【完結】途中から星野アクアになりました。   作:大気圏突破

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これにて番外編を含め最終回となります。有馬ルートでもフリルルートでもない時間軸です。適した表現をするなら劇場版ドラゴンボールZみたいなものです。


Are You Ready?「出来てるよ」

 

 

 苺プロ公式SNSでは所属しているタレントやアイドルの活動報告を事務的に記載していたが、事務員にMEMが加わってからオフショット写真を掲載するようになり、登録者数を着実に増やしていった。当然ファンからの声もSNSを通じて聞こえるようになりピックアップすると

 

・【今ガチ】のようにアクア君とMAYちょのゲーム実況を見たい

・有馬さんが復活してくれたのは素直に嬉しい

・ぴえヨンの素顔を見た人は消されるって本当ですか?

・アイさんって本当に30代?

 

 など様々であるが、特に多いのが

 

・天音お姉さまは、いつ復帰しますか?

・天音ニシキをB小町の新メンバーに推薦します

・ニシキ様、私を牝豚と罵ってください

 

 寿みなみの懇願により料理番組にてアクアが女装した姿『天音ニシキ』の復活を望む声が多いのである。当然アクアは二度とやらないと言っているので彼女の復活は有り得ないのだが

 

「天音ニシキを復活させましょう!」

 

 妹の星野ルビーが鼻息荒く、社長の壱護に直談判していた。

 

「いったいどうしたのルビー?」

 

 近くにいたミヤコが問いかけると

 

「どうしたもこうしたもありません。なんで現役アイドルの私より女装したお兄ちゃんの方が人気なんですか?」

 

 ルビーの血圧が上がるのは無理もない、B小町のメンバーとして活動する自分よりも1回しかメディアに出ていない女装した兄に負けているのが腹立たしいのである。しかも検索で苺プロと打ち込むとルビーの名前はサジェストされず、天音ニシキの名前が入ってくるのである。

 

「インパクトの強さは向こうが上よね」

「女性から見ても惚れてしまいます」

 

 有馬とMEMは既に白旗を上げていたので戦力にはならない。

 

「復活させるにもアクアはOKを出さないわ」

「強硬手段で無理やりにやってみろ、俺があの世行きになってしまう」

 

 社長夫婦もニシキの復活には後ろ向きである。

 

「ルビー、こういったのは本人に直接言うべきでは?」

「言いました。そしたら『黙れ!』と言われてしまって」

「なら無理ね」

「アクアさんが駄目なら、復活は不可能ですね」

 

 ここにいる全員が白旗をあげていたが

 

「分かりました。もう頼りません」

 

 立ち上げって部屋を出ようとするルビーに

 

「鏑木にコンタクトを取っても無駄だぞ!」

 

 彼女の考えは壱護に見抜かれていて、全ての手段を失ったルビーは自宅に帰った。

 

 

~翌日~

 

「そんなことが、あったんどすな」

「ニシキってアクアだったんだ。メイクを担当した人を紹介してほしいわ」

 

 学校でクラスメイトの寿みなみと不知火フリルに昨日のことを話すが

 

「とは言ってもアクアが駄目と言ってるなら無理では?」

「うちも彼女に会えるのなら、一肌脱ぎますんやけど」

「やっぱ不可能なのかな?」

「というより、彼女を復活させてどうするつもり?」

 

 フリルの疑問は最もなことだった。女装を嫌がるアクアを表舞台に出したところでメリットなど存在しない。

 

「私の方が上だということを証明したいの」

「つまり自己満足の為ってことね」

「多分やけど、アクアはんにはそれを見透かされてはると思いますよ」

「ねぇどうすれば、お兄ちゃんはやってくれると思う」

 

 ルビーの問いにフリルが

 

「まずはアクアにメリットを提示すること」

「メリット?」

「アクアにとって女装するのはデメリットしかないわ、この場合のメリットはギャラや権利といったところね」

「そやけどルビーちゃん、今月もカツカツやなかった?」

「それにルビーさんはアクアほど業界へのコネも無いから権利も難しいわね」

 

 まさに八方塞がりであったが

 

「でもルビーさんが本気を見せるのなら可能性は0ではないと思うわ」

「本気?」

「アクアだって鬼ではないわ、ルビーさんが真面目に頼み込めば答えてくれるはずよ」

 

 フリルの言葉を飲み込みルビーは最後の大勝負に打って出た

 

 

 学校が終わり、オフだったアクアは自宅で晩御飯の準備をしようとしたが、珍しく休みだったアイに台所を占領されてしまい、リビングで読書をしていたら

 

「お兄ちゃん」

「なんだルビー?いっておくが女装は」

 

 アクアが次の言葉を言おうとした時

 

「お願いします!これが最後でいいです。ワガママも言いません」

「おい!」

「ギャラは少ないけど、来月の給料を全部お兄ちゃんに渡します。だからやってください」

 

 床に額を擦り付け、人生初の渾身の土下座でアクアに懇願した。彼はこれでも断ろうとしたが

 

「アクア、女の子にこんなことさせて断るのは男が廃るわよ」

 

 ルビーはアイの援護口撃をもらった結果

 

「あ~もう分かったよ、やるよやる。ただし内容はこっちで決めさせてもらうからな」

 

 結局アクアが根負けした結果、『天音ニシキ』が復活することになった。

 

 

~数日後~

 

 苺プロの撮影スペースにはタレントが勢揃いし、メイクを終わらせたルビーは待機していた。何故か部外者の寿みなみと不知火フリルがいた。アクアは2時間前からメイクをしていたが、まだ撮影場にはいなかった。

 

 今回行うのはSNSを用いた対決で、互いに撮影した4枚の写真を投稿して、いいね!とリツイートの合計数を競う内容だが、この場合アクア扮する『天音ニシキ』の方に分があるので、彼の方は合計数はマイナス100からのスタートになる。しばらくすると壱護のスマホに着信が入り

 

「アクアの奴、まだ時間が掛かるから先にルビーの撮影をやってくれだとさ」

 

 壱護に促されルビーの撮影が始まった。彼女が来ているのはライブ衣装だが、普段使っているモノではなく星野アイがデビュー当時に着用していたのを自分用にサイズ調整し、ほつれていた部分を手直しした衣装である。

 

「また懐かしいモノを」

「アイも昔は、あんな感じだったわね」

 

 ミヤコとアイは当時を思い出すように語り合い、娘が成長していることを感じていた。30分ほどで撮影が終わり、ルビーはカメラマンと共に投稿する写真を選定していると

 

「遅れてすいません」

 

 ドアを開けて入って来たアクアに目を向けた女性陣は言葉を失った。そこには女装する星野アクアではなく、紛れもなく『天音ニシキ』が佇んでいた。ミヤコ・有馬・寿は料理番組の時に間近で見ていたが、それよりも綺麗で美しく芸術作品のような出で立ちに『これアクアだよね?』と脳内で何度もリフレインしていた。彼女の衣装は膝上が少し短い朱色のニットワンピースの上に薄いベージュのコートを着込み、また喉仏を隠すために首にチョーカーを巻き付けていた。

 

「いや~久々に本気(マジ)になっちゃたわ、素材が最高なんだもん」

 

 メイクを担当した泉京水が、いつも以上に腰をクネクネさせながら歩く

 

「なんだろう女として負けた気がする」

「大丈夫フリルちゃん、私も同じこと考えてた」

 

 フリルはただただ驚き、みなみに至っては関西弁が完全に抜け落ちていた。

 

 そしてアクア扮する『天音ニシキ』の撮影が始まるとカメラマンは、興奮を隠せぬようにシャッターを連続で押し続けモデルをドン引きさせた。すると彼は

 

「1つ注文いいですか?投稿する写真を1枚だけセピア調にすることって可能ですか?」

「問題無いよ」

「社長、タバコとライター貸してください」

「吸うんじゃないぞ」

 

 壱護から受け取ったアクアはタバコを口に咥え、火を点ける直前でシャッターを切らせた。

 

 結果から言ってしまうと天音ニシキの圧勝であった。事前にマイナスした100は意味もなく、ダブルスコア以上の大差をつけていた。特に4枚目に指定したセピア色で憂い表情をしながらタバコに火を点ける瞬間の写真には数多くコメントが寄せられ

 

・カッコイイ

・21歳の表情じゃない

・beautiful&sexy

・その火の点いたタバコを私に押しつけてください。

 

 

「これで満足かルビー?」

 

 全てを終えて、疲労困憊のアクアは妹に尋ねると

 

「うん、ありがとうお兄ちゃん」

 

 満足そうな顔をして答えてくれた。

 

「しかしこれがアクアなんて誰が信じるよ」

「本当ですよね」

「アクア、2ショットお願いできる?」

「フリルちゃん、うちも入って3ショットでやりまへん?」

「帰って寝よう疲れた」

 

 アクアが着替える為に出入口に向かおうとしたら、いきなり腕を取られ

 

「なんでしょうか?アイ先輩?」

「アクア、私が次に何を言うのか分かっているんじゃなくて?」

 

 伝説のアイドルがニヤニヤと邪悪な笑みを見せていた。この顔でアクアは全てを察してしまい、足に力を入れて逃げようとしたが

 

「だ~め、さぁニシキちゃんデートに行きましょう」

 

 アイに腕を組まれ、2人は事務所の外に出ていった。そっからはアクアにとって地獄でしかなかった。街中に出ればカメラを向けられ

 

「こっちに目線をお願いします」「眼福ですわ」「我が人生に一生の悔いなし」「もう濡れちゃう」「明日死んでも文句ないです」「ニシキ様、私を罵倒してください」「この鞭でイジメてください」「あ~もうこれ以上、推しが出来たら破産しちゃう」

 

 彼らの住んでいる街には変態しかいないのか?色々と心配になって来るが多分大丈夫だろう。またいつもの日々が続き、彼等は芸能の仕事に精進していく、タレント・モデル・役者・YouTuber

など数多くの人達が明日のスターを夢見る世界、またアクア君に会える日まで、今回の話はこれまで

 

 




前書きでも述べましたが、これにて今作は完結となります。執筆した時は原作があんな終わり方でモヤモヤしていたので「せめてヒロインと結ばれてハッピーエンドにしよう」という思いで書きました。アマプラでアニメを見ながらだったので大変でしたが、2期でアビ子先生が登場して雷田に褒められている時に左右に揺れながら照れているシーンを見て彼女にハマりました。多分アビ子先生をヒロインにしたのはコレだけだと思います。

また原作でアクアと死に別れになってしまった重曹ちゃんには幸せになってもらいたいと思っていたらヤンデレ化してしまったので、アクア君には恐怖の感情を持つのではなく「病んでくれるほど愛してくれてありがとう」の精神で彼女を包み込むようにしました。作中のアクア君も結構ヤバい精神の持ち主です。フリルちゃんは完全に趣味で裏ルートヒロインとして製作しました(彼女にも十分ヤンデレ要素を入れるつもりでしたが、闇化させるより面白いを念頭に考えました)

終盤のキスシーンは自身の好きなヤンデレ小説にて「ん」「にゅ」「うぅん」という表記が多く使われていたので参考にしました。筆者はヤンデレCDを第1弾から聞いてます。広橋涼さん演じるキャラが好きでしたが金田朋子さんのロリも良かったです。

ただ心残りだったのはザイガスを上手く扱えなかったことです。書いた当初は1話に1回ギャグをやらせようと思いましたが、小説だとどうしてもキャラクターと関わらせないと表現出来ないので断念しました(当初の案ではダンボールハウスに住まわせる予定でした)

黒川あかねですが最初は彼女をメインヒロインでブラックホールレベルで闇化させようとしましたが、アイが生存し復讐を考えていないアクアだと接点が段々と薄くなり、彼女の知識が無用の長物になってしまい宮崎旅行後に破局と留学になりました。逆に重曹ちゃんを引き立てる役になってしまいました。

質問等ございましたら感想や活動報告にて受けます。もし感想での質問が規約に引っ掛かりそうでしたら、上手く文章化してください。


今までご愛読していただきありがとうございました。

感想や評価、誤字脱字をしていただき本当に感謝しています。

次作ですが、もう1本「推しの子」にするか「IS」にしようか考えています。
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