フィレネの花と騎士の誓い ファイアーエムブレムエンゲージ   作:kim

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8.穏やかなひと時

戦争が一段落し、フィレネの復興が始まった頃。朝早くから王宮の執務室は忙しさに包まれていた。

 

セリーヌは机に向かい、書類を次々と整理し、「この村には穀物が足りてないわ。午後に馬車で届けましょう」とキビキビ指示を出す。

 

優雅な仕草でペンを走らせつつ、侍女に「鍬と種も忘れずにね」と細かく確認。その後、外に出て馬車の荷物を自ら点検し、「これで足りるかしら…いや、もう一袋追加して」と素早く判断。汗を拭う間もなく、馬に鞍をつけ、「私が視察に行くわ。お兄様には報告しておいて」と颯爽と動く。キビキビ働く姿は、まるで戦場で剣と魔法を振るうような頼もしさだ。

 

そんな中、兄アルフレッドがのんびりと現れ、

「セリーヌ! 知っているかい? 畑仕事は素晴らしいよ。耕せば鍛錬にもなるし、野菜ができれば国民のお腹も満たすことができる! 一石二鳥とはこの事だね!」と明るく笑う。

 

鍬を手に持つ姿は緩いが、その前向きさにセリーヌは一瞬手を止めて、「お兄様らしいわね。そんな人柄だから、次期王として民から慕われてるのよね」と優しく返す。

 

でも、すぐに目を伏せ、「私がなったら…余裕がなくて、皆の息が詰まるわ」と小さく謙遜する。

 

それを聞いたキムランが荷物を運びながら、「そんな事ないですよ! セリーヌ様は優しくて、皆を笑顔にする方です。俺だって…セリーヌ様だから支えたいんです!」と熱く否定した。

 

セリーヌは「ありがとう、キムラン」と柔らかく微笑み、胸が温かくなる。

 

アルフレッドは「よし、鍬を手に持つポーズが決まった!」と緩く笑い、セリーヌは「もう、お兄様ったら…」と苦笑いを浮かべつつ、また忙しく動き出す。

 

キムランも負けじとサポートに励む。荷物を運び、馬の手入れをし、時には雨で道がぬかるみ、馬車が通れない村まで自らの足で物資を運ぶ。

 

「セリーヌ様の夢のためなら!」と汗を拭いながら働く姿は、彼女との息の合った連携そのものだ。セリーヌが「キムラン、この荷物を右に」と指示すれば、「はい、セリーヌ様!」と即座に動く。

 

ある日、二人で村へ物資を届け終え、夕方には執務室に戻ってきた。

 

仕事が一段落し、執務室に二人きりになった。窓から差し込むオレンジ色の夕陽が部屋を温かく染め、静かな空気が流れる。

 

アルフレッドは「セリーヌ、後は頼んだよ」と手を振って出て行き、セリーヌは「もう、お兄様ったら…」と苦笑いしながら椅子に座る。

 

ふぅっと息をついてキムランを見上げ、「キムラン、今日もありがとう。本当に助かったわ」と柔らかく微笑む。その声に、キムランは「いえ、俺こそセリーヌ様と一緒に働けて…!」と少し照れながら返す。

 

次の瞬間、セリーヌが立ち上がり、そっとキムランに近づいてくる。

 

そして、肩にこつんと頭を預け、甘えたように寄り添った。

 

「セ、セリーヌ様…!?」とキムランは目を丸くし、心臓がドキドキ跳ね上がる。

 

いつもキビキビ働くセリーヌからは想像もつかない、柔らかくて無防備な姿に頭が真っ白だ。

 

セリーヌは目を細めて小さく笑い、「ふふ、二人きりの時はね…セリーヌって呼んでほしいわ」と囁く。

 

その声は優雅なのに甘えっぽくて、頬がほんのりピンクに染まってるのがたまらない。

 

キムランは「セ、セリーヌ…!?」と声を裏返らせ、顔が真っ赤に。「そ、そんな…俺、セリーヌ様を…いや、セリーヌって…!」と慌てふためく姿に、セリーヌが「もうっ、落ち着いて」と頬を膨らませて軽くつつく。

 

「だって、あなたとこうやってると…安心するの。私、いつも頑張ってるけど、キムランがそばにいてくれるから強くいられるのよ。お兄様みたいに緩くはできないけど…」とセリーヌは照れながらも素直に言う。

 

キムランは「俺だって…セリーヌがそばにいてくれるから頑張れるんです! アルフレッド様みたいに緩くはないですけど…!」と目を輝かせ、そっと彼女の手を握り返す。

 

夕陽の中で二人は見つめ合い、セリーヌが「ふふ、じゃあ、これからもずっと……ね?」と小さく笑う。その愛らしい笑顔に、キムランは「はい、セリーヌとずっと!」とドキドキしながら頷く。

 

部屋には甘くて温かい空気が満ち、遠くでアルフレッドの「鍛錬の時間だ!」って声が響いていた。

 

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