【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

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皐月賞の予想をしていたら、遅くなりましたモレイラ騎手凄いですね。


人の体調管理に口を出す人って、自分のことを疎かにするよね

 

 

 東京ブレイドの代替公演は初日から満員御礼の大盛況だった。ブレイド役の姫川はドラマ撮影と重なってダブルキャスト出演になったが、アクション俳優の冴島鋼牙氏がオファーを引き受けてくれた。彼の身につけている指輪はカッコイイが喋っているのは気のせいだろうか?また鞘姫役に抜擢された不知火フリルは1月の黒川あかねとは違う雰囲気を醸し出し、観客たちを魅了していった。公演も最終週になり出演者に疲労の色が見えるがヒロインのアクア君は

 

 

「逝ってきま~す!」

 

 崖から海に落ちていった。2時間サスペンスのラストシーンに出てきそうな絶壁で、変身解除された状態で行う戦闘シーンの撮影だったが監督の「じゃあ落ちてみようか」の発言により、台本にはない崖からの落下が追加された。周りの大人たちは「流石マズイ」と言って止めたが

 

「紐無しバンジーよりマシです」

 

 と言って喜々として落ちていった。なお相手役がNGを出してしまい3回目の時は流石に殺意を覚え殴りに行こうとしていた。着替えを終えた彼はすぐに高知を離れると、刀鬼として舞台に立ち、終演後には金沢行きの新幹線に乗車した。

 

 

~翌日~

 

 早朝から取壊し予定の金沢競馬場での撮影が始まり、ナパームを使った爆破や階段落ち、ダートコースを全力疾走など満身創痍の体は悲鳴をあげていた。そんなアクアにも役者としてのプロ根性なのか弱音を吐かずにクランクアップを迎えることが出来た。当の本人は

 

「もうゴールしてもいいよね」

 

 と譫言のように発していたが、千秋楽を迎える東京ブレイドの公演に向けて、金沢カレーも食べずに新幹線に乗り込んだ。

 

 

 千秋楽ではドラマ撮影だった姫川が戻り、主要キャストが全員集合した状態での公演はまさに今までの集大成であり。1月の頃より演技力が段違いに成長したメルトを筆頭に有馬の存在感、海外帰りのメガネみたのりお氏、各々が作中内に登場する鬼として演じ、舞台袖にいた金田一も満足しているようだった。ただ現在進行形でマズイことが起きていた。

 

 それは終演後に観客に向けて、お礼の挨拶を述べる直前だった。刀鬼役のアクアは鞘姫役のフリルをお姫様抱っこした状態で階段を降りていたのだが

 

「はぁ・・・・ぁあ・・はぁ」

「アクア?どうしたの?」

 

 彼の息が荒く目の焦点があってなかった。普段のフリルなら「私を抱いて興奮してるの?」と返すが、状況が違うことに気付いた

 

「フリ・・・ル、ごめ・ん・ひめかわから、マイク・・・・・締めて」

 

 階段を降りて彼女を立たせると、隣にいるメルトの肩に手を掛けていた。

 

「おい!アクアなにし・・・」

 

 メルトはアクアの顔が真っ青なことに気付き二の句が継げなかった。異常を察したフリルは姫川からマイクをひったくるように奪うと挨拶を済ませ、裏方に幕を下げるように強要させた瞬間

 

バダン!!

 

 意識を失ったアクアが後方に倒れてしまった。

 

「アクアッ!!」

「おい!星野どうした?しっかりしろ」

 

 有馬と姫川が異変に気づき駆け足で寄って来る

 

「アクア起きろ!起きろって」

「鳴嶋動かすな!!頭を打ってるかもしれない担架持って来い」

 

 舞台袖にいた金田一はスグに担架を持ってきてアクアを乗せた。メルトと姫川は食堂に向かいバケツに大量の氷と経口補水液を持って彼のいる控え室に急いだ

 

 控え室では上半身を脱がされたアクアが横たわっていた。倒れた原因は過度な疲労・熱中症・脱水症状の3連コンボによるもので、彼のここ数日のスケジュールを聞いた面々は驚き呆れていた。姫川たちが到着し、首やワキに氷を当てアクアに水を飲ませようとしたが上手く口に運ぶことが出来なかった

 

「あ〜もう誰か、スプーンかストロー持ってきて」

 

 ボトルを持つ有馬が若干キレながら誰かに指示をしていると

 

「貸して」

「ちょっと!」

 

 フリルが彼女の手からボトルを引ったくり口に保水液を含むと

 

「んぐ、ん〜ぐ、ん」

 

 上半身を抱え自身の口と彼の口を密着させて口移しで無理やりアクアの口内に水分を流し込んだ

 

「あんたいったい!どうして」

 

 突然の出来事に有馬が取り乱し、二人を引き離そうとするが

 

「ゴフッゴ、ガフッ!」

 

 意識を覚醒させたアクアが目を覚まし周囲を見回し

 

「あれ?ここは?ってかなんでオレ裸に」

「星野大丈夫か?」

 

 姫川が声を掛けた瞬間

 

”パチンッ”

 

 不知火フリルがアクアの頬に平手打ちをしていた

 

「フリル?」

 

 突然のことに驚くアクアは彼女を見つめると涙声で

 

「バカアクア!そんなに皆に心配掛けるのが好きなの?」

「ごめん」

「二度と目が覚めないことだってあるのに、自分の命を軽く扱わないで、もう嫌なの好きな人が傷つく姿なんてみたくないの!」

「ごめん」

「そんな言葉は要らないわ、アクアは謝っても次の日には忘れて無理をするの、ずっと見てきたから分かるの」

 

 彼女はその場にいる面々の叫びを代表するように、自身の口からアクアに訴えた

 

「アクアが死んだら、貴方に関わった人たち全員が悲しむわ、アクアは皆に優しさや希望を与えてくれた。受けた恩を返したいと思っている人もいる。でも死んでしまったら誰に返せばいいの?」

「俺は見返り求めている訳じゃ」

「いいの求めても!それが人なんだから、私だってまだアクアに返しきれてないの」

「フリル」

「ねぇ生きてよ、1日でもいいから私より長く」

 

 彼女はアクアの胸に縋るように抱き着き

 

「もし1人で生きれないなら、『私と一緒に生きてよ』毎日2人で朝を迎えて夜寝るまで、私はアクアの傍から離れない」

「ありがとうフリル、いいよ俺は」

「えっ?アクア?」

 

 彼の発言に戸惑う彼女は目が点になりながら

 

「2月の時に『家族になろう』って言ってくれただろ?答えがほしかったよな?」

「う・・ん、だからえっと・・」

「一緒になろうフリル、家族に」

「えっ、あっその・・・・うん、あの」

 

 アクアからの突然のプロポーズに脳がショートするフリルに

 

「じゃあこうすれば分かるよな?」

 

 彼は胸に抱きつくフリルの顎を片手で軽く持ち上げ、自身の口を彼女の唇に合わせた。今まで奪われる側のアクアが初めて奪う側として口づけを交わした瞬間だった

 

「んっちゅっ・・・・はぁうん・・んぅっ・ちゅう」

 

 それはフリル自身が望んでいた短くも濃密なひと時であり、このまま時間が止まってほしいと思った。アクアも彼女とのキスを堪能していたが重大なことを見落としていた。

 

「星野!お楽しみ最中悪いんだが・・・」

 

 姫川がバツの悪そうな顔で二人に声を掛け、顔を離したアクアは周囲を見回した

 

「あれ?ここって控え室だよね?それにみんな勢揃いって」

「ようやく気付いたのか、この色ボケ野郎」

「まさか全部見てた?」

 

 アクアの問いに姫川は首を縦に振り肯定した

 

いや~~~~~恥ずかしいお嫁にいけない!

「お前が嫁ぐのかよ」

「アクアってスゲー大胆なことするな!」

「この写真、アビ子先生に送ってみます?」

「ねぇアクア、もう1回しよう」

「こんな目出度い日はみんなで飲みに行くぞ!」

「アクア君ってリバ可なんだ冬コミはこれで」

 

 結局この乱痴気騒ぎが収まるのに1時間を要し、アクアは迎えに来たミヤコと一緒に帰宅し翌日は病院へ向かい精密検査と3日間短期入院となったが

 

「んっ、ちゅっ・・・んんんんっ、れろぉ・・にゅぅ・」

「んむっ!むゅぅん・・・んちゅぃ・・・・んむぅぅぅ」

 

 お見舞いに来たフリルは控え室の続きと言わんばかり、アクアとの愛を確かめるように口を重ね合わせいた。なお個室内には副社長のミヤコがいたが、二人はお構いなく続け

 

「んふぅっ、んんちゅっ・・・・むぅぃちゅぅ」

「んん・・・・アクアもっと、んっちゅれりゅぅむにゅ・・・・・」

「あなた達ねぇ、いい加減に」

 

 ミヤコの怒りのボルテージがあがっていく!しかし二人にはノーマル技の攻撃など通用せず愛し合い続けた

 

 

「初めましてお義母さま、妻(確定)の不知火フリルです。挨拶が遅れて申し訳ありません」

 

 アクアに跨っていたフリルが降りて、ミヤコに頭を下げて挨拶をする

 

「妻って、あなた達いつから?そんな関係に」

「いつって言われると、どこになるのかな?」

「やっぱりアクアに告白した2月でしょうか」

「2月って、まさか!?」

「うん、俺が東京に残された時」

 

 アクアの告白にミヤコは頭を抱えた。もしあの時に壱護が日程を間違えていなければ、こんなことは起きなかったはずでは?しかし嘆いてもしょうがない。アイの時よりマシだと思えばこれぐらい大丈夫だ。盛大な溜息を吐いたあと

 

「まぁいいわもう、フリルさん今後はどうするおつもりで?」

「まだ籍を入れることが出来ないので、卒業後を目途に考えています」

「お仕事の方は?スケジュールだって詰まっているでしょ?」

「既に事務所とは話をつけてあります。その辺は頃合いを見計らって発表します」

「アクアはそれでいいのね?こう言っては失礼だけど、遊ぶことだって出来なくなるわよ」

 

 ミヤコはベッドに座るアクアを見据えて質問すると

 

「構わない。俺はフリルが隣にいてくれるだけで幸せなんだ」

「もう、アクアったら」

 

 また二人だけの世界に浸ろうとしていたが、咳払いをした彼女に阻まれ

 

「好きにしなさい。アクアとりあえず映画の公開までは派手なことはしないでね」

「分かった」

「フリルさん、この子は目を離すとスグに居なくなって怪我をして帰ってくるわ」

「知ってます。私の目が黒いうちはそんなことさせません」

 

 何故かフリルの手には手錠とブルドッグが身に付けそうな首輪が握られているのは気のせいだろうか?

 

「そうだアクア!」

 

 彼女はカバンから箱を取り出し彼に手渡した

 

「なに?これ」

「遅くなったけど17歳の誕生日プレゼント」

「ありがとう。開けていい?」

 

 彼の問いかけを肯定し、箱を開けると

 

「チョーカー?」

「そう、アクアに似合うと思って、付けてあげるから後ろ向いて」

 

 首に巻き付けてもらい満足した表情でアクアはニコニコしているが、フリルの目から光が消え口角が上がっているのをミヤコは見逃さなかった

 

「(束縛?いや誰にも渡さないってことかしら?)」

 

 このプレゼントの意味を知るミヤコは口には出さず、二人に過度なスキンシップはしないことを注意し病室を後にした。アイの時も大変だったがアクアは更に輪をかけてヤバいことになりそうだ流石にもう子育ては勘弁だ。だけどアクアに大切な人が出来たのは良かった。今まで頑張り過ぎたし、ここで足を止めたとしても誰も咎めない。アイにはお婆ちゃんになってもらって子育ての苦労を味わってもらおう

 




とりあえず次話でフリルちゃん編を終わりにします。番外編を1本書きます。

読んでいただきありがとうございます。感想や評価を書きこんでくださり本当に感謝しています。
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