【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

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前後編にするつもりだったのに、徹夜明けのテンションで作ってしまいました。


*番外編*覚悟を決めろ!

寿みなみ

 

 キャノンファイアに所属するグラビアアイドルの高校生、スタイル抜群でGカップの巨乳の持ち主でミドジャンの表紙を飾ったこともある。神奈川出身だが、キャラ付けの為にエセ関西弁を話す。星野ルビーとは入学時に知り合い、兄のアクアのことも知り合いから耳にしていた。今回は彼女が波乱を巻き起こす。

 

 

 

 鏑木勝也は椅子に座り思案していた。今回彼が手掛けるのは女性タレントを集めて行う料理番組で、第1弾はまずますの結果だったが費用対効果を考えると満足するモノではなかった。この手の番組はタレントが飯マズな料理を作り、実食した人達がゴミ箱に向かうのが定番であり、判定をする人たちはリアクションが上手い面々を集めれば、それなりの作品になるが新鮮味が無い

 

「(グラビアアイドルの寿みなみ、容姿も良くて男性人気もそれなりにある。事務所側も彼女を今後の主軸として売り出そうとしているが1発が足りないよな、ん?陽東高校ということはアクア君と一緒か、なら)」

 

 

 

 

~陽東高校~

 

 机がお友達のアクアはいつも通りに机の上で倒れていた。怪我も多少癒え日常生活を過ごす分には問題無く、単純にこのポーズをとるのが当たり前になっていた。

 

「お兄ちゃん、ちょっと話があるんだけど・・・」

 

 妹が後ろから声を掛けてきたが微妙に気まずそうな顔をして、隣には寿みなみもいる。

 

「何の用?今月ピンチだから貸しては無しだが」

「いや、そうじゃなくて」

「ん?」

「お兄さん、いやアクアはんに頼みがあります」

「頼みって?」

「女装して、うちと一緒に共演してください」

 

 大きな胸を揺らし、彼女は頭を下げアクアに懇願を申し込む、突然の出来事で脳がフリーズしたアクアは何も反応出来なかった。

 

 彼女の話を3行でまとめると

・鏑木勝也がプロデューサーを務める料理番組への出演が内定している

・事務所側もみなみをグラビア以外で売り出すチャンスで躍起になっている

・ただ鏑木さんが出した条件は女装した星野アクアを番組に連れて来ること

・それが出来なければ、話は無かったことに

 

「4行あるじゃないか!」

「すいまへん、まとめるのが下手でして」

 

 みなみは再び頭を下げ、椅子に座り

 

「でも、なんでみなみちゃんに頼むの?普通に苺プロに話を通せば済むことでしょ」

 

 ルビーの疑問も最もである

 

「鏑木さんのことだ、こっちに話をすれば100%断られることを理解して、寿さんを仲介に使っているんだよ、言ってしまえば人質みたいなものだな」

「ふ~んそうなんだ」

「それで、どうでっしゃろ?引き受けてくれはりますか」

「流石に今ここで『はい受けます』とは言えない。正直なところ女装に良い思い出もないし、今回の人質取引みたいなやり方も好かない」

「そうどすか」

「お兄ちゃん、引き受けてあげなよクラスメイトでしょ」

「ルビー、お前それを本気で言うのなら芸能の世界を舐めてるよ、寿さんとりあえず社長に伝え、後日に連絡します」

「はい、お願いします」

 

 いつものエセ関西弁ではなく、素の寿みなみに戻ってしまった。

 

 

 

 学校が終わり、今回の件をミヤコさんたちに伝える為に事務所に向かうアクアは、隣にいる有馬と相談していた

 

「確かに鏑木さんのやり方はエグイね」

「人としては助けてあげたいが、今回のことでOKを出すと、他もこぞって似たような手を使うと思う」

「いつものあんたなら、『ヨシ任せろ!』って言うと思ったけど、流石にマリンちゃんはNGね」

「まぁ俺にメリットが無いし」

 

 そう言って事務所のドアを開けて、ミヤコさんのいる部屋に向かった

 

「お帰りなさい。ルビーは?」

 

 椅子に座りパソコンに向かっていたミヤコが尋ねてきたが

 

「さぁ?授業が終わったらすぐに外に行っちゃってね、ここには居ないんだ?」

「えぇ、まぁいいわ今日はオフだから」

 

 しばらくすると近くの社長室から大声がして、壱護ともう1人の男性の口論が聞こえてきた

 

「お客さん?なんか結構ヒートアップしてるけど」

「まぁそうね、アクアには言いにくいことなんだけど」

 

 

「だから、斉藤社長お願いします!」

「話の分からん人だな、検討するって言ってるでしょ」

 

 壱護の怒号がこの部屋にまで聞こえてくる

 

「検討だけでは駄目なんです。今ここで答えが欲しいんです」

「ちょっと待て『ミヤコ、アクア帰って来てるか?』」

 

 内線電話を受け取ったミヤコは目の前にアクアがいることを伝えると社長室に向かうようにさせた

 

「すまんなアクア、帰ってきてそうそうに」

「なんの用ですか?廊下にまで響いてましたよ、この人は?」

 

 彼は社長の対面にいる男性に目を向けた

 

「あ〜この人な」

「初めまして、私キャノンファイア広報担当の副添と言います。この度は星野アクアさんにお願いがあって足を運びました」

「キャノンファイアって、まさか?」

「おや、ご存じで?なら話が早い、是非ともアクアさんの力を借りたい所存でして」

 

 副添がアクアに擦り寄りながら近づくが

 

「勝手に話を進めるな!」

 

 社長のヒゲが食い止めてくれた

 

「女装の件ですか?」

「なんだアクア知ってたのか?」

「学校でも同じことを言われたからね」

 

 疲れた顔で答えていたが

 

「うちの寿の為に人肌脱いでください!」

 

 副添は床に頭を擦り付け土下座をしていた。

 

「さっきからこの調子でね、流石に今回の件は俺の独断でも決めれないからな」

「正直、首を縦には振りたくないですね。こっちにメリットはありませんし」

「そんな、そこをなんとかお願いします。メリットが無いと言うのであれば、うちの寿を」

 

 土下座中の彼が次の言葉を言う前に

 

「副添さん、あなたが次に言おうとしていることですが、『俺を舐めるな』大事なタレントを道具のように扱う人間は1番嫌いなんでね」

「すません」

「流石に今ここで『OK』『NG』の決断は出来ない。そっちのリミットはいつまでだ?」

 

 壱護が問いかけると

 

「明日の昼12時が限界です」

「ったく最初から言えばいいのに、分かったそれまでには伝える。今日はもう帰ってくれ」

 

 そう言われ副添は苺プロを後にした。

 

「アクア1つ伏せていたが、鏑木から連絡があってな今回の件でOKなら複数の仕事を斡旋するって言ってきた」

「ならどうして、俺を待ったんですか?」

「流石に俺も殴られたくないからな、ミヤコも反対寄りだ」

 

 彼の言葉を聞き社長室を出たアクアは再びミヤコさんたちのいる部屋戻ると、そこにはルビーがいて

 

「お兄ちゃん、お願いします。みなみちゃんの為に」

 

 頭を深く下げて懇願してきた。今まで妹が誰かのために頭を下げるのは無かった。

 

「ルビーお前・・・」

「だって、みなみちゃん頑張って来たんだよ、お兄ちゃんがOKさえ出せば目の前のチャンスを掴むことが出来るのに、だから」

「ルビー、あんた今回の件でもしアクアが出ると言ったらどうなると思う?」

 

 椅子に座ってスマホを操作している有馬が顔向けずに

 

「他の所も似たように人質取引をするわ、アクアにメリットが無いと知れば女の子を使って枕をさせてくるかもしれないよ」

「それは、だけど」

「芸能界は恩の貸し借りの世界でもあるけど、決して清らかな場所ではないのよ」

 

 そう言って隣に座るアクアの膝に頭を乗せて寝ようとしていた

 

「あの~」

「どうしたのMEM」

 

 会話に混ざって来なかったMEMが恐る恐る声をあげながら

 

「今回のこれって、アクアさんが女装じゃなかったら出てましたか?」

「まぁそれなら」

「つまり女装さえなければ問題ないと」

「MEMあなた何を言おうとしてるの?」

 

 要領を得ない言葉にミヤコが尋ねてくるが

 

「アクアさんが女装を嫌う理由って、『星野アクア=女装』というイメージを持たれるのが駄目なんですよね?なら星野アクアでなければ良いんですよね?」

「どうゆうことですか?」

「つまり、世間から知られている『星野アクアは星野マリンである』の根底を壊せばいいんですよ」

 

 その場にいる全員が頭にクエスチョンマークを浮かべていたが

 

「つまり、星野マリンではない別キャラを作りあげるってことね」

 

 彼の膝の上で体温を感じ取っていた有馬は顔をMEMの方に向けて答えを言ってMEMも首を縦に振った

 

「折衷案にしても、まだキツイな」

 

 彼の決心はまだつかないが

 

「なら、アクアの好きなようやれば?」

「かな、どうゆう意味?」

「今回の件って言ってしまえばアクアに対しての注文は『女装』だけ、つまり他に関しては何をしてもいいの。昔言ってくれたよね『むちゃくちゃしたれ』って、鏑木さんには悪いけど番組を壊すぐらいのことをしても良いと思うわ」

 

「番組を壊すか、いいね!」

 

 彼の顔が昔のように純粋な悪意で染まり

 

「アクア、本当にやるの?」

 

 ミヤコが尋ねるが

 

「こっちからの条件を出して、鏑木さんが呑んでくれるなら出るよ」

「お兄ちゃん!」

「とりあえず、まずは鏑木さんに電話だ」

 

アクア達が出した条件は

・女装はするが星野マリンとしては出ない

・料理に関しては指示は受けない

・外部に情報が漏れないように当日の現場入りの際は個室を用意し、メイクやスタイリストなどは苺プロ側で用意する

 

 これ以外にも細かいのが複数あったが、鏑木プロデューサーに伝えたところ『OK』の返事を貰えた。壱護は副添へ、ルビーは寿に連絡し、電話越しだがどちらも歓喜していた。なお寿は

 

「お礼に胸を・・・」

 

 と言ったが丁重にお断りした。有馬の顔が凄く怖かったのは言うまでもなく

 

 

 

~収録日~

 

 

 苺プロの面々はどの陣営よりも現場入りし、個室にはアクアを含めミヤコと有馬がいて、特別ゲストに泉京水がスタイリストとして参加していた。服飾店の店長だが前職はメイクアーティストとして名を馳せた彼の腕は、ブスを売りにしている芸人の顔を読者モデルレベルまで引き上げることが出来る天才である。無論今回の衣装も彼がセレクトしたものだ

 

 

「もうアクア君、最高よ!こんなにも綺麗になるなんて、ねぇ今からでも遅くないから『天音ニシキ』としてデビューしない?」

「泉さん、それはちょっと」

「冗談よ!もう少しパットを入れた方がいいかもね、でも、私の方が・・・おっぱいおっきいわ!」

 

 最早彼の独壇場でミヤコは頭を抱え、有馬は爆笑していた。

 

 

 約2時間を経て『星野アクア』は『天音ニシキ』へ変身した。髪色はカツラで金髪から耳元が隠れる程度の赤毛になり、顔立ちもマリンとは違い、幼さを残しながら大人のように妖艶であり、街を歩けば誰もが振り向くイケメン美女が存在し、その場にいた二人は「負けた」と感じ、有馬はカメラを起動したが取り上げられてしまった。

 

 

 身バレ防止の為に喉仏が隠れる衣装と胸に「我を空にして煩悩を断つ」と書かれたエプロンを身に纏い撮影現場に向かった。

 

 既に寿みなみはキッチンの前に立って準備していた。彼女は胸元が強調された衣装でエプロンからでも谷間が見えている。アクアの姿を見て手を振ろうとした瞬間「本当にアクア君?」と思うほど固まってしまった。最後に3人目の共演者であるタレントの白石茉子が入り収録が始まった。

 

 自己紹介では各々の個性をアピールするように振舞っていたが、アクアは

 

「(イメージは『別に』で大炎上した女優、気だるい雰囲気と周りを見下す感じで)」

 

「天音ニシキ(21)、モデルよ!」

 

 言葉を少なく端的に述べて、冷徹な雰囲気を醸し出していた。ここでも役者としての憑依と没入が役に立つのである

 

 MCも察して、実食を担当する男性陣を紹介し調理が開始された。お題は存在せず、制限時間内に目の前にある材料を好きに使って何品でも作っても良い。アクア以外の二人は既にこのことを知っていたので問題なく調理を進めていくが彼は

 

「(さて、暴れてあげましょう)」

 

 番組をぶっ壊す気満々で野菜とチャーシューを切り刻み、中華鍋をコンロの上に置いて火を点けた。熱した中華鍋に油を入れて全体に染みこませ、残った油を取り除き、卵と冷めた白米をブチこんだ

 

「見てください福永さん、ニシキちゃんの鍋捌きを!重い中華鍋をいとも簡単に操って具材もこぼれていません。その手に持っているのは紹興酒ですか?」

 

 誰もが隠し味として入れると思ったが、彼は

 

「飲んでいます。本番中なのに一気飲みしています」

 

 飲酒してしまった。なお収録前に鏑木プロデューサーへの根回しは済ませていて、中身は水であり、彼も「面白そうだから、いいよ!」と返してくれた。無論この光景を見ていた共演者たちは啞然となってしまい、料理を焦がしてしまった。

 

1品目のチャーハンが完成すると、次はお吸い物に取り掛かった。

 

「(1度でもいいから、あれをやりたかったんだよね!)」

 

 アクアは鰹節を持ってきたが肝心のカンナが無かった。

 

「さて、ニシキちゃんは何をするのでしょう?タンブラーを何につかうのでしょ・・・叩き割った!?」

 

 彼は割れた破片から1つ選び、紙やすりで形を整えてから鰹節を削り始めた

 

「ワイルドです。ニシキちゃん見た目以上に凄いことをやっています!」

 

 アクアがやっているのは某料理漫画でツンデレ親父を唸らせた。引き出し昆布の技法であり、この世界に来る前にYouTubeで見ていたことを思い出して作っていた。具材には椎茸・かまぼこ・豆腐など味の染み込むモノを使い完成した。

 

 

 この光景を控え室から見ていた二人は

 

「副社長、大丈夫ですかね?」

「大丈夫だと信じてあげたいけど、下手したらお蔵入りするかもしれないわ」

「すいません。胃薬ください」

 

 そう言ってミヤコはポケットの中に入れてあった胃薬を有馬に渡した。アクアが役者に復帰してから飲む量が増えたのは言うまでもない。

 

 

「(あとは主菜だけど何にしようかな、揚げ物系だと胃に持たれるし、試しにあれを作ってみるかな、パスタは要らないしチーズ入りにするか)」

 

 アクアは手早く野菜を切り、肉団子を作り始めた1つ1つ丁寧に円形を作り中身に固形の溶けるチーズを入れて、並行して作っていたトマトソースと一緒に炒めた。大泥棒が小さな国で食べていたミートボールパスタのパスタ抜きであり、食欲をそそる一品だ

 

 その後は口直しのサラダを作り、彼の料理が終わったが制限時間まで時間があり、朝ごはんも食べずに現場入りし、腹の虫も「飯をよこせ」と暴れていたので、目の前にある余った材料でベーコンパスタを作り、他の二人が終わるまで食べていた。

 

 

 

 結果を言ってしまうと『天音ニシキ』の優勝で終わってしまった。最下位は白石氏であり、彼女の料理を食べた俳優は100メートルを10秒で走る速度でゴミ箱に向かい、「人生最後の日に、これを出されたら生き残って、美味しいモノを食べにいく」と言い残した。2位の寿みなみの料理は家庭的であるが標準をやや上回る程度で、「まぁ高校生なら上出来だよね」ということで可もなく不可もなくで終わってしまった。

 

 アクアの料理は絶賛され、実食した3人が皿を空にするほど貪り食い、芸人の駆紋戒斗はおかわりを要求していた。

 

 収録も終わり控え室でぐったりするニシキは疲れ果てていた。彼自身も無理をしてキャラを作っていたので仕方がないことだ、なお鏑木プロデューサーから「次も出てくれない?」と打診されたが、「ハリウッド映画に出させてくれるのなら考えます」と返答した。

 

 

 ミヤコが車の準備のために部屋を離れた直後に、寿みなみが訪れ今回のことに関して感謝の意を述べてきた。アクアは「もう二度とやらないから、あとは頑張って上に行ってください」と言い返した。最後に

 

「ニシキはん、1枚だけ2ショットで撮ってもらえますか?」

 

 そう頼んできた彼女に根負けしたアクアは有馬にカメラ役を任せて撮影を許諾した。

 

 

 後日放送された番組は大好評でコメント欄には

 

・彼女のことを永遠に推します

・私のことを「牝犬」って罵ってほしい

・お姉様になってほしい

・なんとなく星野マリンちゃんに似てない?

 

 など日本には変態が多いことが再認識されてしまった。なお海外からもコメントがあり、苺プロ宛てに「彼女にレッドカーペットを歩かせる」とラブコールされたが、ミヤコさんが丁重に断ってくれた。

 

 なおルビーはニシキちゃん人気を見て、自身の知名度の低さと女装した兄にすら負けてしまう出で立ちに心を曇らせてしまい、武道館で歌うニシキ・かな・MEMを観客席で、独りサイリウムを振る自分の姿を夢見てしまいテンションを下げてしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




感想欄に寿みなみちゃん推しの人がいたのと、アンケートを取った時に「マリンちゃん」ファンの人がいたので作りました。

キャラクターの名前は某格闘ゲームからで、開発に携わっていた杉田智和さんのトラウマから作られたキャラです。中の人は某美少女戦士で男の娘をやっていたのも起因してますが

土曜日は休日出勤なので更新は出来ません。その点に関しては誠に失礼します。感想を書いてくださり本当に感謝してします。


アンケートの協力ありがとうございました
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