秀尽学園の非常勤講師、ベレス   作:女主人公スキー

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10.訓練と潜入の日々-後編-

 4月27日。理事会は5月2日だから、5月1日には改心を完了させねばならない。

となると、予告状は4月30日までに鴨志田に届ける必要がある。

なので、4月29日にはオタカラを見つけ、潜入ルートを確保しなければ間に合わない。

 

 

 

「先生、おはようございます」

 

「ああ、おはよう。雨宮くん」

 

 

 

 朝、HR前に雨宮から声をかけられる。

 

 

 

「期限が迫ってきましたね……」

 

「うん。でもルート確保まではたぶんもうすぐだと思う……勘だけど」

 

「俺もそんな気がします。今日は休みにして、明日万全の状態でルート確保まで行きたいですね」

 

「残りはキミ達に任せるよ。実は5chに依頼が3件ほど来てるんだ。

私とかすみでそっちに取り掛かることにする」

 

「分かりました。ところで先生」

 

 

 

 雨宮はベレスのほうへ振り返るとポケットからスマホを取り出す。

 

 

 

「LINEのID教えてくれませんか。連絡取れないと不便なので……グループに招待しますよ」

 

「LINEか……いいけど、怪しまれるような会話してない?」

 

「大丈夫です。そこは徹底してます……竜司はたまに怪しいですけど」

 

「わかった、IDはこれね。HR始まるから、急いで」

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 同日、メメントス。

 

 

 

「ふざけんなっ! これは俺の金だ、なんで返さないといけないっ!!」

 

 

 

 寸借詐欺(少額の金を借りて返さない)で金を搾り取ってきた男のシャドウが身勝手に叫ぶ。

矢鱈に繰り出される攻撃を華麗に躱して、ベレスとかすみがシャドウの懐へ迫る。

 

 

 

「その歪んだ欲望、」

 

「頂戴します!」

 

 

 

 ベレスの剣とかすみの小剣がクロスするようにシャドウの身体を切り裂く。

シャドウは消え、元の男の姿に戻る。

 

 

 

「借りたお金は返してください!」

 

「そうしたいけど、もういくら借りたのか分からないんだよ……」

 

「言い訳しない。凡そでいいから返せばいい。真摯に謝れば少なかったとしても許してくれるよ」

 

「分かった……そうするよ……」

 

 

 

 男の姿は消え、手元にオタカラのアイテムが落ちる。

ベレスはそれを拾い上げると、ぼそりと呟く。

 

 

 

「金銭トラブル多いな……」

 

「まぁ、警察に相談しにくい犯罪となるとそうなるんじゃないですか?」

 

「かもね……で、最後はDV男か。まだいける? ヴァイオレット」

 

「はい! モナさん、お待たせしました!」

 

 

 

 2人はモルガナカーに乗り込み、さらにメメントスを進んでいく……。

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 翌日、4月28日。

放課後、アジトである屋上にかすみを除く4人が集まっている。

 

 早速パレスに潜入しようとしたところ、ベレスからLINEでメッセージが届く。

 

 

 

『城へ行く前に、怪盗団へ依頼をしておいて。

三島くんと鈴井さんにも後で教えてあげてほしい』

 

 

 

「……これってあれか。前言ってた疑いを和らげるための偽装工作ってやつか」

 

「だと思う。そのためにメメントスで改心してたんでしょ?」

 

「ああ。でも全員で一斉に依頼するのも不自然な気がする。

少しずらして投稿しよう。杏はパレスから帰ってからでいい」

 

「了解。志帆には私から連絡しとくから」

 

「三島には明日俺から伝えとく」

 

「よし……投稿するぞ」

 

 

 

 


 

 

【心の】改心してほしい悪人を募集中【怪盗団】

 

1:名前を入れてください ID:

特別な力で悪人に限り改心する(心を入れ替えさせる)ことができます

改心が必要な悪人が身近にいる人は是非書き込んでください

その際写真はいりませんが本名をはっきりと書いてください

 

 

  ・

 

  ・

 

  ・

 

 

32:名前を入れてください ID:

怪盗団に改心を依頼したい男がいます

某高校で体育教師とバレー部の監督をしている鴨志田卓という男です

元メダリストの有名人でバレー部は毎年結果を残していますが

毎日のような暴力と叱責で部員の心と体はボロボロになっています

また女子バレーの部員には何人か手を出しているらしく

1人それが原因で自殺未遂を起こし現在入院しています

そのことを問い詰めた結果、理事会でつるし上げて退学にしてやると言われました

5月2日までに改心をお願いします

 

33:名前を入れてください ID:

上に同じ

こいつに陸上部潰された

バレー部以外が活躍するのが嫌だったんだろうな

クズ教師すぎるんで改心よろしく

 

 

34:名前を入れてください ID:

鴨志田卓って結構有名なやつじゃん

 

35:名前を入れてください ID:

ググったらマジでメダリストなんだな

高校も特定できた

つーか本名書いてんだから高校伏せる意味なくて草

 

 


 

 

 

 

「これでよし。それじゃ行くか」

 

「今日で潜入ルート確保すっぞ。最悪明日でもいいけどな」

 

「焦るなよお前ら。ベレスも言ってたがこういう時こそ慎重に、だぞ」

 

「慎重かつ大胆に……のほうが、怪盗っぽくない?」

 

 

 4人はイセカイナビを起動し、カモシダパレスへ潜入していく。

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 同日、夕方17時。

スマホの通知を確認すると、LINEで雨宮たちから報告があった。

 

 

 


 

【雨宮】

『ルート確保できました』

 

【ベレス】

『お疲れ様。明日は休養して、30日で終わらせよう』

 

【竜司】

『疲れた……でもいよいよなんだな』

 

【杏】

『うん。今から緊張してきた……』

 

【雨宮】

『先生、シェズともその時に戦うんですよね』

 

【ベレス】

『そう。でも、例の対策がハマれば大丈夫。雨宮くん、前言ってたものは?』

 

【雨宮】

『ええ、何とか用意できました』

 

【ベレス】

『ありがとう。その時が来たら頼らせてもらうよ』

 

【かすみ】

『負けないでくださいね、先生!』

 

【ベレス】

『うん、大丈夫。キミ達も無茶しないようにね』

 

【雨宮】

『はい。それじゃ、明後日にまた集まりましょう』

 


 

 

 

 そして4月30日。モルガナによって、校内に予告状がばら撒かれた――。

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