【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

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眠いです。それではどうぞ


新年度じゃなくても忙しいが・・・

 

 

 春の選抜高校野球は都立クロマティ高校が海堂高校を122対0で下し初優勝を決めた。竹野内とマスクド竹野内の2枚看板に加え、フレディ・豪ヒロミ・メカ沢の強力クリーンアップ、俊足巧打のバンチョーちゃんがチームを牽引していった。主将の林田君は記者に囲まれた時に「竹之内って二人いたの?」という意味不明なコメントを残していた。

 

 

 

 新年度を迎えた苺プロの面々は大忙しだった。筆頭格のアイはゴールデンで放送される連続ドラマの撮影が3月末から始まり、アクアは男性用化粧品の広告起用、有馬も役者としての仕事が舞い込んでいる。MEMは鏑木プロデューサーからの斡旋で洋画の吹き替えをすることになり、端役だが久々の声の仕事に緊張している。B小町の面々も5月のライブに向けてのレッスンがあり、苺プロは空前絶後の大繫盛を迎えているが

 

 

「はぁ~」

 

 ただ独り、ルビーだけが蚊帳の外だった。無論ライブに向けてのレッスンもあるのだが、3人揃うことがなく、鏡に向かって単独で踊ることしか出来なかった。そんな彼女を見かねて、ぴえヨンが前職の振付師としてアドバイスを送るが、ルビーの心がここにあらず、彼も帰ってしまった。

 

 

「(みんな頑張っているのに、私だけ)」

 

 そう思うのも無理はない、学校でも不知火フリルは映画の撮影、寿みなみはバラエティ番組の外ロケで欠席し、疎外感を感じていた。また1年生にはフリル程ではないが新進気鋭の役者が入学し、兄のアクアを慕う後輩が休み時間に教室へ訪れるようになり、モデルとしてのアドバイスを貰っている。

 

 

 テレビを点けると【今日あま】で酷い演技をしていた鳴嶋メルトが、全身ローションまみれになりながら、上から流れ落ちて来るプリンを顔面でキャッチすることに成功し、着実にだがタレントとしての知名度を上げている。

 

 

 周りがドンドン自分を置いて前に進んでいる。この世界は別に全員で手をつないでゴールテープを切る訳ではないが、突き放される現実を直視すると嫌な気分になる。念願のアイドルになってフェスに参加し、音楽番組にも出演した。『夢が叶ったのに』次の答えが見つからない。思考の海と妄想の波に身を任せていると

 

「あれ?ここどこだ!?」

 

 姫川大輝がノックもせずにドアを開けてきた

 

「姫川さん?」

 

 本来ここには存在しない場違いな男性を目撃したルビーは訝しんだが

 

「星野の妹か?なぁ社長室ってどこだ?」

 

 彼の話を聞くと8月に行われる東京ブレイドの公演について、ララライの金田一と雷田と共に苺プロに訪れたが、トイレからの帰りで部屋が分からなくなり適当にドアを開けた結果、ルビーと出会ってしまった。彼女は部屋の場所を伝えると

 

「お前、本当に星野の妹か?」

「え?」

「1回稽古場に来た時と今のお前が別人に見えてな、気のせいならいいが」

「どう違って見えるんですか?」

 

 人気役者なら自身の答えを教えてくれるかもしれない。藁にも縋る気持ちで尋ねると

 

「輝きが無いというべきか、燻って見える感じだな」

「輝き?」

「比較するのは失礼だが、お前の兄貴ってサングラスが必要なぐらい輝いている」

 

 姫川は更に続けて

 

「1月の時は、輝き過ぎて身を滅ぼしそうになったけどな、それは本人が重々承知してると思うが」

「お兄ちゃんは凄いですから」

「あいつが稽古から帰って来なかった日があったろ?」

 

 ルビーは頷くと

 

「あんときは俺の家に居てな、あいつお前のことを褒めていたぞ!」

「なんて言ってたんですか?」

「『バカだけど、夢に向かってひたむきに頑張っている。もし俺が芸能の世界に居ない一般人だったら応援している』って、あいつに眼鏡屋でも紹介してやるかな?友達紹介で5000円貰えるし」

「お兄ちゃんがそんなこと」

 

 ルビーの言葉が詰まるが

 

「あいつはお前のことを一番近くで見ていた。だからこそ分かるんだろ、これは1つ忠告だが『中途半端な気持ちでこの世界にいるなら辞めろ。お前が席を譲ることで新しい奴が出てくる。世間は一生懸命な奴を応援するからな』」

 

 そう言って姫川は部屋を出て行った。

 

「私って・・・」

 

 残されたルビーは閉じられたドアを見て呟くが何も返ってこない。今までなら姫川の言葉に奮起するが、彼女の心火が燃えることなく時だけが過ぎてしまう。なお姫川は再び迷った

 

 

 社長室では、むさ苦しいオッサン2人とグラサンが集まり、唸り声をあげながら頭を悩ませていた。8月に行われる東京ブレイドの代替公演についてだが、最終週のスケジュールが難航していた。箇条書きにすると

 

・姫川は終日のドラマロケで千秋楽以外参加が出来ない

・アクアも特撮の撮影で首都圏を離れる

・有馬はアイドルフェスでライブ

 

 これ以外にも問題は山積しているが厄介なのがブレイドを演じる姫川の代役である。彼の役者としての能力が高く、代役側が比較されるのを嫌ってしまい、オファーを出しても断られているのが現状である。

 

「金田一さん、流石にこの状態でやるのは無理ですって、それにブレイド役の代打も決まっていないんでしょ?」

 

 壱護が対面にいる金田一たちに質問するが

 

「無論そのつもりだったんですが、1月の時の支払いなどで、少しでも多く赤字を補填しないといけないんです」

「俺だって役者たちに無理をさせたくなかったが、上からの強い要望のせいでな」

 

 なんとも世知辛い話である。あの事故が起きずに通常開催をしていれば、こんなことは起きなかったが、過去のことを悔やんでも時は戻らない。

 

「アクアなら事情を説明してくれれば理解をしてくれますが、今回の映画撮影に関しては、あいつはとても喜んでトレーニングに励んています」

「どうしますか金田一さん」

 

 雷田の問いかけに金田一は立ち上がり

 

「斉藤社長、どうかお願いします」

 

 深々と頭を下げて懇願した。

 

 結局この話は斉藤社長が折れる形になってしまった。アクアに関しては特撮側と話をつけてもらいスケジュール調整をしてもらうことになったが、高知→東京→高知→東京→金沢(東京)→東京というエゲツないローテーションになり、金沢では朝イチの撮影後すぐに新幹線に乗り込み、午後からの公演に挑む形となっている。

 なお有馬はフェス前日と当日の2日間を休むことになった。無論ミヤコとアイはブーイングをしていたがアクアの土下座により根負けすることになり、移動費は金田一持ちということで決着した。

 

 さてルビーの心が曇り、大人たちがスケジュールに四苦八苦しているとき、舞台でメインを務める二人は

 

「あーくん、もっと撫でて」

「はいはい」

「返事は1回、もっと優しく丁寧に」

 

 彼の自室でブラックコーヒーが甘くなるほどのイチャイチャを繰り広げていた。アクアが黒川あかねと別れて以降、有馬が自然と彼の隣に立つようになり、二人っきりの時は彼女が甘えるようになった。呼び方もこの時だけ『アクア』から『あーくん』に変わり、今は彼の腕の中で頭を撫でてもらっている。本人曰くリラクゼーション効果を受けていると語っている。

 

「あーくん、これ何?」

 

 有馬は机に置かれている箱を指差すと

 

「化粧品メーカーから送られた試供品でね、香水やリップが入ってる」

 

 有馬が彼の腕の中から抜け出し、箱の中からピンク色のリップを取り出していた。

 

「欲しいなら持っていっていいよ!俺は使わない代物だし」

「じゃあ試してみるね」

 

 有馬が手に持ったリップを唇に軽く塗って、アクアに近づき

 

『ちゅ~~~~~~』

 

 自身の唇でアクアの口を塞いだ。少しして顔を離すと

 

「ちょっと甘すぎるけど、嫌いじゃないよこれ」

「左様ですか!ってか前よりもキスする頻度が多くなってない?」

 

 彼が指摘すると

 

「あーくんは、私のことが嫌いなの?私のこと捨てちゃうの?ねぇ?」

 

 ハイライトを消した目で迫ってくるようになった。彼女はもうアクアに依存してしまい抜け出すことが出来なくなっている。

 

「嫌いにはならないよ、こんな俺を好いてくれるなんて」

「ねぇ自分を卑下しないで、あーくん」

 

 背中から抱き着き、彼の体温を感じながら首筋を舐めていく

 

「ねぇ!あーくん」

「なーに?」

「呼んでみただけ」

 

 小悪魔っぽい笑顔みせている有馬を見て、アクアは軽く笑い今度は自身の方から彼女の口を塞ぎ、互いの唾液を交換した。

 

 

 

 

 




ソウルラッシュとダノンデザイルの海外G1制覇に乾杯
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