二つのナツメヤシキャンディ   作:降臨してない異邦人

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世界樹(1)

 

 

 

「疲れた…」

 

 今日も今日とてセノにボコボコにされた僕

 

「あら、まだ回復が足りなかったかしら?」

 

 手に緑色の光を添えたナヒーダを止める。

 

「そういうのじゃなくて精神的疲労というか…ネットが見たい…」

 

「アーカーシャ端末なら同じようなことができるかもしれないわね」

 

「え、本当かい?」

 

「あなたの思っているような情報は少ないかもしれないけれど…」

 

 ナヒーダが右手に回復とは違った緑の光を添えて、僕の耳にあてる。

 

「百聞は一見に如かず、ね。試しに何か気になることを念じてみて頂戴」

 

「気になることね」

 

『アーカーシャ端末の機能とは?』

 

"申請をすることで使用者に応じた段階の制限がなされた情報を獲得可能"

 

「おお!」

 

 頭の中に情報が直接入ってくるような不思議な感覚だ。

『どういう仕組みなんだ?』

 

"神の心を動力として動いており、端末を通じてアーカーシャ本体に蓄積された情報を得ることができる"

 

「そんなスピリチュアルなもので動いてたのか」

 

 ナヒーダは耳から手を離して話し始めた。

 

「何か勘違いしているようだけれど、神の心は精神的な心を表す言葉ではないわ」

「神の心は膨大な元素力が凝集した塊よ。機械でいう電池のようなものかしら」

 

「そうなんだ、って何を調べてたのかわかるんだね」

 

「私はどんなアーカーシャ端末にも接続できるの。とはいえ、今のは私があなたの意思をアーカーシャ本体と繋いでいたからね」

 

「これって自分でネットみたいに発信したり交流したりはできないのかい?みんなが質問するだけじゃ蓄積する情報もないと思うんだけど」

 

「通信はできるけれど、そういった使い方はされてないわね。アーカーシャ本体の情報は主に賢者達が登録しているの。世界樹から汲み上げた知識を主に、論文や細々としたデータを取り込むことで情報は蓄積されていくわ」

 

「なるほど、賢者達が嘘ついてたら全部ダメになるのか…」

 

「疲れは取れたかしら?そろそろ授業を始めましょう」

 

「もちろんです、ナヒーダ先生」

 

「ふふっ、それじゃあ今日は元素視角について」

 

──

 

「今日はここまでね」

 

「ふー、疲れた…」

 

 元素を見るのは簡単だったけど、元素の細かい濃さを見分けるのが難しすぎる…

 まあ、戦闘で何を使おうとするか見抜けたりするなら便利かもしれないけど…

 

「疲れたならまたアーカーシャを使うかしら?」

 

 手に緑色の光を添えるナヒーダを止める。

 本日二度目だ。

 

「いいよ。検索が見られるのはちょっと…恥ずかしいかなって」

 

「見られて恥ずかしいようなことを調べるのかしら?」

 

 小悪魔のような笑みを浮かべるナヒーダに慌てて言い返す。

 

「いやいやいや、そうじゃなくて、普通に恥ずかしいじゃん?」

 

「ふふ、顔が赤くなってるわよ」

 

「あーもう、実際一人で使えないのかい?確か、ナヒーダは草神の権能で世界樹に干渉できるんだろう?アーカーシャの情報が世界樹から汲み上げた知識なら多少権能を使える僕なら直接見れるんじゃないか?」

 

 現状を打破するため、早口で話題の変換を狙う僕にナヒーダは困ったように答える。

 

「世界樹に検索機能はないのだから相当な労力を要するわよ?それに、アルドは世界樹から生まれたとはいえ、拒まれているから無理じゃないかしら…」

 

「試してみなきゃわからないだろう?やってみたいな」

 

 実際一人で見れたら嬉しいし、世界樹といぅのがどんなものなのか気になるところはある。

 

「そこまで言うならやってみましょうか。」

「草神は精神が世界樹と繋がっているの。だから世界樹に干渉するなら自分の精神世界に行く必要があるわ」

 

「どうやるんだい?」

 

「夢境を作る応用よ。目を閉じて、自分の心を意識して。その心に入り込むように夢境を作るの」

 

 言われた通り目を閉じる、心はよくわからないから自分の感情を意識する、今の喜び、あの時の怒り、いつかの悲しみ…

 そこに没入するような感覚で夢境を作る。

 

意識が暗転する──

 

────

 

 ガヤガヤと騒がしい音がする。

 人の声、足音、金属音、機械音。

 この世界では聞かない、音の奔流だ。

 

 目を開けると、僕は駅のホームに立っていた。

 

「は?」

 

 困惑する僕をよそに、電車は人を乗せて過ぎ去っていった──

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