綱手の兄貴は転生者   作:ポルポル

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だらしない兄さんですまない……

 うちはイタチは、うちは一族当主フガクの長子として生を受けた。幼くして忍術の才能を示しながらも、その若さゆえに第三次忍界大戦に参加することは無く、うちはフガクより警務隊の次期当主としての期待を寄せられ、厳しくも大切に育てられていた。

 弟サスケが生まれ、兄としての自覚を抱いた矢先に起きた”九尾事件”と、そこに連座して勃発した第三次忍界大戦の決戦”木ノ葉隠れの戦い”を間近で目の当たりにしたイタチは、幼くして、”忍者”とは何か、”里”とは何かを、考えるようになった。

 

 化け狐の咆哮。里の各所で燃え上がる炎、立ち上る黒煙。崩れ落ちる家屋、戦いの轟音。響き渡る忍者たちの悲鳴、呻き声、怒声。

 いくら才能に溢れて居ようとも、当時まだ幼かったイタチには、生まれたばかりの弟を抱きしめるより他に出来ることは無かった。安らかに眠る愛しい弟を守り抜くという義務感と、これから里はどうなってしまうのかという不安を強く抱いたあの夜のことを、イタチは鮮明に覚えている。

 

 ―――愚かな一族。

 

 あの夜、戦わない選択をしたうちは一族に、イタチは始め、強い落胆と激しい怒りを覚えた。

 里の多くの忍びたちが文字通り命を捨てて臨んだ激闘の轟音、英雄たちの雄たけびは、イタチの耳にまで届いていたというのに、当主フガクが不動を掲げたことで、一族の者は里が火急の事態にあってなお当主の言葉には逆らえぬという免罪符を手に入れ、安堵と共に静観を受け入れた。当時のイタチは知らなかったことだが、あの時、うちは一族は恐れていた。九尾だけではない。その影にちらつく、うちはマダラの存在に怯えていたのだ。

 

 かつてうちはマダラは九尾を引き連れ、木ノ葉隠れの里―――初代火影千手柱間に決戦を挑んだことがある。マダラが生きていて、再び木ノ葉を襲撃したのではないかと思ってしまったうちは一族は、戦わずして、うちはマダラという、すでに失われて久しい悪の名に屈服した。

 当然、中には義憤に駆られるうちはの者もいたが、結束が強い一族であるがゆえに、あと一歩、長の言葉を凌駕するための決め手に欠けていた。

 

 里の外れに位置するうちは一族の居住地は、幸いにも九尾襲撃の暴威からは遠い場所にあり、被害は未だ出ていなかったが、しかし九尾を放置すれば、いずれうちは一族の居住地まで戦火が届くことは必定である。戦力が削り切られ手の打ちようが無くなる前に、里の総力を以て抑えなければならない事態だったことは明白であり、幼いイタチですらそんなことは分かっていたというのに、第二、第三と忍界大戦に参加せず、里の警備というぬるま湯に漬かり続けたうちは一族の者達は、九尾事件すら放っておけば終わる対岸の火事として捉えていた。

 

 ―――戦国最強を謳われた、我らうちはの名を示す!!

 

 そんな中にあって、突如として現れた女傑の叫びは、イタチにとってこの上なく痛快なものであった。父フガクが”マダラの使者”を名乗る者に操られていたことや、一族の歴史の詳細を未だ知らなかったイタチにとって、視界に映るのは腐り切った一族のみであり、突如として文字通り殴り込んで来た”輝き”から受けた衝撃は、控えめに言って天変地異に等しいものだった。

 そしてあの夜、うちは一族は長く燻っていたマダラへの恐怖と千手一族への確執を乗り越え、真実木ノ葉隠れの忍者となった。

 

 そして数日後に起きた、”木ノ葉隠れの決戦”。

 出陣しようとする父へ、イタチは幼いなりに出来ることはあるのではないかと考えて、「自分も」と手を挙げたが、「子供が何を言うか!」と、フガクに厳しく叱りつけられた。

 直後、もしかすると最期になるかもしれない別れの言葉がそれ(・・)では、あまりに辛いと感じたミコトから窘められたフガクは、迷った様子を見せた末にイタチの額を小突き「許せ……」と自身の名を呼び、これまで見たことの無いような穏やかで儚げな表情を浮かべた。

 そんな父を見て、イタチは何も言えず、一族の者を大勢引き連れて旅立つその背を、静かに見送った。それが不器用な父の、決死の覚悟を秘めた別れの言葉であったことは、幼いイタチにも感じ取れていたが、その背を見て感じたものは憎しみや悲しみではなく、燃え上がるほどの熱だった。

 

 そして、イタチも含めた一族の非戦闘員は本家に集い、審判の時を待った。

 未曽有の決戦。存亡をかけた最期の戦い。この一戦で、すべてが変わる。ここにいる者達が日常に戻れるか、それとも―――。

 気丈に振舞う者、恐怖に震える者―――集った一族が共通して抱いていたのは、不安だった。イタチとサスケを抱きしめ、子供たちに不安を与えないように気丈に振舞っていた母ミコトの手が、しかし耐え切れず微かに震えていたことを、イタチは覚えている。それほどに、木ノ葉隠れの里は追い詰められていたのだ。

 

 九尾を止めるために戦った四代目火影は、その対価として命を落とした。戦死した者も少なくない中、九尾襲撃を生き残った者達も皆負傷しており、その疲労も抜けぬまま、総力で言えば九尾以上の外敵との戦いを強いられる。

 唯一の希望である初代火影の孫”昇り龍”千手畳間は、火の国に散った里の戦力を集め、決戦の時まで里を守護するために全力を尽くし、それゆえに大きく疲弊していた。里の中央広場に座しながら、瞑想しチャクラを練り続けるその姿を、イタチは遠目で見たことがあったが、その時の千手畳間の姿は酷く草臥れており、その後すぐに参戦できる状態であるとは、とてもではないが思えなかった。

 

 いくら木ノ葉隠れの里が強大であっても、他の五大国すべてをこんな状況下で相手にするなど、不可能だ。あの時の木ノ葉に、万全の者など一人としていなかった。

 

 諦念は伝染し、不安は蔓延する。

 

 ―――木ノ葉隠れの里は今日、終わる。

 

 誰もが、心のどこかでそう考え、諦念を抱いていたことは否めない。だからこそ、希望を捨てず、前に進もうとする千手畳間と言う男に、里の者達は最後の望みを賭けた。

 イタチは、何があろうとも、弟だけは守り抜くと、幼い心に悲壮な覚悟を添えて空を見上げた。

 

 そして―――イタチは垣間見た。

 それは雲を裂き地を揺らした里を背負う”父”の背であり、絶望を消し飛ばす千の手であり、家族を救う守りの力であり、里を守護する”影”の姿であった。

 

 その後―――光指す道の中、里に凱旋した英雄は、無言で集まった群衆の間を歩いた。

 男は里を見守る歴代の火影たちの顔岩を見つめ目を閉じて、そして皆の方へと振り返ると慈しむような笑みを浮かべて、言った。

 

 ―――もう、大丈夫(・・・・・・)。戦争は……終わった。

 

 沸き上がる大人たちの歓声―――腰が抜けてへたり込む者もいたし、感極まって涙を流す者もいた。

 そして、不安に苛まれていた子供たちの心に、その言葉と微笑みが与えた希望と感動―――あの日のことを、イタチは生涯、忘れないだろう。

 

 イタチは千手畳間に憧れた。その傍で里のために働きたいと思うようになった。イタチが憧れ、そしてすぐに失恋した女傑の心を射止めた男ということで興味もあった。

 そして、イタチの希望は叶う。アカデミーに通う傍ら、その才を見出した畳間に、次代を担う者として手厚く育てられ、重要任務も任せられるようになった。フガクは思うところもあったようだが、息子の成長は純粋に嬉しかったし、イタチ自身、いつかはうちは警務隊を継ぐことを約束していたこともあり、親子仲は良好だった。

 

 その後、火影の側近として初めて任せられた重大任務で里を長く不在にしていた間に、愛する弟がとんでもないことになっていたことは衝撃的であったが、それも素直な弟のこと、月読で三日三晩話し合ったらすぐに元に戻ってくれた。事の顛末を知った畳間から「それは洗脳では?」と指摘されたが、イタチは笑顔を見せるだけであった。お兄ちゃんはそんなこと許しませんよ。

 

 半面、サスケが写輪眼を開眼していたことは想定外であり、同時に嬉しい誤算でもあった。兄のことをそこまで愛してくれているという事実が嬉しかったし、何より、幻術で悲惨な光景を見せる必要も無くなったからである。サスケが火影を目指すというのなら、写輪眼を開眼するくらいはしておいた方が良いだろうと考えていたイタチは、サスケが下忍になった暁には、写輪眼を開眼するに十分な程度の悲劇を幻術で見せる予定であった。例えば兄である自分が一族を皆殺しにする光景だとか―――ともかく、その予定は無くなったので良いとする。

 

 その後、長期任務明けということもあり、長期休暇を畳間より貰っていたイタチは、五代目火影やフガクからの指導を受け、任務には就かず万華鏡写輪眼と言う新たな力の制御に精を出しながら、日常を謳歌していた。

 父と将来を語り合い、母の手料理を食べ、弟と戯れる。そんな穏やかな日々を過ごしていたイタチに、ある日、サスケが嬉しそうに、Cランク任務に就くという報告を持ってきた。

 

 担当上忍は、はたけカカシ。

 尊敬する五代目火影の右腕であり、イタチの先輩である。滅多なことは起きないだろうと考えていたイタチだが、それはそれとして、休みを利用してサスケの成長を見守ることを思いついた。あくまで授業参観の気分であり、カカシの顔を立てるという意味でも、任務自体に手を出すつもりは無かったが、状況が変わったために姿を現したのである。

 敵の名は干柿鬼鮫。一本線が刻まれた額当てからして、霧隠れの抜け忍。

 

(霧隠れか……)

 

 哀れな里だと、イタチは思う。そして同時に、在りえたかもしれない木ノ葉隠れの里の姿であるとも。

 うちは一族はかつて、イタチや、父フガクすら生まれる前に起きた九尾を引き連れたうちはマダラ襲撃の折、クーデターを起こそうとしたことがある。マダラに呼応した人数こそ少なかったが、しかしその多くが武闘派と呼ばれる手練れたちであり、皆”写輪眼”を開眼していた。

 

 彼らは平和となった里にあって権力を高める千手一族―――特に英雄イズナを殺害した千手扉間に不満を抱き、また第一次忍界大戦において、多くの同胞を殺した他里との和平を進める初代火影への苛立ちを爆発させて行動を起こそうとしたのである。今の霧隠れと同じように。

 しかし、当時千手扉間の支援を受けたうちはカガミを始め、フガクの父にしてイタチの祖父等の暗闘によってその火種は刈り取られた。

 

 もしかすれば、木ノ葉隠れの里も、霧隠れのような状態になっていたかもしれないと、イタチは思う。当時は初代火影も、後の二代目火影も健在であり、里が割れるようなことにはならなかったかもしれないが、うちは一族の立場がすこぶる悪くなっただろうことは想像に難くない。

 イタチは一族間で火種を処理したことを英断だと思っているし、五代目火影”昇り龍”千手畳間や、”木ノ葉の青い鳥”うちはアカリ、初代”白い牙”はたけサクモを育てたこともそうだが、若くしてその英断を下した”若獅子”こと”うちはカガミ”を、影の英雄だと捉えている。イタチが同世代に生まれていたとしても、きっと同じ行動を取っただろう。

 

 そんなイタチにとって、里は一族より重く、そして弟は里と同等の価値を持つ。

 そんな弟ごと、里を担う”先輩”を抹殺しようとした干柿鬼鮫は、到底許せるものではない。

 

「驚きました……それだけで幻術を発動されるとは……」

 

 鬼鮫が驚嘆に言葉を零す。

 イタチが印を組む動作をするため―――というブラフを以て腕を持ち上げ、胸の前で指を少し動かしただけで、鬼鮫は自身に幻術が発動されたことを自覚した。

 それでも焦った様子を見せないのは、握りしめた鮫肌が常に鬼鮫のチャクラを喰らっているがゆえに、チャクラの流れを乱す幻術はすぐに解除できるからだ。

 

「そして、この炎も……」

 

 鬼鮫が未だ右手で燃える黒炎に鮫肌を近づける。鮫肌は近づく熱気に怯えるように震えたが、すぐにそれがチャクラで生成されたものだと気づき、嬉しそうに食べ始めた。

 

「天照を……!?」

 

「イタチ、行けるか?」

 

 消された黒炎に驚愕するイタチに、ふらつきながら立ち上がったカカシが問うた。

 良い返答を期待したカカシだが、しかしイタチはしばらく沈黙した後、ぽつりと言った。

 

「困った……」

 

「え?」

 

 幻術は無効化され、切り札の消えない黒炎”天照”も対応される。得意の火遁は、今しがた見せられた大規模な水遁に到底太刀打ちできるとは思えない。さすがに、あれほどの練度を誇る水遁を、相性不利な火遁で凌駕するのは難しい。

 カカシは既に疲労困憊であり、戦闘を継続できる体力は残っていない。そのうえ、イタチは火遁を得意とするうちは一族である。

 一方の鬼鮫は、大技とはいえ水遁の術を一発放っただけで、ほぼ万全の状態にあるうえ、火遁に有利な水遁を得意とするだけでなく、その大規模忍術で護衛対象を巻き込んで攻撃できる。簡潔に言えば、先ほど見せた術を連発し、周囲一帯を水没させるだけで、鬼鮫は戦いを制することができるのだ。それだけでイタチはカカシや子供たち、タズナを守る以外に選択肢は無くなり、防戦一方の状態で無為にチャクラを消耗させられる。

 

 須佐能乎は膨大なチャクラを消費するだけでなく、全身に激痛を伴う。天照も同様に、チャクラを多く消費するし、目への負担も決して軽くない。

 今カカシを助けるために天照を使用させられ、そしてその直前には子供たちを守るために、少なくない時間、須佐能乎を展開させられている。もともとそこまでチャクラ量が多くないイタチにとっては、すでに中々厳しい状態であり、カカシが神威で水を消しきれない状態にある今、再び周囲そのものを水没させられた場合、同じように守り切れるとは言い切れなかった。なまじ須佐能乎で守れたとしても、いずれ空気が無くなり外に出ざるを得ない状態に追い込まれる。そしてそのとき、鬼鮫がそれを見逃すとも思えない。

 

 もう一つの万華鏡写輪眼の能力―――月読は、目を合わせた対象を時間も空間も支配する幻術に落とし、一瞬で三日三晩続けたに値する拷問を与えることが出来るが、チャクラ量の関係上、イタチにとっては一度きりの切り札である。発動して、もしも外せば、チャクラが切れてカカシの二の舞になる。さらに言えば、目を合わせたとて、月読が成功するとも限らない。

 幻術とは相手のチャクラの流れに同調しそれをコントロールすることで相手に幻覚を見せる術である。月読がいくら万華鏡の強力な特異能力であるとはいえ、九尾の人柱力であるナルトを凌駕する鬼鮫のチャクラを完全に制御できるとは断言しがたいし、鮫肌と言うイレギュラーな忍刀の存在もある。

 幻術による絡め手に加えて火遁と体術を用い、例えるならば詰将棋のように計算された繊細な戦いを得意とするイタチにとって、干柿鬼鮫という忍者は、雷遁による肉体活性を駆使した短期決戦を得意とするカカシと同様に、不得手な相手と言えた。

 

 鬼鮫はカカシを警戒しているがゆえに、接近戦ないし幻術戦に応じることはもはや無いだろう。カカシのことをよく知っているイタチからすれば、カカシがもう戦える状態ではないことは明白だが、鬼鮫にとっては未知の相手でしかない。

 疲労困憊と言った様子はカカシの演技かもしれない。もう体力は回復しているかもしれない。そう考える鬼鮫は、なまじ接近戦における強さをカカシが見せつけたがゆえに、再び立ち上がったカカシを侮ることは絶対にしないし、カカシが頼りにしているような言動を見せるイタチを見くびることも、決してしない。

 

 先ほどから幻術を繰り返し発動しているが、その悉くが僅かな時間で解除されている。そのうえ、水分身で周囲を固め、”写輪眼には二対一であたれ”という古からの口伝を忠実に守っている鬼鮫に隙は無い。だからと言って、諦めるイタチではない。

 

 瞬間、イタチの両手の指の間に、8枚の手裏剣が現れる。

 投擲された手裏剣は曲線を描き、鬼鮫の水分身に襲い掛かった。

 

「水遁・大爆―――」

 

 水分身を壁に、鬼鮫が凄まじい速さで印を結ぼうとするが、手裏剣の数が突如として倍化した。そして増えた手裏剣がさらに増加し、倍々に増え、手裏剣の雨となった。手裏剣影分身の術である。

 鬼鮫はたまらず後方へ飛び逃げるが、その足元に突き刺さった手裏剣が次々に爆発していいき、さらなる回避を余儀なくされる。

 

 爆発の中、突如として鬼鮫が感じた悪寒。

 背後に感じる気配、咄嗟に水分身を作り出して壁とする。水分身が蹴りによって消滅させられ、水しぶきが目くらましとなった瞬間、鬼鮫はすさまじい速さで印を結ぶが、突如肩に突き刺さった手裏剣の痛みに呻く。直後、爆発。

 

「があああ!!」

 

 うめき声をあげて吹き飛ばされる鬼鮫。

 

「あれ、ナルトのやつじゃないの!?」

 

「さすが兄さんだ!!」

 

 手裏剣影分身、そして分身大爆破。ナルトが下忍昇格試験において見せた取って置きの切り札を、イタチは攻撃の導入に用いた。サクラはその事実に驚愕し、サスケはただそれを使うだけでない戦法の組み立てに、はしゃぐような声を出す。

 

「お前らちょっと緊張感足りなさすぎるってばよ!!」

 

「ぐえ」

 

「ぐえ」

 

 サスケとサクラの襟首を引っ張って岩陰に引きずり戻したナルトが、叱りつけるように言った。

 

「鬱陶しいですねぇ!!」

 

 鬼鮫が吠える。雨あられと振り続ける手裏剣影分身を前に、鬼鮫は大規模忍術を発動する余裕が無い。イタチからの追撃を避け、印を結ぶ時間を確保するため、鬼鮫は短い印を結び、小規模な水の柱を作り出して身を隠そうとする。

 しかしまるで見計らったかのように、手裏剣は軌道を変えて左右に散開すると半円を描き、水の柱を器用に避けながら、再び鬼鮫に襲い掛かった。

 

「なんという手裏剣術……っ!! な、実体!?」

 

 鬼鮫は手裏剣が影分身だと判断し、爆発する前にそれらを消滅させようと鮫肌を振るい叩き落すが、しかしそれは影分身では無く、本物の手裏剣だった。叩き落された手裏剣は当然消滅することは無く、結ばれていた起爆札が、鬼鮫の足元で次々と爆発する。足をやられるわけにはいかないと、鬼鮫は体を丸め、背中でその暴風を受け止めるが、吹き飛ばされて地を転がった。

 転がりながら起き上がり、背後へ向けて鮫肌を振るう。回り込んでいたイタチの苦無と鬼鮫の鮫肌が激突し、甲高い金属音が響いた。

 本来は剛力を誇る鬼鮫だが、肩に受けた手裏剣の刺し傷と、爆発による背中の火傷の痛みが強く、イタチの苦無にすら押されており、鮫肌を握る両手が震えている。

 押し負けることを危惧した鬼鮫は、咄嗟に膝蹴りを放つ。イタチがそれを避けて後方に飛ぶと、鬼鮫は鮫肌を宙に投げて凄まじい速さで印を結び始める。

 

 水遁・大爆水衝波。その術さえ発動できれば、鬼鮫の勝ちだ。

 鬼鮫は最後の印を結ぼうとしたが、しかし両の人差指が突如として発火した。

 鬼鮫は焦ったように指先を鮫肌に当てて黒炎を喰らわせると、印を結ぶことを諦め、鮫肌を引っ手繰る様に握り直して後方へ飛び、水遁・水龍弾の術を放つ。

 

 イタチは片眼から血涙を流し、痛みを堪えるような表情を浮かべているが、その動きは鈍らなかった。

 イタチもまた凄まじい速さで印を結び、鬼鮫の水龍弾の術を火遁・豪火球の術で辛うじて掻き消した。

 

 立ち上る水蒸気を、イタチの風遁の暴風が強制的に掻き消した。

 霧の中に潜み大爆水衝波の印を結ぼうとしていた鬼鮫は舌打ちをし、再び襲い来る手裏剣の雨を止めるため、途中で印を変えて水龍弾の術を再び放つ。

 

 鬼鮫は内心で悪態を吐く。

 うちはイタチと言う男は、体術において、はたけカカシに及ばない。その速度も、カカシの速さに慣れ始めていた鬼鮫からすれば、捉えられる程度のものでしかない。さらにいえば、時空間忍術、一撃必殺の”雷切”など、操る術の危険度も、カカシの方が高いはずだ。

 

 だというのに、この戦い辛さ(・・・・)はなんだ。

 発動しようとしている術を把握しているかのように―――事実、写輪眼の動体視力で把握しているのだろうが、大爆水衝波の印を結び始めた時だけ、その発動を阻害するような厭らしい攻撃を怒涛の如く繰り出してくる。他の術は敢えて見逃し、その印を結ぶ僅かな時間(・・・・・・・・・)を”隙”と捉え、手裏剣や起爆札を放ち罠を仕掛け、大爆水衝波の発動を阻止するための、次の布石を打っている。

 鬼鮫に直撃する軌道の手裏剣は影分身を用いて湯水のごとく消費し、牽制の手裏剣は起爆札を結んだ本物にすることで周囲に残し、地雷として爆発の機会を伺う。かと思えばその逆を仕掛けて混乱を狙い、体術で襲い掛かってくる。

 

 鬼鮫にとって、その一撃一撃は脅威ではない。

 使っている術も、大した難易度のものでは無いだろう。手裏剣術とて、忍者ならば初めにならう基礎でしかなく、起爆札など下忍ですら調達できる子供騙しであり、影クラスになれば、よほどの規模にならなければ脅威ではなく、もっぱら牽制としてしか使われない。

 

 ―――だというのに。だというのに! このやり辛さは!!

 

 水遁・大爆水衝波さえ発動できれば勝てるというのに、その一撃を発動するまでが、あまりにも遠い。

 

「ですが、これで終わりです!」

 

 血に塗れ、爆風に裂けた服。それでも、鬼鮫は笑った。

 周囲には、無数の水たまり。これまでの交戦で消えた水分身や、放った水遁の残滓。そのすべてに、鬼鮫のチャクラが残っている。体内でチャクラを練り上げるから、時間がかかり、手を打たれる。先に布石を撒いておくのは、何もイタチの専売特許ではない。

 イタチが大爆水衝波を放たれることを嫌い、その印を結ぶ動作の悉くを阻止しようというのなら、印を結ぶ動作を省略してやればいい。

 

「なに……っ!?」

 

 イタチの驚愕。

 周囲の水がうねり、間欠泉のように噴き上がった。その水たまりの一つ一つが、地下の水脈に続いている。戦いの最中、少しずつ水で地面に穴を掘り進めていたのである。そしてすべての水が終結し、一つの巨大な湖へと成長した。

 

「水遁・大爆水衝波!!」

 

 そして鬼鮫は印を結ぶことの無いまま、すべてを押し流す切り札を発動する。

 

「にいさあああああん!!」

 

「イタチ!!」

 

「サクラ、逃げろ!!」

 

「タズナさん、来て!!」

 

 上からサスケ、カカシ、ナルト、サクラが叫ぶ。

 イタチが激流に呑み込まれ、直後カカシの姿が消える。サスケが喚き、飛び出すがやはり激流に呑み込まれ、ナルトは多重影分身で少しでも時間を稼ごうと壁になるも押し流され、サクラはタズナを担いで逃げようとするが―――。

 

「終わりましたねぇ」

 

 サクラとタズナもまた、水の中へと消えた。

 

 

 

 

 ……

 

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 

 

 ………………

 

 

 

 

「あの人、何してるのかしら」

 

 突如として止んだ戦闘音。

 サクラがそっと岩陰から覗けば、棒立ちになっている鬼鮫と、注意深く鬼鮫を見つめているイタチの姿があった。

 

「さすが兄さんだ!」

 

「どういうこと?」

 

「たぶん、あいつを幻術に掛けたんだってばよ」

 

 サクラの疑問に答えず兄を賞賛するサスケに、ナルトが変わって回答する。

  

「兄さんは水たまりに万華鏡写輪眼を反射させて、間接的にあいつを月読―――幻術に落とした。水遁をあえて使わせていたのは、その布石だったんだ」

 

「な、なんだってー!?」

 

 兄の戦いの解説役を取られたくなかったのか、サスケがナルトを押しのけて早口に捲し立てるように言った。ナルトは、鬼鮫が幻術に掛かっていることは気づいていたが、その詳細は分かっていなかったようで、わざとらしく驚いて見せた。

 

「そんなことできるの……? すごすぎでしょ、あの人たち……」

 

 サクラはあまりにレベルの違う戦いに目を瞬かせる。

 あの術は怖いぞと、実体験を以て熱く語るサスケに、ナルトが微妙な視線を向ける。

 

「ギリギリか……。月読が通じて助かった……。く……っ」

 

「イタチ!」

 

「兄さん!!」

 

 両目から血涙を流しながら、イタチが膝をつく。

 カカシはイタチを助け起こすと駆けだすが、足がもつれてその場に倒れた。

 サスケは岩陰から飛び出すと、カカシの横を素通りしてイタチの下へ走り、助け起こすと肩を貸した。

 

「サスケ、まだ出て来るな!」

 

 イタチがサスケを窘めるが、サスケは戸惑うように目を瞬かせた。

 

 ―――直後、風の刃が吹き荒れる。

 

「サスケ!! ぐぁあっ!!」

 

「兄さん!?」

 

 サスケを庇い抱きしめたイタチの背中に、突如として無数の切り傷が発生した。

 イタチの苦悶の声と表情に、サスケは泣きそうな顔を浮かべ、兄を呼ぶ。

 

「まさか鬼鮫がやられるとはねぇ……。うちはイタチ君。あなた、いいわねぇ……」

 

 突如、鬼鮫の隣に現れたのは、青白い顔をした、細身の男。そしてその男は鬼鮫と同じように、赤い雲の文様が掛かれた黒い外套を纏っていた。

 

「おまえは……!?」

 

 倒れ伏すカカシが驚愕に目を見開く。

 現れたのは―――

 

「―――大蛇丸!?」

 

「久しぶりねぇ……カカシ。あの戦争以来かしら? 元気そうで何よりね」

 

 ―――蛇のような顔をした、木ノ葉隠れの抜忍だった。

 

 大蛇丸が鬼鮫の肩に手を置くと、鬼鮫は糸が切れた様に崩れ落ちる。幻術が解除されたのだ。

 

「大蛇丸って、伝説の……」

 

「綱手のおばちゃんと同じ……」

 

 ナルトとサクラが驚愕に目を見開く。

 

「うわあああああ!! 兄さあああああん!!!」

 

 力なくサスケに寄りかかるイタチが、サスケの肩からずり落ち、地面に横たわった。

 

「てめええええええええ!!」

 

 サスケは自身の手に付着した”赤色”を見て、錯乱したように叫ぶと、殺意の籠る勾玉が増えた(・・・・・・)写輪眼を鋭く下手人に向け、駆けだした。

 

「サスケ、やめろ!!」

 

「愚かね……。ほんとうに!」

 

 カカシの制止も届かず、サスケは苦無を振りかぶったがむしゃらな突撃を仕掛けた。

 しかし大蛇丸は薄ら笑いを浮かべ、正拳突きを放ちそれを迎え入れる。

 その拳はサスケは鳩尾に直撃する。サスケは体をくの字折り曲げ、凄まじい距離を殴り飛ばされた。

 

「が……あ……」

 

 涙、鼻水、涎―――顔の穴と言う穴から水気を零し、サスケは腹を抑えてのたうち回りながら、呻き声をあげる。

 

「お前ら、タズナさんを連れてオレの後ろに!」

 

「サスケ! サスケ!!」

 

 カカシが立ち上がり、サスケを庇うように立つ。ナルトはサスケの傍に走り寄り、焦った様子で心配の声を掛け、サクラはタズナの手を引っ張ってその傍に駆け寄った。

 

「健気ねぇ、カカシ。でも、そんな体で、子供たちを守れるつもりかしら? この私から!!」

 

 チャクラの暴風。殺意の嵐。

 ナルトたちは顔を青ざめさせ、膝を震わせる。サクラの服の前垂れの奥で、そのズボンがジワリと滲む。

 

「……それでも、やらなきゃいけないでしょ。この子たちはオレの―――仲間だ」

 

 カカシが苦無を手に持ち、逆手持ちに構える。

 

(父さん……)

 

 思い出すのは、父の背中。カカシ達を逃がすため、死地に残った英雄の背中。

 カカシは振り返ると優しい笑みを浮かべる。

 

「大丈夫。オレの仲間は殺させやしないよ」

 

 そしてカカシは正面を向き、鋭い視線と共に言った。

 

「―――命に代えてもな」

 

「あなた程度が命を賭けたところでねぇ……?」

 

 蔑むような笑みを浮かべ、大蛇丸がゆっくりと印を結ぶ。

 煽るような挙動。止めれるものなら止めて見ろと、言外に言っている。

 

「―――天照!!」

 

 大蛇丸の指に黒炎が上がる。

 

「イタチ!?」

 

 無理をするなとは、カカシには言えなかった。自分一人で子供たちやタズナを守れるほど、大蛇丸は甘くない。例えイタチを犠牲にしようとも、里を担う若き火の意志たちは守り抜かねばならない。

 イタチもまた、若いなりに里を背負う側にいる。選ぶべきは―――これからを生きる幼子たちだった。

 

 しかし大蛇丸は燃えるまま風遁の印を結び、吐き出した風の刃で両腕を切り落とす。直後―――白い腕が、傷跡から生えた。

 

「な、なにあれ……?! 人間なの……?」

 

 あまりに人間離れした所業に、サクラが思わず言葉を零す。

 

「く……っ」

 

 血涙を流して倒れ伏しながら、頭を大蛇丸に向けていたイタチは悔し気に呻いた。直後、遂に力尽き、力なく頭を地面に落とす。

 

「イタチ君……。ちょうど弱っているみたいだし、貰っていこうかしら」

 

「兄さんに……ちか……づくな……!」

 

 腹を抑えながら立ち上がったサスケが、足を震わせながら、一歩前に出る。

 

「どうしようもなく……弱い。興味ないわ。あなたには」

 

「サスケ! くそ、大蛇丸!!」

 

 大蛇丸が指先をサスケに向ける。

 可視化するほどに濃縮された渦巻く小さな風の弾丸。

 カカシはサスケを庇うために飛び出したが、大蛇丸は指先をカカシに向け、風の球体を解き放つ。

 

「があああ……っ!」

 

「カカシ!?」

 

 うめき声をあげ、駆けだしたカカシは後方へ吹き飛ばされる。

 

「風遁・螺旋(らせん)(ガン)。”先生”の術で死ねるなら、あなたも本望かしら?」

 

 螺旋丸。

 四代目火影波風ミナトの開発した形態変化の極み。だがこの術には先がある。それが今大蛇丸が見せた、風遁・螺旋銃である。

 風遁を練り込むことで遠距離攻撃を可能としたこの術は、カカシや自来也ですら到達できていない、性質変化との合わせ技である。大蛇丸はかつて、自来也の螺旋丸が直撃し、瀕死の重傷を負ったことがある。忍術を収集することを趣味としている大蛇丸は、この術を研究、解析し、己のものとしたのである。

 

「ねぇ、あなた……」

 

 大蛇丸がナルトに視線を向ける。

 

「……」

 

 痛みに悶えながら倒れ伏すカカシをちらと見て、その実力差を理解させられたナルトは、恐怖で言葉も発せず、唾を呑み込んだ。

 

「鬼鮫は気づいてなかったみたいだけど……。あなた、うずまきナルトくんよね? 九尾の人柱力の。……ちょうどいいわねぇ。”組織”への手土産にしてあげる」

 

(組織……? ナルトを―――人柱力を集める組織があるのか……? それが、大蛇丸と鬼鮫のバックにいる。それが本当なら……この邂逅が偶然でも、いずれ里に仇名す敵になる。であるなら、生きて里に情報を持ち帰ることが最優先……!)

 

「お前ら、オレとイタチは置いて逃げろ! 戦うな! 勝てる相手じゃない!! 情報を里に持ち帰れ! それがチームワークだ!!」

 

「先生……」

 

「行け!! 上忍として、お前たちに下す、最初で最後の”命令”だ!!」

 

 血みどろの体で立ち上がるカカシの背中。

 サクラは涙を滲ませて、しかしカカシの言いつけを守ろうと、タズナの手を握る。

 

「それで良い、サクラ。お前たちは生きろ。お前たちと過ごしたこの数か月……楽しかったよ。畳間さんに―――よろしくな……」

 

 タズナの手を取って駆けだしたサクラ。

 サスケを殴りつけて昏倒させ、背負って駆けだしたナルト。

 彼らを横目で見送って、カカシは最後のチャクラを振り絞り、右腕に雷を纏わせる。

 大蛇丸は掌を広げ、あえて風遁を纏わせないただの螺旋丸を生成し、二人が駆ける。

 

「雷切―――!!」

 

「―――螺旋丸!!」

 

 カカシと大蛇丸が激突し――――雷とチャクラの暴風が吹き荒れる。

 

 そして立ち込めた土煙が消え去った時、立っていたのは―――、

 

「―――あなたは……」

 

「―――厄介なのが出て来たわねぇ」

 

 二つの術の激突。その衝撃で吹き飛んだ大蛇丸とカカシ。

 大蛇丸は土ぼこりを掃いながら立ち上がり、カカシはもはや立ちあがる力も無く倒れ伏している。

 

 その二人の間に立つ、一人の男。

 白い外套。その内側に見える、紫の鎧。

 鈍く光る、古ぼけた木ノ葉隠れの額当てに、頬の向こう傷。

 そしてその背中に記されるのは―――五代目火影の名。

 

 男―――”五代目火影”千手畳間は、イタチを肩に抱え、カカシを庇うように立ち、鋭い視線を大蛇丸に向けている。

 畳間は、ナルトたちにCランク任務として与えた任務が、実際には忍者と交戦する可能性が極めて高いBランク以上のものであったという報告をカカシから受け、密かに影分身を放ち、護衛として潜ませていた。

 ナルトたちが優しく育っていることが嬉しく、その自主性を尊重したいという気持ちと、カカシがいるから大丈夫だろうという信頼を以て、畳間はもしもの時の保険として潜んでいたが―――そのもしもが、当然のように訪れてしまった。

 しかし、助けに出ようとした畳間より少し早いタイミングで、畳間と同じように周囲に潜んでいたらしいイタチが現れたことで機を失い、畳間は潜伏することを選択したのである。イタチの弟好きを見誤っていた畳間は、さすがにここにいるとは思わずその登場には驚いたものだが、自身が出しゃばらず、若い力だけでこの困難を越えられるのならばそれが良いと沈黙を守った。

 結果、イタチの活躍によって干柿鬼鮫は打倒されたが、よりによって(・・・・・・)大蛇丸が現れたことで、影分身を起点に本体が飛雷神で波の国に飛んできたのである。

 

「畳間せんぱ―――」

 

「木遁・樹林降誕」

 

 畳間が片手印を結ぶ。

 周囲に樹林が生まれ、大蛇丸に襲い掛かった。

 大蛇丸は鬼鮫を抱えて飛び、畳間の攻撃を避ける。

 

 畳間の体から、六人の畳間―――木分身が生み出され、後方へと走り出す。

 一人はイタチを背負い、一人はカカシを回収した。残りの木分身は、遠くから畳間を驚愕を以て見つめている子供たちの方へと駆けていき、子供たちとタズナを回収すると、さらに遠くへ向けて駆けだした。

 

 木分身が視界から消えると、畳間の傍に、影分身が現れる。

 その影分身はある男の死体を抱えており、地面に放り投げる。

 

「―――外道は殺した。お前たちの雇い主はもういない。退け、大蛇丸」

 

「そうしたいのはやまやまですが……。”組織”では、私はまだまだ新参者でしてねぇ? 敵前逃亡は出来かねるんですよ……」

 

「では……あぶり出す」

 

 周囲に感じるのは、大蛇丸の気配だけではない。まだ、潜んでいる敵がいる。

 影に潜み、子供たちを嬲るを良しとする敵。鬱陶しいことこの上ない。

 畳間はパンッ―――両掌を合わせると、瞑目し、チャクラを練り上げた。

 

「仙法 木遁・真数千手!」

 

 畳間の顔に浮かび上がる隈取。

 現れた千の手を持つ仏像が、かつての戦いほど巨大ではないのは、他国であるここ一帯への影響を考えてのもの。

 

「―――頂上化物」

 

 千の手が流星群のように降り注ぐ。

 大蛇丸と鬼鮫が拳の流星に呑み込まれる寸前、畳間の眼には―――大蛇丸たちを伴って消える人影の姿が、映り込んでいた。

 

(あいつか……)

 

 フガクを洗脳し、九尾を解き放ち、里を壊滅させ、ミナトやクシナを死に追いやった元凶。

 

(そのチャクラ……覚えたぞ)

 

 畳間は真数千手を消すと、抉れた地面を土遁で埋め直し整地してから、飛雷神の術でその場から消えた。

 

 


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