【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

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 フリルちゃんって可愛いですね。アニメだと特に目の部分


恋する乙女は止まらない

 

 メキシコで行われたボクシングのタイトルマッチで、WBAフェザー級チャンピオンのリカルド・マルチネスが同級ランキング10位で日本出身のダイナマイト四国に『1ラウンドKO負け』という大波乱が起こり世間を騒然とさせた。なお新チャンピオンはリング中央で入場時に引き連れていた仲居さんたちといっしょに『しっこく・しっこく』をやっていたが、アキレス腱断裂の重傷を負ってしまい防衛戦は未定となった。

 

 

 陽東高校の芸能科ではクラス替えはなく3年間固定である。そのおかげで仲間意識が強く卒業後も繋がりを持つことが多い、余程のことがなければ退学・留年になることは無いが、アクアの妹でB小町のメンバーである星野ルビーは成績が悪く、赤点→補習のループを繰り返し、苺プロの面々に頭痛の種をプレゼントしている。

 

 

 アクアは大きめの段ボールを抱えて教室のドアをくぐった。室内にいる生徒達は『なんだろう?』という物珍しい目で彼を見つめていた。それを自身の机に置いて箱を開けると、多数の化粧品が出て来た。彼は中身を取り出し机に並べ

 

「気にいったやつがあれば持っていっていいから!」

 

 この春から広告を務める化粧品のメーカーから送られてきた製品であり、事務所内でも処理が出来ないので学校に持ってきたのである。

 

「アクア君ありがとう」

「星野、これってパッチテストをやった方がいいよな?」

「嫌いじゃないわ、抱いていいわよ!」

 

 タレントの卵と言っても高校生であり、身なりには気を遣うが1ランク上の化粧品などは値段が高く、おいそれと購入することが出来ない。彼等の経歴では経費扱いにすることも無理である。

 

「人気者ね」

 

 彼の隣に不知火フリルが音もなく並び立った

 

「事務所で埃を被らせておくよりも、求めている人に配った方がマシだから」

「お優しいことで」

「褒めてもなにもないよ」

「じゃあ私が優しいアクアにプレゼントするわ」

 

 彼女は机に置かれていたルージュを手に取り、自身の口に塗ると横にいるアクアに抱きつこうとするが

 

「なにしようとしてるんだ!フリル」

 

 両手で彼女の肩を掴み、近づけないように距離を取るが

 

「あら、分かっているのでは?」

「少なくとも、ここでやることじゃないと思うが」

「なら二人っきりなら、いいのね?あの時みたいに」

「そうじゃなくて」

 

 二人の関係を知らないクラスメイトからすれば、普段のじゃれ合いが少し過激になった程度で気にもしなかったが

 

「お兄ちゃんたち、なにやってるの?」

 

 ルビーと寿みなみが興味本位で尋ねてきた

 

「ルビー、ちょっとフリルから離してくれ」

「はーーい、みなみちゃん手伝って!」

「ええよ、じゃあうちはこっちから」

 

 もしアクアにラッキースケベの素養があれば、バランスを崩して倒れフリルと抱き合って唇を合わせる展開になるのだが、現実は違ったようである

 

「ありがとうルビー、寿さん」

「結局なんだったの?」

 

 ルビーの疑問も最もである。普段仲の良い二人にしては珍しいことだったので興味があるようだ

 

「え~っとな」

 

 彼は言葉に詰まるが

 

「みんなにプレゼントを配るアクアに、私からお礼をあげようと思ってね」

「何をあげるつもりやったんですか?」

 

 みなみがフリルに質問すると、彼女は耳元で小さく

 

「私の唇」

 

 と囁いた。最初は冗談かと思って空笑いをしていたが、フリルの目が本気だと悟った彼女は顔を真っ赤にさせて

 

「フリルちゃん、いくらアクアはんが受けやけど、そんなことしたらあきまへん」

「そう?アクアが受けなのは否定しないのね」

 

 アクアへの風評被害待った無しである。

 

「ねぇみなみちゃん、フリルちゃんは何て言ったの?」

 

 蚊帳の外だったルビーが尋ね、みなみがルビーの耳元で伝えると

 

「お兄ちゃん、流石に3人目は妹としてどうかと思うんだけど」

「3人?2人じゃなくて?」

 

 フリルがルビーの言葉に疑問を抱く、確かアクアは黒川あかねとしかしていないはずでは?じゃあ誰が私のアクアの唇を奪ったのか?しかし気付いてしまった彼に近い人物で好意をもつ人間を

 

「アクア、有馬さんともしてたのね」

 

 フリルは短時間で導き出した可能性を彼にぶつけると、アクアは無言で首を縦に振った。

 

「はぁ・・・」

 

 彼女はため息を吐いたあと

 

「アクア、今日オフでしょ?放課後付き合ってくれる?優しいアクアなら逃げることなんてしないよねぇ?」

 

 魔法使いのアクア君では、この大魔王フリル様から逃げ出すことは出来ないようだ

 

 

 

~放課後~

 

 屋上に連れてこられたアクアはベンチに腰掛けていた。目の前には仁王立ちの構えをするフリルと、何故か一緒に連れてこられた妹のルビーと寿みなみもいた。なお部外者が入ってこないように内側の出入口には『ドアの修理に伴い立ち入り禁止』と書かれた紙が貼られている。

 

「ねぇアクア説明してくれる?」

 

 彼は答えるのに躊躇っていたが彼女に隠し事は無理だと思い、心を決めて口を開き

 

「東ブレが終わったあとにキスをしました」

「それってアクアの方から?」

「向こう側から、押し倒されたが正しいかな」

「確か大怪我をしてたよね?」

 

 フリルはルビーの方に顔を向けると

 

「お兄ちゃん、結構無理してて事務所でミヤコさんたちに怒られてた」

「つまり動けないアクアの唇を無理やりに奪ったと」

 

 彼女は少し笑ったような顔を浮かべ

 

「そう、ごめんねアクア、怖がらせるようなことをして」

「お兄ちゃん、まさかだけどフリルちゃんとも、やっちゃった?」

 

 ルビーの質問に兄は頷き

 

「ねぇみなみちゃん、お兄ちゃんってそんなに弱々しいのかな?役者をやっている時はあんなにも荒々しくてカッコイイのに」

「多分やけど、オンとオフでギャップ差が激しいんとちゃうん?そこを狙わているんやないの?」

「そうなのかな、じゃあみなみちゃんはお兄ちゃんとキスしたい?」

 

 ルビーから鳩尾をえぐるようなストレートに

 

「うちがアクアはんと・・・そうやな二人だけの空間で奪われたいし、大衆の見つめる中でアクアはんの唇を奪うのも背徳的で・・・」

 

 みなみは顔を赤くしながら妄想の世界を口にするが

 

「みなみちゃん、ストップ!ストップ!」

 

 ルビーが現実に引き戻させた

 

「アクアの方からした訳じゃないなら安心したわ」

「1つ聞くけど、俺の方からしてたら?」

 

 彼がフリルに問いかけると

 

「そうね、今ここでアクアの初めてを奪おうかしら?まだ清い体でしょ」

「頼むから学生の身でそういったことをするのは止めてください」

「あら意外ね、そんなにも私の体に魅力が無いの?それともみなみさんのように大きいのがお好み?」

 

 フリルが寿の背後に周り、彼女の胸を鷲掴みにして揉みしだくと

 

「そうじゃなくてそうゆうのは、籍を入れたり結婚した時って考えていて、あと止めなさい」

「お兄ちゃん、そうゆう所は固いんだよね」

「みなみさんの胸は相当柔らかいわね!」

「フリルちゃん、もう止めっ・・・あっ・そこ・・・・駄」

 

 部外者が見たらカオスとしか言えない空間である。

 

 

 しばらくしてからフリルが口を開き

 

「アクアの受け体質にも問題があるけど、それが魅力なのかもね」

「お兄ちゃん、今から防犯ブザー買いに行こうか?」

「はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・・あぁ」

 

 1名を除いて言われ放題のアクア君であった。

 

「もう帰っていいですか?」

「ごめんねアクア、せっかくのオフなのに、それとあともう1つだけ」

 

 フリルは立ち上がってドアに向かうアクアを引き留め、振り返らせると

 

「なんで・・・・ん~~~~~」

 

 彼女はアクアの口を自身の唇で塞ぎ舌を絡ませた。アクアはすぐに顔を離すが唾液が糸のように繋がり

 

「フリルお前なぁ」

「これは今日の謝罪のキス、これで3回目だね」

 

 フリルの顔は普段とは違い小悪魔的な笑みを浮かべ、アクアを見つめていた。

 

「ねぇ次はアクアの方からやってよ!」

「やりません」

「じゃあ、もう1回私から」

「お兄ちゃん、私たち先に帰ってるから」

 

 二人の痴情についていけないルビー達はこの場から離れ、階段を降りていった。フリルはそれを確認すると

 

「さて、ルビーさん達が居なくなったし真面目な話をしましょう」

 

 彼女はアクアから離れ、身を整えた。彼は特大のため息を吐いて

 

「いったい何の話だ?」

「8月の東京ブレイドのことよ」

「姫川さんから聞いたけど、鞘姫をやるんだよな?」

「あら知ってたの?驚かせようと思ったんだけど」

 

 フリルはおどけたような顔を見せ

 

「1つ聞かせてくれ、フリルの方から売り込んだのか?」

「違うわ、事務所の力を使って役を奪うのは私のプライドが許さないの、もしそんなことをしたら、その場で役者を辞めるわ」

 

 それは彼女なりのプロ意識の表れであり、自分自身に対する決意そのものであった。姫川の情報もガセであること確信した。

 

「フリルは凄いね」

「あら、今気づいたの?」

「気づいたより、再認識したってこと」

「ふ~んそう、まぁ役者を辞めたらアクアに貰ってもらうし」

「おい!」

「冗談じゃなくて本気よ」

 

 鋭い眼光で彼を見据えるが、すぐにいつもの顔に戻り

 

「アクアは私のことが嫌い?」

「好きとか嫌いじゃなくてだな」

「この前はちゃんと言えなかったけど、私はアクアのことが好き、誰よりも」

「フリル」

「世界を敵に回してもいい、後ろ指さされて非難されてもアクアと生涯を添い遂げたい。生半可な覚悟でこんなこと言わないわ」

 

 彼女の言葉に噓偽りはなく全てが真実であり、キャリアは違うが同じ世界に身を置くアクアでもフリルの本気を感じ取っていた

 

「正直なところ分からない、そりゃフリルと話している時は素の星野アクアでいられる。それに疲弊している時は傍にいてくれると安心出来る。でもそれが恋愛としての感情なのか分からない」

「人を好きになるっていうのは理詰めじゃ分からないの、単純なことだけど『この人と一緒に暮らしたい』『隣にいてほしい』それでいいと思うの」

 

 返答を聞いたアクアは

 

「そうかもな、俺の悪い癖だな考えすぎるのって」

 

 苦笑いを浮かべていた

 

「アクアの周りには魅力的な人が多いのは分かる。でもね私はアクアに対する好きという気持ちに関しては誰にも負けない。それだけは絶対に言える!」

「堂々と言うね」

「さぁ帰りましょう、今日は私が出すから寄り道しましょう」

「いいのか?週刊誌に抜かれても」

「あら、クラスメイトと下校中に遊ぶなんて普通のことでしょ」

「遊ぶのが火遊びになりそうだけどな」

「そっちの方がお好みなら、それでもいいわよ」

 

 不知火フリルと星野アクア、キャリアは違えど互いにプロ意識を持ち、自身の仕事に本気で取り組むプロフェッショナルである。互いに無い物を抱えているからこそ、惹かれ合うのかもしれない。8月の東京ブレイドは一波乱ありそうな予感がする春であった。




 やっぱ書くのが難しい。フリルちゃんの出番がアニメだと少ないし、ぶっ飛びすぎると化物語の戦場ヶ原さんになるし、良い塩梅にするのが大変だ


 感想を書き込んでいただき本当に感謝しています。そのおかげで執筆意欲に繋がり頑張れます。
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