フィレネの花と騎士の誓い ファイアーエムブレムエンゲージ 作:kim
フィレネは終戦1周年を祝う記念式典の日を迎えた。王宮の近くに広がる菜の花畑が会場となり、黄色い花々が風に揺れる中、民と王族が集う。
いつもより華やかな白いドレスに身を包んだセリーヌは、フィレネ王族として気高く壇上に立ち、優雅な仕草で民に語りかけた。彼女の長い髪が陽光に輝き、白いドレスが花畑に映える姿に、キムランは少し離れた場所から目を奪われていた。
式典が終わり賑わいが落ち着いた頃、セリーヌとキムランは二人で菜の花畑を歩き始めた。
黄色い花が足元に広がり、そよ風が二人を優しく包む。セリーヌはドレスの裾を軽く持ち上げながら歩き、時折キムランに微笑みかける。
キムランは彼女の隣で少し緊張した面持ちだったが、前夜のアルフレッドとのやりとりを思い出し意を決して口を開いた。
「セリーヌ様、この間のこと…考えました」
と静かに切り出す。セリーヌが足を止め、彼の方に振り返ると、キムランは真剣な瞳で続けた。
「俺、子供の頃からセリーヌ様のために戦うって思ってました。それが今は…セリーヌ様とこんな大切な関係になれて、正直、思ってもいなかったんです。でも、平民の俺でいいのかって…ずっと悩んでました」
その言葉に、セリーヌは一瞬目を細め、彼を見つめる。だが、すぐに柔らかな笑みを浮かべ、優しく言い返した。
「そんな事は関係ないわ。王族だろうと平民だろうと、同じ卓を囲める未来が私の理想なのだから。それに、私はあなただから一緒にいたいのよ。キムランだから…私のそばにいてほしいの」
その言葉は、幼い頃に彼女が村で語った夢と重なり、キムランの胸に温かく響いた。彼は少し驚いたように目を丸くし、すぐに穏やかな微笑みを浮かべた。
「やっぱりセリーヌはセリーヌでしたね」
そして、キムランはそっと彼女の前に進み出て、片膝をついた。菜の花が彼の周りに揺れ、風が一瞬止まる。
緊張で少し震える手で小さな箱を取り出し、蓋を開けると、そこには赤い宝石が輝く金の指輪が収まっていた。
セリーヌはその指輪を見て息を呑み
「これは…『慈愛の王女』の指輪!?」
と声を上げた。
キムランは少し照れながら説明した。
「アルフレッド様から昨日貰ったんです。『セリーヌをよろしく頼むよ』って…」
彼は深呼吸し、セリーヌの目を見つめた。真っ直ぐな瞳に愛情と決意が宿り、声が静かに響く。
「セリーヌ、結婚してください。二人で笑顔が咲き誇る未来をつくりましょう」
セリーヌはその言葉に目を潤ませ、頬に涙が一筋伝った。白いドレスの袖でそっと涙を拭い、彼女はキムランに駆け寄り、強く抱きしめた。
「もちろんよ、キムラン」
と囁く声は震え、喜びと愛情に満ちていた。キムランも彼女を抱き返し、二人の間に菜の花の甘い香りが漂う。
菜の花畑に陽光が降り注ぎ、遠くで式典の余韻が民の笑い声として響く。二人は抱き合ったまま見つめ合い、セリーヌが「これからもずっと…ね?」と微笑むと、キムランが「はい、ずっと」と頷いた。風が再び吹き、花びらが二人を祝福するように舞い上がった。