フィレネの花と騎士の誓い ファイアーエムブレムエンゲージ 作:kim
ある日の午後、セリーヌはクロエを招き二人でお茶会を開いていた。
テーブルの上にはクロスが引かれ、紅茶のポットとカップが並ぶ、中央には一輪挿しに白いスズランが静かに咲いている。
穏やかな陽光が部屋を照らし、二人はガールズトークに花を咲かせていた。
セリーヌが「キムランがフォガード王子からって、お土産にくれたシロップがあるの」と微笑み、小さなガラス瓶を取り出す。
蓋を開けると甘い香りが漂い、彼女は紅茶にスプーンで一匙加えた。カップを手に持ち、そっと口をつけると「美味しいわね」と目を細める。
クロエも自分のカップにシロップを垂らし「キムランってセンスいいよね!」と笑った。
話題が弾む中、クロエがふと紅茶を飲みながら
「ねえ、最近キムランとはどう?」と無邪気に尋ねる。
セリーヌはカップを手に持ったまま、少し考え込むように目を伏せた。
クロエは何気なくシロップの瓶を手に取り、ラベルを眺める。
すると小さな文字で「ブランデー入り」と書かれているのに気づき目を丸くした。
セリーヌの頬はほんのりピンクに染まり始めていた。
「キムランったら、帰ってきてからちょっと変なのよ。静かというか……落ち着きすぎてるっていうか」
と話し始め、紅茶をもう一口飲む。
彼女の声に微かな揺れが混じり、目は少し潤んでいるように見えた。
「それに彼、ほんと奥手でね。初めてのキスだって、私が手引っ張ってやっとだったし、それに……」
クロエが慌てて「セ、セリーヌ様!?それ以上は!」と止めようとするが、時すでに遅し。
セリーヌは勢いよく立ち上がり、カップを机に置いて大声で叫んだ。
「それにえっちもまだいっかいしかしてないの!!」
その瞬間、部屋に響き渡る声と共に、セリーヌの身体がふらっと傾き
ばたっと机に突っ伏して倒れてしまう。紅茶のカップが小さく揺れ、スズランの花びらが一枚、静かに床に落ちた。
クロエは呆然と立ち尽くし、
「セリーヌ様……!?」と呟きながら彼女に近づく。そっと肩を揺すってみるが、セリーヌはすうすうと小さく寝息を立てているだけだ。
クロエはシロップの瓶を手に持ち、「ブランデー入りって…キムラン、なんてものをお土産に!?」と半笑いで呟く。
だが、すぐに「でも、セリーヌ様のぶっちゃけトーク聞けたのは…ちょっとお得かも?」とニヤリとしつつ、慌てて侍女を呼んで介抱を頼んだ。
部屋にはセリーヌの寝息と、クロエの困り笑いが静かに響き、紅茶の甘い香りが漂っていた。