「私はファデュイ執行官第二位、「博士」ドットーレ。 」
「
「お前が…」
「こんなもので良いだろう。せっかくの機会だ、試させてもらう。」
博士かま腕を振ると黒い炎が飛んできた。
草元素力で防げるように見えない。咄嗟に炎を出して相殺しようとする。しかし、
黒い炎に呑み込まれた。
そのまま飛んでくる黒い炎を身を捩ってかわす。
『元素力ではない…?』
「やはり制御に難がある」
博士はそういうと、黒い炎が消え、右手から雷が放たれた。
咄嗟に木を生やして身を守る。元素反応のバチバチという音がうるさい。
「ナヒーダ、入れ替われないか!?」
この前みたいにナヒーダに戦ってもらえば勝てるかもしれない。
『わかっ─』
「ナヒーダ!」
「貴様の意識に障壁を張らせてもらった。しばらくは外部からの接触は出来ない」
ナヒーダが障壁の中からこちらを見ているのが確認できた。
「クソッ!」
ひとまずナヒーダが無事なだ。しかし、この状況をどう打破すれば良いのか。
「安定はしているが威力に欠ける」
言いながら博士の足下から氷が広がっていく
「十分だと思うけどねっ!」
自分を囲うように生やした草に火をつける。
あたりに近づいてきた氷のジュワジュワと溶けていく様を確認して走って近づく。
一歩踏み締めるごとに草元素力を地面からぶつけた。
「威力は悪くないが生命力を消費しすぎる」
博士は草元素力に怯むことなくこちらを見ている。
その態度に気押されるれながら、"あの時"のように直接体内に捩じ込もうと拳を突き出す。
博士がこちらに手を向けて放った風に吹き飛ばされて地面に転がる。
「っ!」
「思いの外弱い、このまま持ち帰らせてもらおうか」
博士が雷をこちらに撃ち込んでくる。地面に転がった状態ではかわすことができず直撃する。
「ヅッッ!」
体が痺れるが、意識を持っていかれるほどではない。
「まったく、これなら部下を持ってくるべきだったな」
そう言いながら何発も雷を撃ち込打ち続けてくる。
「ア"ア"ア"ッ」
全身に刻まれるような痛みが走る。意識が白ばんだきた。
結局、このまま、何も、できずに、捕まるのか。
「何?」
電撃が止まった。
博士が何かを見て動きを止めている。何とか頭をそちらに向けた。
そこには、天使が舞い降りていた。
障壁が消え、ナヒーダが地面に足をつける。
「神の力によって封印されていたはずでは…」
博士が初めて動揺をあらわにする。
「神の力による封印だとしても、人の手で制御するもの。そこを操作できるのは当然じゃないかしら」
「ッ、ハハハッ!貴様は500年もの間、逃げられるのにも関わらなずそこにいたというのか!
神を名乗るものがその実ただの奴隷だったとは、何とも滑稽だ!」
「私は先代草神、そして民の意思を信じているの、それは今も変わらないわ。」
「ただ、私はもう自分の声を無視したくないだけよ」
「これこそが知恵の殿堂──」
世界が、切り替わる──
──
「草神が相手とは、少し本気を出させてもらおう」
博士がナヒーダに雷を放ちながら近づく。
一歩も動かなかった先ほどまでとは対照的に普通の人間では出せないような速度だ。
「簡単にはいかないわ」
博士とナヒーダの間の隔てる壁のように何本もの木が生えてくる。
さらに足を止めた博士を覆うように四方八方から木が生えてドーム状に包み込む。
「やったか!?」
期待もつかの間、ドームが黒い炎に包まれ中から博士が出てくる。
「知恵の神が実力の差もわからんわけではないだろう?」
博士が右手をナヒーダに向けると、あたりの黒い炎がナヒーダに向かう。
「ええ、けどそれは殺す気があれば、でしょう?」
ナヒーダは、かわすことも木を生やすこともせず、炎に向かって一歩踏み出した。
「ナヒーダ!?」
「チッ」
しかし、博士はその炎をそらした。
その隙に博士の足下を木ががっしりと固定する。
「何故殺す気がないと考えた?」
「あなたなら殺そうと思えばいくらでも手段はあるはず、それなのにあなたがわざわざここにいて、私が生きているなら利用価値があるはずよ」
「ふん、別の理由でここにいるというのは考えないのか?」
「それは今確かめてあげるわ」
ナヒーダが指カメラを使って博士に向けようとする。
「人の心を勝手に見るとは不躾なことだ」
博士を岩が覆い、ナヒーダの視界を遮る
ナヒーダが木で岩をこじ開けようとすると、その木が岩から溢れる黒い炎に覆われ、黒い炎はそのまま床へと広がっていく。
ナヒーダが博士を指カメラで写そうとするが博士は石の壁で時々視界を塞ぎながら近づいていく。
「こっちも無視しないでくれよ!」
僕もナヒーダの夢境なら拘束くらいできる。こちらを気にしていない博士を指カメラに捉え、つたを生み出す。
「ッ、この程度」
一瞬体制を崩しかけるが、普通の火で燃やしてすぐに整えようとする。
しかし、それでも一瞬の隙は生まれる。
「蔓延りなさい!」
ナヒーダの指カメラが博士を捉え、博士が動けなくなる。
「魂を捉えた、さっきのようにすぐに逃しはしないわ」
指カメラを博士に向け続けながら言う。
「他に企みがないか、見させてもらうわ」
「記憶が…ない?」
「そんなに悠長にして良いのかね?」
かろうじて口を動かして博士がそう言うと共に、いつのまにか床から壁まで細く広がっていた黒い炎が一斉に強まり空間を燃やし尽くしていく。
「熱っ、うわぁ!」
僕の腕に触れてきた炎から咄嗟に身を引く。しかし、炎が腕にまとわりついて離れない。
「ぐがぁぁ!」
腕から全身に伸びる炎の熱に地面にうづくまる。
「私を殺しても止まらんぞ?」
博士は襲いかかってきたナヒーダの木を岩で逸らし、火で燃やし、動けるようになった肉体で逃げ回る。
「っ!」
数秒の沈黙、苦痛に喘ぐ声だけが空間に響く。
揺れる視界の中でナヒーダと目が合った気がする。
ナヒーダの諦めたような顔と共に、意識が再び離れる──
博士って強化人間を作りたいわけだし、自分の身体能力も相当高めているのでは?