~、色んな意味で疲れた。ってか顔色がまだ悪そうだな」

「うん、ちょっとまだキツイかな」

 

 アクアは彼女をお姫様抱っこして立ち上がり

 

「アクたん?ちょっと」

「病人は寝てなさい。台所借りるぞ」

 

 彼女をベッドに寝かせ、いつものオカンモードが発動していた。

 

「(とりあえずカロリー摂取が先決だな、抱いた時に体も冷たかったし、飲み物にするか)」

 

 お湯を沸かし、台所内を物色した彼はココアパウダーと砂糖、チューブ生姜を取り出し、それぞれをコップの中に適量を入れて最後にお湯を混ぜて彼女に渡した。

 

 砂糖によるカロリー摂取とココアと相乗効果のある生姜を混ぜることで体温の上昇を狙うのが目的である。MAYちょが飲んでいる間に次の作業に取り掛かるオカンのアクアは

 

「(いきなり固形物だと胃がビックリしてしまうし、レンチン用のご飯と鮭のフレークしかないって、普段どんな食生活しでんだMAYのやつ、仕方がない水量多めの粥にしよう)」

 

 台所で調理している彼を見ながら、ベッドに潜る彼女は

 

「(アクたんは凄いな~、颯爽と現れて人助けしちゃんうんだもん。もしあのときに私が告白していたら彼氏になってくれたのかな?でも今のアクたんには彼女がいるし、考えるだけ野暮か)」

 

 もしもの物語を思っていたが、時間を巻き戻すことは出来ない。しばらくして彼のスマホに着信が入り

 

「アクア君、そっちはどうだった?」

「MAYちょなら無事だよ、今お粥を食べてる」

「お粥?どうゆうことなの」

「電話で説明するのが難しいんだが、こっち来れる?」

「今、向かっている所よ」

「じゃあ来る前にスーパー寄ってくれる?MAYちょの台所に食料が何もなくて」

「分かった。言って」

「鶏ミンチ・豚肉・生姜・ネギ・ニンニク・ゆず・片栗粉に塩」

「ちょっと多いって、LINEに材料送って」

 

 通話ボタンを切り、必要な材料を打ち込み送信した。

 

「アクたん、ちょっと来て」

「何の用?」

「服着替えたいんだけど」

「あぁ分かった、見ないように隠れておくよ」

「いや、そうじゃなくて、お風呂にも入りたくて」

「まさか、入浴の介護をしろと?」

「いや、そうじゃなくて、背中を拭いてほしくて」

 

 アクアは手で顔を覆い少し逡巡していたが、ため息を吐いた後に

 

「大きめのバスタオルある?それで前を隠して、俺はお湯を持ってくるから、そっちの準備が出来たら声を掛けて」

「うん」

 

 彼女は言われた通りに準備を行い、お湯を持ってスタンバイしている方へ呼びかけた

 

「あまりジロジロ見ないでね」

「ハイハイ、痒いところはございませんか?お客様」

「それ美容室で言うやつでしょ」

「綺麗にするんだから一緒だろ」

「ねぇアクたん」

「ん?どうした?」

「やっぱ何でもない、前は自分でやるから席を外してくれる?」

「了解」

 

 玄関のドア付近で、時間を潰しているとチャイムが鳴り、鷲見ゆきが入って来た

 

「アクア君、頼む量が多すぎるよ」

「ごめんって、あとで代金は払うから」

「当然でしょ、MAYちょは?」

「向こうで、お着替え中、俺は行けないから行ってきな」

「覗かないでね!」

「あと5年成長してから言いなさい」

 

 しばらくして、彼女たちから入室の許可を貰い、アクアは再び台所に立って料理を始めた。彼が作るのは特製つみれ鍋であり良い匂いが室内に漂ってきている。

 

 

「トイレで単独の監禁プレイって冗談でも笑えないからね」

「うん」

「アクア君が来てくれたから良かったけど、奇跡なんて滅多に起きないから」

 

 彼女が今回の件でMAYちょのことを叱っていると

 

「ゆき、そうイジメるな」

「でも、分かっているけど」

「MAYちょも、まだ大丈夫って思わないで一人で寂しいと感じたら、すぐに対応すること」

「分かりました。アクアママ」

「何?アクア君がママ?似合ってるけど」

 

 ゆきがニヤニヤと笑っていたが

 

「年上の娘を産んだ覚えはないけどね」

「あれ?アクたん私が25って知ってたの?」

「「え?」」

 

 自称18歳の突如のカミングアウトに現役高校生二人はフリーズし、数秒を経て時は動き出した。

 

「ちょっとまて25ってどうゆうことだ?」

「MAYちょ、あなたまさか?」

「うわ〜〜、今の忘れてすぐに、忘れてお願いだから」

 

 しばらくしてMAYちょの暴走が終わり、落ち着いた3人は

 

「別にこの業界、サバを読むのは問題無いけど25が18歳名乗るって、MAYちょのメンタル凄いね」

「これには事情があって」

「聞くだけ疲れるから、俺はやめとく」

「アクたん~」

「別にMAYちょが歳を偽っても、本人であることに間違いないし、今ガチでゲームやってる時は楽しかったし、見る目が変わる訳じゃないよ」

 

 アクアはエプロンを脱いで、ジャンバーを羽織り

 

「鍋は温めるだけいいから、ゆきの分も作ってあるから二人でどうぞ」

「アクたんは食べて行かないの?」

「1日に夕食を2回食べるほど食いしん坊じゃないんでね、ゆきに頼みがある」

「なに?アクア君」

「もし、MAYちょの体調が悪くなったら病院まで連れていってほしい、もし駄々をこねるようだったら年齢で脅していいから、じゃあなお大事に」

「アクたん!」

「ん、なんだ?」

「ありがとうアクたん。命の恩人だからアクたんのピンチにはいつでも呼んでね」

「期待してるよ」

 

 そう言って彼はドアを開けて去っていった。室内に残された二人は

 

「アクたんって凄いね、もうヒーローだよ」

「そうね、あんな大怪我負ったのに」

 

 MAYちょが首を傾げ、頭にクエスチョンマークを浮かべるが

 

「知らないの?東ブレの稽古中に入院するほどの大怪我したのに舞台に立ったんだよ」

「じゃあ今も?」

「駄目なら病院にいると思うし、大丈夫だと思うよ、さて鍋を温めてくるから待っててね」

「うん」

 

 

 

 タクシーで帰路につくアクアは今日のことを振り返り、どっと疲れていた。トイレに閉じ込められていた共演者が7歳のサバを読んでいたことに驚いたが、自身のお人好しぶりに空笑いを浮かべていた。

 

 

 

 

???「あれが雨宮吾郎の魂がいた肉体か」

 

 

 

 

 

 自宅に着くと、買い物から帰宅したルビーから行き先を尋ねられたが、適当にはぐらかし

 

「お兄ちゃん、宮崎旅行に一人、メンバーが増えたよ」

「だれ?ぴえヨンさんでも来るの?」

「違うよ黒川あかねさん、先輩が誘ったの、凄い険しい顔をしてたけど、何を話したんだろう?」

 

 

 どうやら、この旅行は波乱万丈な旅路になると思う。アクアだったが、1本の電話によって事態は急変する。

 

「すまん、アクア!!」

 




ハンチョウネタです。そろそろMAYちょの年齢を明かそうと思い書きました。一人暮らしで閉じ込められるってヤバいので、トイレには脱出手段を持ちこんでおきましょう。

 アニメ勢なので宮崎旅行編に出てくる某キャラの口調が変になる可能性があるのでご了承ください。


 感想や評価を入れてくださり、本当にありがとうございます。励みになり執筆の活動意欲になります。次回は火曜日更新を目指していきます。
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