【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

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不知火フリル編のラスト始まります。


あなたに捧げる感謝の日々

 

 

 8月の東京ブレイド代替公演から約1年ちょっとが経過し、3年生になったアクア達は忙しい日々を送っていた。有馬・ルビー・MEMのB小町は着実に知名度を上げ来年の2月に『さいたまスーパーアリーナ』でのライブが決定し俄然やる気になっている。またそれと並行して有馬が映画の主演を務めることが決まり、社長たちはアクアが無茶をしていたことを踏まえスケジュール調整に余念がない。そんな中、アクア君は

 

「(机が冷たくて気持ちいいなぁ~)」

 

 いつものように教室内で自分の机に向かってキスをしていた。こんな状態だが彼だって暇ではない。タレント業も忙しく先日はバラエティ番組にてクレーンで吊るされたバスに乗り込み海に沈められてきたのである。更にドラマの番宣で30分以内に激辛料理を食べる企画にも参加しているので割とボロボロである。また卒業後に暮らす部屋の準備と家電製品の購入は壱護主導で進められ、過去にアクアが襲われた経験を踏まえ部外者が立ち入ることが出来ない所に決まった。

 

「(撮影も無いし今日と明日はゆっくりしよう。そういえばフリルのやつ話があるって言ってたのに学校に来てないし、もう昼だぞ!)」

 

 彼は愛する彼女の言葉を信じて教室にいるが肝心のフリルが居ない、近くにいるルビーや寿に聞いても『知らない』と言っている。本人も『後で聞けばいいや』と思い、昼食の弁当を取り出した瞬間

 

「不知火フリルが引退したぞ!!」

 

 教室内に駆け込んできた男子生徒が『ぜぇぜぇ』と呼吸しながら、持っていたスマホ画面を見せつけていた。

 

「あとさっき職員室に入って行くのも見た!」

 

 彼はそう言って短い生涯を終えることなく、別のクラスにこの情報を伝えに行った。

 

「お兄ちゃん、どうゆうこと?フリルちゃんが引退って」

 

 妹が尋ねてきたが当然アクアにも分からない。スマホに入ってきたニュースに目を通すと事務所側に重大な契約違反がありフリルが三下り半を突き付けたと書かれている。引退というよりフリーになったというのが正しい表現である。

 

「重大な契約違反ってなんでっしゃろ?」

「普通逆じゃない、タレント側が問題を起こしてクビになるでしょ?」

 

 二人は記事を読んで考察をしているがアクアは

 

「まさか?ゴリ押しのことか?」

「どうゆうことお兄ちゃん?」

「結構前にフリルが話してくれたんだが、あいつ事務所の力を使って役を貰うことに強い忌避感を持っている。そういったパワーゲームに頼らずオーディションで役を勝ち取ることに役者としてのプライドを持っているんだよ」

「つまり、事務所側がフリルちゃんの逆鱗に触れたと言うはるんですね」

 

 寿の質問に首を縦に振るアクアは、去年の屋上での出来事を思い出していると渦中の人物である不知火フリルが入室し、教室内がざわざわと騒ぎ始めた。彼女はアクア達の前に向かい

 

「ニュース見たわよね?」

 

 その言葉に3人は頷くと、フリルはニコリと笑い

 

「アクア、そうゆうことだから頑張ってね」

「家のこと任せていいか?」

「いいわ、毎日玄関の前でアクアに『いってらっしゃい』と『おかえり』を言ってあげる」

「そりゃ帰ってくるのが楽しみだな」

「そうね、毎日楽しく暮らして嫌なことを置き去りにしましょう」

 

 二人の会話を近くで聞く、ルビーと寿は「?」しか浮かばなかった。『この二人はいったい何を話しているの?おかえりって何?』なんで見つめ合っているの?

 

「ねぇアクア、そういえばまだプロポーズの言葉もらってないんだけど」

「言ってなかった?」

「えぇ1度も言ってないわ」

 

 フリルの言葉に少し息を吸い込んだアクアは

 

「俺の残りの人生をフリルに預ける。フリルの未来を俺に預けてくれ!俺が幸せにする」

「違うわ、アクア!二人で幸せになりましょう!」

 

 そう言って二人は愛の口づけを交わすのであった。言っておくが教室内は昼休み中なので、他の生徒がいる状態である。大半の方々は「えっ?何やってるのこの二人は?」「演技の練習?でもフリルちゃんって確か・・・」など突然の出来事にフリーズしてしまい、国民的美少女と新進気鋭の男性タレントのキスシーンの瞬間をカメラで収める人は誰も居なかった。

 

「おっ!おっにぃちゃん、いっいいったいどうゆうこと?なんんんでプロポーズして、ちゅーしてるの?」

 

 怒涛の展開により語彙力がバグってしまったルビーは二人に尋ねるが

 

「そのままの意味だけど」

「そうね、別に変なことでは無いですし」

 

 妹は陸に上がった魚のように口をパクパクして、何か言いたげな表情をしていたが言葉が出てこず、代わりに

 

「お二人は、いつから付き合っていたんどすか?」

 

 寿が興味本位で尋ねると

 

「去年の東ブレが終わった直後ね」

「まぁお互いに忙しい身だったからデートも中々行けなかったけど、これで大手を振って出来るようになったな」

 

 二人は肩を寄せ合い密着しながら質問に答えていたが

 

「えっ?じゃあフリルちゃんが、私のお義姉ちゃんになるってこと?」

「よろしくね義妹のルビーちゃん」

 

 ようやく頭を再起動させたルビーは、ようやく現実を受け入れることが出来たが未だにパニック状態である。

 

 

 放課後になり、アクアとフリルは共に苺プロに向かい社長夫婦に今回の顛末を話した。

 

「いいのか?今までのキャリアを棒に振ることになるが?」

「構いません。それに泥船に乗り続ける趣味はありませんので」

「分かった。アクアもいいんだな?」

「フリルの決めたことに、俺が口出しすることはないよ」

「ったく、こんなところまでアイに似なくてもいいのに、ルビーも同じようになるのかね?」

 

 壱護が口に出した単語に違和感を覚えたフリルは顔を傾けると

 

「なんだアクア教えてなかったのか?」

「籍を入れる時に伝えようって思ってたからね」

「アクアどうゆうこと?隠しごとなんて嫌よ」

 

 彼女の冷たい視線が隣にいる彼に注がれるが

 

「アクアとルビーには特殊な事情あってな、世間に公表出来ない秘密がある。まぁもう身内になるし教えてもいいぞ」

 

 社長のお墨付きを貰い、アクアは自身が星野アイの息子で父親知らずであることを伝えた。彼女も最初は驚いていたが

 

「アクアが誰の子供でも関係無い、私は貴方が好きだから」

「ありがとうフリル、俺を愛してくれて」

 

 良い雰囲気になって顔を近づけるが

 

「そういったことは家でやりなさい!」

 

 

 育ての母親に怒られてしまった。これは後日判明したことだがフリルの所属していた事務所が、所属する女性タレントを使い、法に触れる非道徳行為をしていたことが内部告発により世間に露呈し、お偉いさん方は警察からプレゼントされた冷たい鉄のアクセサリーを手首に嵌めることになった。そのニュース見た彼女は今まで見たことない笑顔を見せてくれたが理由を聞くのは野暮だろう

 

 

 年が明け、アクアはフリルの両親に婚姻の承諾を得るために彼女の家に足を運んだ。法的には問題無いが18歳同士の結婚に難色を示されることも危惧されたが、すんなりとOKを貰ってしまった。母親に至っては『早く孫の顔が見たい』という始末である。なお隣にいた父親の顔面が痣だらけで片目が開いていないのは、転んで怪我をしたんだと思うようにした。昨日雪が降ったし

 

 

 3月となり二人は陽東高校を卒業し、その足で記入済みの婚姻届を市役所に提出し晴れて夫婦となった。証人欄には鮫島アビ子・寿みなみが選任され、アビ子は既にアクア達が入籍することを知っていたので、二人が籍を入れた日に発売された週ジャンの『東京ブレイド』では鞘姫と刀鬼が永遠の契りを交わすエピソードを掲載し、雑誌の売り上げに大きく貢献した。

 

 

 アクアは大学には進学せずタレント活動へ、フリルは芸能界から身を引く形で完全に引退した。当初は夫婦共演のCMや東京ブレイドの舞台で刀鬼と鞘姫の結婚式を行おうと、関係者が二人に接触を試みていたが

 

「既に引退しましたので、謹んで辞退します」

 

 とコメントを残し芸能界から距離を置いた。

 

 さて、ここからは他の面々のその後について話そう

 

 B小町の面々はMEMが体力の限界を迎えてしまったのと、有馬が役者として多忙になってしまい3人が集まるのが困難となり、ルビーが20歳の誕生日を迎えた日に解散した。ルビーはソロ活動に転身、MEMは引き続き苺プロの事務員として残り、有馬は先のことだがハリウッドに進出した。本人曰く

 

「不知火フリルが到達出来なかった高みへ行ってくる。あんたは家族で私の活躍を遠くから見てなさい!」

 

 と言い残し苺プロを去って行った。アクアの家には彼女のサイン色紙が飾られている。

 

 メルトは合コンで一服盛られ、お持ち帰りされてしまった女性(27歳歯科助手)とできちゃった婚となり、アクアより早くパパになってしまった。

 黒川あかねはアクア達が3年生を迎える前に劇団ララライに退団届けを提出し、行方をくらませた。SNSでは彼女の目撃情報が散見され『歌舞伎町で客引きをしていた』『道路で交通誘導しているのを見た』『山奥の旅館で女将をしている』など眉唾な内容ばかりだ。

 姫川は競馬から足を洗い、毎日舟券を握ってボートピアに通い詰めている。そして二人は

 

 

「ねぇアクア、ちょっと来て」

「どうしたの?」

「今、お腹の子が蹴ったの、ほら耳を当ててみて」

 

 彼は大きくなった妻のお腹に耳を当て、胎内から聞こえる鼓動を肌で感じていた

 

「女の子にしてはお転婆かな?」

「あら子供は元気に越したことないわ」

 

 フリルはアクアの子供を身籠り、来月末には出産予定となっている。なお母のアイは30代でお婆ちゃん確定となってしまった。

 

「今度は家族3人で幸せになろう」

「そうね、でも増えるかも」

「賑やかなのはいいことさ、1人でいるよりマシだよ」

「私、アクアと出会えて本当に良かった」

「俺も、フリルと逢えたから今の幸せを噛みしめることが出来る」

 

 二人は目を瞑り、数えることすら忘れてしまったキスを重ね、互いの愛を確かめあった。

 

 

 

 

星野アイ「私の息子は子供の時に記憶を失ってしまったが、誰よりも頑張り、誰よりも一生懸命に生きて周りの人たちに笑顔を与えていました。本人は自分のことを顧みらず、傷つきながらも人を助けていましたが、彼の痛みを理解し共有してくれる最愛の人と出会い結ばれました。若い二人には今後様々な苦難が待ち受けているかもしれません。だけど打ち勝つでしょう。だって私の愛する自慢の息子だから」

 

 

途中から星野アクアになりました。

 

『不知火フリル編 END』




これにてフリル編の完結となります。愛読していただき本当に感謝しています。本編は完結となりますが、番外編を1本か2本ほど書くつもりです。簡単に言うと『アク×かな』をもっと幸せにする感じで、有馬編を書き終えたあとに「あれも書きたい、これも書きたい」という欲求が湧いてしまい、本編を修正するよりも短編を複数まとめる感じで投稿したいと思います。


皆様の感想により執筆を頑張ることが出来ました。本当にありがとうございました。
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