【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

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前話で火曜日更新を目指すと書きましたが、思いのほか筆が乗ってしまい出来てしまいました。


これもすべて斉藤壱護って奴の仕業なんだ

 

 

 黒川あかねは空港の椅子で当時のことを思い出していた。1日限りの舞台が終わり今後のことを考えていたが、金田一の謹慎とララライの休業が重なり暇になっていた。その日は生活用品を購入する為にデパートへ向かったら、B小町の面々を見つけてしまった。スルーしようと足早に離れよとしたら

 

「あっ!黒川さんだ!」

 

 妹のルビーちゃんに見つかってしまい、顔も合わせたくなかった彼女もいた。結局全員でお茶会となり、一人だけテンションが高いルビーちゃんが

 

「今度みんなで、宮崎旅行に行くんだ。お兄ちゃんのオーバーロードも兼ねているの」

「ルビー、オーバーロードじゃなくて、オーバーホールよ」

「どっちも同じでしょ?」

 

 どうやらルビーちゃんの頭は大分残念な様子だ

 

「あかね、あんた暇だよね?ララライも使えないし、やること無いでしょ?」

 

 首を縦に振ることしか出来なかった。

 

「なら来る?これって東ブレの慰安も兼ねているし、部外者って訳じゃないでしょ」

「それは・・・」

 

 私が答えに迷っていると、彼女が耳元で

 

「なら、アクアとのデート楽しんでくるね。宮崎にある高千穂神社って縁結びの効果があるのよ、連名で書いてくるから」

 

 何を言っているの?アクアの彼女は私なのに、何で?

 

「なによ、その顔は?なら来ればいいでしょ、こっちはPVの撮影もあるから、そっちが二人っきりになれる時間もあるのよ」

「私に塩をおくる気?」

「違うわ、私はフェアな闘いを望むだけ、そっちが来なければ不戦勝で私の勝ちってこと」

「その慢心を恨みなさい」

 

 きっと、この時の私の顔は演技では絶対に出来ない醜悪な表情だったと思う。

 

「ルビー、副社長に1名追加って伝えて」

「え?」

「黒川あかねも参加するって」

 

 結局、彼女が押し通してしまい、私の参加が決定した。

 

 

「バックレずに来たのね、褒めてあげるわ」

「かなちゃんに褒めてもらう必要はないよ」

 

 彼女の出で立ちは芸能人のオーラを隠す。空港ファッションで被っている帽子は知らないロゴだ

 

「まぁ、今のうちにアクアとの思い出に浸ってなさい」

「そっちこそ、自分の不甲斐ない姿を想像して、泣く演技の実践が出来るなんて役者冥利につきるでしょ?」

 

 

 しばらくして、事務所から出発してきた面々が到着したが、表情が暗い

 

「ねぇアクアはどうしたの?」

「実は・・・」

 

 副社長のミヤコさんが、盛大に大きな溜息を吐いて答えてくれた。

 

 

 それは、当日の朝だった。苺プロの社長の壱護は昨夜にアクアからプレゼントされたうちの1本を開けて上機嫌だった。

 

「俺達夫婦にプレゼントしてくれるなんて、あいつも成長したな」

 

 彼が生まれて16年が過ぎ、命の危機に陥りながらも着実に大人の階段を登っている。役者としても東ブレでの演技が評価され、ドラマのオファーもあるが、アクアがコメディ寄りなのは誤算かもしれないが、抑えつけるより自由にやらせた方が良いと思ってる。

 

 3日間静かになる事務所で、先々の青写真に思いを馳せながら彼のスマホが震えだした。相手は旅行後にアクアが向かう仕事先の人間だ

 

「おう、どうしたよ?」

「斉藤社長、お電話大丈夫ですか?」

「問題無い、なんだアクアに関してのことか?」

「そうです。集合時間が早まりまして、明日の午前7時までになりました。すいません連絡が前日になりまして」

「分かった。明日の7時な、つたえ・・・・え?あした?」

 

 その瞬間、壱護は変な感覚に陥った。明日ってアクアは宮崎にいる。そこから7時に現場入りなんて不可能では?

 

「そうですよ、明日の11日で集合時間が7時です。それではご連絡お願いします」

 

 そう言い残し、通話は切れてしまった。壱護はホワイトボードに書き込んである今月の予定に目を向けると『17日 アクア 8時現場入り』と書かれていた。数秒の時が流れ、彼は持っていたスマホを落としてしまい気付いてしまった。自分がしでかしたヤバいミスに

 

 

「はぁ~~~~17(じゅうしち)と11(じゅういち)を聞き間違えたって、どうゆうことよ」

 

 有馬の絶叫が空港内に響き渡る

 

「どうもこうも言葉のままよ、壱護が電話で受けた依頼を聞き間違えてしまったのよ」

「キャンセルすることは出来なかったのですか?」

「向こう側の直々の依頼でね、断れば今後に響く内容だったから、やむなく」

「しかも、お兄ちゃんに伝わったのが事務所に集まった時で、社長が土下座で謝っていたんだけど、ミヤコさんが・・・」

 

 

 

「すまん!アクア、俺のミスだ!」

 

 頭を床に擦り付け謝る壱護にもはや社長の威厳など無かった

 

「壱護、ちょっと顔を上げてくれる?」

「え?」

 

 彼が顔を上げた瞬間、副社長の右フックが炸裂し壁に吹き飛ばされ、伸びている彼の懐から財布を抜き取り、入っているお札を全て抜いて

 

「アクア本当にごめんなさい。こんなダメ社長のせいで、これ少ないけど3日間の生活費に使って、あと時間が出来たら今度こそ、皆で行くから今回だけは我慢して」

 

 そう言って彼女は頭を下げた

 

「ミヤコさん、もういいですよ」

「お兄ちゃん「アクアさん」」

「次は全員で海外にでも行きますか、旅費は社長持ちでビジネスクラスの行き帰り込みで」

「強がりでも、そう言ってくれると助かるわ」

 

 ミヤコさんはアクアを抱きしめ、もう1度謝罪した。

 

「っで、あいつは留守番になりましたと、副社長1つ、お願いがあります」

「多分、言いたいことは分かるけど聞くわ」

「帰ってきたら、私も殴りに行っていいですか?」

 

 有馬の覚悟が決まった台詞に、ミヤコは力強く頷き、他の面々も同調した

 

「あかね、あんたはどうするの?別に帰ってもいいのよ」

「行くよ、ここで帰ってアクアと過ごすのも考えたけど、私が残ったらアクアは自責の念に囚われてしまう。最愛の人として避けるべき行動よ、彼を知っていれば分かること」

 

 

 結局、アクアを除いた一行は宮崎に向かうことになった。なお現地で合流したアイも「あのヒゲを生かしておくのはやめましょう」とガチトーンでキレていた。

 

 

 少し時を戻して彼女たちが去った苺プロ内では、栽培マンに自爆されたヤムチャだったヒゲをアクアは起こし

 

「社長、今度からダブルチェックをやりましょう、あとはこれ」

 

 そう言ってミヤコから貰ったお金を返した。

 

「アクア?」

「とりあえず1万5千円あれば十分なので、明日は直で現場に向かいますね」

「すまない。お前の休みを兼ねた旅行なのに」

「いつか行きますよ、それでは」

 

 事務所から出ていくアクアはいつも通りの顔だったが、その背中には哀しみが漂っていた

 

「(やれやれ3日間暇になったな、とりあえず食材の補充でもするか冷蔵庫は昨日のうちに空にしちゃったし、アビ子先生の家に行って料理でも作るかな?いや止めておこう。あれ以上堕落させたらマズイ)」

 

 買い物を終わらせた彼にとって誰も居ない自宅は、ある意味新鮮だった。いつもはルビーか母のアイがいるのに、この空間に独りだけというのは滅多にないことである。

 

 

???「先にこちらと話すか」

 

 

 

 一方宮崎組はテンションが落ちた状態で観光していた。有馬と黒川が4人から離れ別行動となり、アイ・ミヤコ・MEM・ルビーが喫茶店で一休みしていた。当然誰も口を閉ざし、スマホやメニューに目を向けるだけで沈黙が続く

 

「本当に来て良かったのでしょうか?」

 

 この空気を察してMEMが口を開いた

 

「しょうがないわ、今回は社長が100%悪いのだから」

「お兄ちゃん、やっぱ落ち込んでいるよね」

「ルビー、ミヤコさん、何年アクアと一緒にいるの?多分あの子のことだから『俺のせいで旅行を楽しめないのなら、今から殴りこんでやる』って言ってくるよ」

 

 アイがアクアの真似をしているが全然似てなく、それにルビーが噴き出してしまった。

 

「もう笑わせないでよ」

「どう似てた」

「全然」

 

 ようやく会話が続き始めた頃にミヤコのスマホにメッセージが入り

 

「アクアからよ、見てちょうだい」

 

 彼女がみんなにスマホの画面を見せると

 

『俺のせいで旅行を楽しめないのなら、今から殴りこんでやる』と書かれている文面だった。

 

「お土産にペナントでも買っていきますか」

「アイ、それ古いわよ」

「じゃあ木刀?」

 

 彼女たちのやり取りで、よくやくこの旅行初めての笑顔が誕生した。

 

 

 アクアの唇を奪った二人は無言で歩いていた。目的地は互いに同じで縁結びで有名な高千穂神社であるが、両人の想い人はトラブルの為に留守番となっている。なお出発前に彼からの謝罪文は受け取っていて『気にしないで』と返信した。二人は境内の休憩スペースに腰を降ろし

 

「いつまで、黙っているつもり?」

「かなちゃんこそ」

「まぁいいわ、あんたに伝えておきたいこともあるし」

「アクアのことでしょ、何を今更」

 

 黒川の視線が鋭く有馬に向かう

 

「そう、私はアクアのことが好き、狂おしいほどに」

「人の彼氏に手を出していいの?」

「アクアは、あんたを選んでいない。優しさに付け込んで彼女ごっこをしているだけ」

「独り身の妄想は止めてよね」

 

 声が大きくなり、次第に苛立つ

 

「じゃあ聞くけど、アクアの過去を知らなかったの?」

「それは、言ってくれなかったし、私も聞かなかったのもあるけど」

「聞くのが怖かったんじゃないの?」

「そんなことない!」

「じゃあさぁ、アクアの夢って知ってる?」

「夢?」

 

 彼女は今までのことを思い出したが、彼が夢を語っているのを聞いたことが無い

 

「図星のようね、あいつは聞かれたことは答えてくれるけど、聞かなければ何も話さないよ」

「アクアの夢って何なの?」

「本人の口から直線聞いてみたら?答えてくれるよ、でも聞く勇気ある?」

「それは・・・」

「昔のあんたなら、聞けたと思うけど今の黒川あかねには出来ない。何故だと思う?」

 

 有馬からの問いは薄々感じていたことだ、だけど言葉にはしたくない

 

 

 

 

 

「アクアのことを怖く感じているでしょ」

 

 聞きたくない、でも耳を塞ぐことが出来ない

 

「お得意のプロファイリングを使えば使うほど、あいつの真意が見えなくなっている。近づいているのに答えを見つけたら、その答えは不正解になっている」

「分からないの、アクアの中に複数の彼がいて全てが歪で、霧に包まれて何も見えなくなる」

「どのアクアも実像であり虚像よ、多分本人もどれが正解なのか理解していない。でも根の部分は一緒」

「根?」

「あんたにそれが分からなければ、あいつの夢を理解することは出来ない。でも私はアクアの夢に惹かれた。いや惹かれる前から好きという気持ちがあった。一応感謝してるの今ガチの最終回でキスした時からモヤモヤしていたのがフェス前にスッキリしてね。お礼を言わせてちょうだい」

 

 有馬は頭を垂れると

 

「さて、先に旅館に戻ってるから遅れないでね」

 

 

 

 観光をしていた面々が戻り、夕食の前に温泉に入った。有馬やMEMは30代を過ぎている大人たちの肌を見て、スキンケアの重要性を再度理解し、ルビーは入浴前にフルーツ牛乳を飲んでいた。入浴後に食事を済ませ、部屋に布団を敷いた時、彼女の放った一言は全員を寝不足に陥れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アクアさんって救われるのでしょうか?」

 




 アクア君お留守番です。宮崎編を考えた当初から決めていました。
ララライの金田一さんが謹慎なのは、事故と重症のアクア君の起用によるものです。



とりあえず次の更新は火曜を目指します。


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