【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

52 / 64
タイトルがネタバレかな?


ヤンデレが情緒不安定になるのって最高だね!

 ルビーの完全復活によりB小町は活気を取り戻し、止まっていた時計の針は動き出した。多少オーバーワークだが若い彼女たちは失った時間を取り戻す為にレッスンに励んだ。新曲の発売と生放送が同時期である為、多忙な日々を送り、ルビーは無事に学校のテストで8科目中7科目で赤点を獲得し、生放送後に補習を受けることになった。

 

 

 学校にいるとアクアの所には下級生が頻繁にやって来たりする。タレントやモデルの卵たちがアクアからアドバイスを貰ったり、打算的なところでは目に掛けてもらい『アクア先輩とは仲が良い』アピール目的にする人もいるが、大概見抜かれている。

 

 

 有馬かなは、とてもイライラしていた。役者の仕事が途切れた訳でもなく、現場でチャラ男から絡まれた訳でもない。愛しのアクアとのスキンシップがしばらく出来ていないのが原因だ。

 

「(お互いに忙しいの理解してるけど、あ〜もうダメ)」

 

 アクアは映画の宣伝の為にバライティ番組に出演することが多くなり、またVシネマの制作も決定したことで、学業・バライティ・レッスン・家事の多忙なスケジュール、有馬も二足のわらじで忙しく、アクアに甘えることが出来ていない。言ってしまえば擦れ違いが起きているのが現状だ

 

「(流石に学校でいちゃつくのはマズイ、というか顔を見た瞬間に抱き着いて、アクアの胸に顔を埋める自信が100%ある)」

 

 少しでも気分を紛らわそうと視線を外に向けると、アクアが女子生徒と対面で立っていて、彼が女子生徒から手紙を受け取っているのを見てしまった。

 

「(あれって、まさかラブレター?叶わぬ恋ねぇ~、アクアには私がいるのに)」

 

 心の中で勝ち誇った顔を見せる有馬は、余裕をかましていたが1つ不安に襲われる。それはアクアが黒川あかねと別れた時のことだった

 

~教室内~

 

「有馬さんって苺プロ所属だよね?」

「えぇそうよ」

「じゃあさぁ、星野アクア君を紹介してくれない?」

「え?」

「だって、アクア君って黒川さんと別れたんでしょ、じゃあチャンスがあるってことよね?」

「いや、あいつしばらく恋愛はこりごりって言ってたし、それに役者の仕事を本格化するみたいだから恋に現を抜かす余裕はないって」

「へぇ~そうなんだ残念、せっかくイケメン役者の彼氏が手に入るチャンスだったのに」

「(アクアはガチャゲーの景品じゃないよ!)」

 

 少なくともランクはSSRかURクラスだと思うが言うのは野暮だろう

 

~ドラマ撮影現場~

 

「かなちゃん、アクア君が別れたのって本当なの?フェイクって訳じゃないよね」

「本当ですよ、事務所で公式文を書くときに相当悩んでましたし」

「じゃあフリーってことよね?」

「そうですね」

「かなちゃんは知らないと思うけど、アクア君ってモデル界隈だと相当な人気者でね」

「まぁ、あの出で立ちですからね」

「手の早い人たちは、もう合コンの準備をしているみたいだよ」

 

 あとでアクアに聞いたら、メルトから誘われていたが断っていた。なおメルトは25歳の女性にお持ち帰りされてしまい、彼のトラウマに新たな傷を加えることになってしまった。

 

 

「(大丈夫、アクアは浮気性なんかじゃない、モテる彼氏の女もツラいな~)」

 

 虚勢を張っているが内心は少し焦っているのは彼女のプライドがそうさせているのだろう

 

 

 移動教室からの帰りにアクアのいる教室の前を通ると、彼は女子生徒に前後から抱き着かれていた。前は不知火フリルで後ろは料理番組で共演した巨乳の女の子だ、

 

「(何してるの?あーくんに抱きついていいのは私だけなのに)」

 

 彼女の目からハイライトが消え、教室に入ろうとしたが、後ろにいた同級生に声をかけられ、現実に戻り、教室をあとにした。

 

「(大丈夫よね?そうだ今日はオフだし、一緒に事務所に行くことが出来る。その時に聞けば分かる)」

 

 今ここでLINEを立ち上げることが出来ないのは、恐怖の方が勝っているからである。もし想定していた答えと違ったら?

 

 

 放課後彼女は放心状態で事務所までの道のりを歩いていた。いつもなら隣にアクアが居るはずなのに彼から『用事があるから先に事務所へ行ってて』と送られてきたからである。試しにルビーに問い合わせてみたが既読スルーされた。

 

「(いったい今日はなんなのよ、私はあーくんと一緒に過ごしたいのに)」

 

 既に彼女のメンタルはボロボロである。

 

「(あーくんにギュッてされて頭を撫でてほしい。あーくんの胸に顔を埋めて堪能したい。あーくん、あーくん、あーくん)」

 

 最早彼女にまともな思考など残されていなかった。あるのは天才子役のプライドと現役アイドルの意地だけで現世に存在している。

 

 ふと目線を前に向けると、彼女の愛しのアクアがいた。本来なら声を掛けるのだが、有馬は反射的に隠れてしまった。

 

「(私は何をしてるの?堂々と声を掛ければいいのに)」

 

 目線をアクアに向けると、彼が女子中学生の女の子と話しているのが見えてしまった。自分よりスタイルも良く、肌に張り艶があるが遠くからでも分かる。親しげに話すのを見て有馬の心は完全に崩壊してしまった。

 

「(あっわたし、あーくんに捨てられてるんだ、そうだよね、あーくんに甘えてばっかで、迷惑かけちゃったもんね、ヤダヨ・やだよ・ヤだよ、あーくん)」

 

 有馬はその場から逃げ出してしまった。

 

 

 

 アクアは事務所の自室で今後のことについて考えていた。映画の番宣もあるが、特撮のVシネマでは『燃え盛る教会から生身で脱出してもらうから、リテイク出来ないよ』と監督からプレッシャーをかけられている。卒業後の進路も考えなければならない。周囲は大学を勧めるが彼には行く気がない。面倒だもん人間だもん。少しするとドアがノックされ、返事をすると

 

「かな?どうした?」

 

 有馬が立っていたが、いつもと様子が違う

 

「大丈・・」

 

 彼が次の言葉を言おうとした瞬間、有馬の力でベッドに押し倒されてしまった。前にもあったぞこんな光景

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、あーくんごめんなさい」

「ホントにどうした?」

「甘えてばっかで、迷惑をかけてばかりで、あーくんに頼ってばっかで」

「かな!」

「もうしません。しないから、私を『かな』を捨てないで、お願い、あーくん」

「あ~もう!こいつは」

 

 アクアは全力で有馬を抱きしめ、自身の口で彼女の唇を塞いだ。最初は抵抗されたが次第にアクアの舌を受け入れてくれた。

 

「落ち着いたか?」

「うん」

 

 繋がっていた口を離し、ようやく彼女は平静に戻ってくれた。

 

「いったいどうしたんだ?」

「見ちゃったんだ」

「何を?」

 

 アクアの頭に「?」が浮かぶと

 

「あーくんが、学校でラブレター貰っているところ」

「これのこと?」

 

 机の上に置かれた手紙を取り、彼女に見せた

 

「読んでいいの?」

 

 有馬の問いかけに首を縦に振り、中身を開けると

 

「『親愛なる天音ニシキお姉様へ、私の飼い主になってください』なにこれ?」

「女装した俺に対するファンレターでいいのかな?向こうは俺だと気付いてないし」

 

 アクアはバツの悪そうに頭を掻いていた

 

「じゃあ教室内で抱き着かれていたのは?」

「あれを見たのか?これだよ」

 

 彼がスマホを見せると不知火フリルのSNSアカウントが開かれ

 

「フリルミッションその38『星野アクアにダメージを与える』」

「横でルビーが写真を撮ってなかったか?」

「あっそういえば、いたかも」

 

 ルビーの存在感って

 

「あれは?下校中におっぱいの大きい中学生と話していたのは?」

「ん?あれ知らないの?あの子、来月から苺プロに所属する新人モデルだけど」

「え?新人って」

「社長が『会いに行ってこい、お前が行けば彼女も苺プロに所属しているアピールが出来る』って」

「じゃあ全部、私の早とちりって訳?」

「そうじゃないの?シランケド」

 

 少し間を置いて

 

「じゃあ、かなのこと捨てない」

「捨てないし、これからも一緒にいたい」

「甘えてもいいの?」

「いいよ、それに俺も、かなに甘えるし」

「迷惑じゃないの?」

「好きな人と一緒なのに、何が迷惑なんだ」

 

「あーくん」

 

 有馬はアクアに抱きついて、彼の胸に顔を埋め、欲していたアクアの温もりを全身で感じ取っていた。今まで摂取出来なかった分を含め、まるで子供が親に甘えるように

 

「そういえば、ちゃんと言葉にして言ってなかったな」

「なにを?」

 

 

 

「星野アクアは有馬かなを生涯愛し続けます」

 

 

 それは告白の言葉であり、有馬が待ち望んでいた彼からの愛そのものであった。

 

 

「私もあーくんのことを最後の日まで愛します」

 

 

 その先には言葉はなく、二人の影は1つに重なり、暗くなるまで愛を育みました。なおアクアは

 

「古い考えって言われるかもしれないけど、子供を作る行為は籍を入れた後や式を挙げたあとにしようと思う、そこだけは守りたいんだ」

「いいよ、私のことも考えてくれているんだもんね、大好きだよ、あーくん」

「俺もだよ、かな」

 

 

 

 

 

 

~少し離れた部屋~

 

「ねぇミヤコさん、私たちは何を聞かされているの?」

「カップルの誕生というより、夫婦の誕生かしら」

 

 ルビーとミヤコが壁に耳をあてながら、話し合い

 

「アクアさんたち幸せそうですね」

「頼むから、まだ赤ちゃんは作らないでね」

 

 MEMとアイはそれぞれの感想を口にする。

 

 

 

 それから1年と少しが経過し、B小町の解散が発表され苺プロから『星野アクア』の名前が消えた

 

 

 

 




ヤンデレと言っていいのか分かりませんが、情緒不安定になるヒロインから得られる感情は書いていて楽しかったです。


感想を書いていただき本当に感謝しています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。