「....それで、これもあなたの仕業? 御前」
「毎回毎回私のせいにするのはやめていただきたいですわ。今回のこの件については
私は手を出していません」
ある日の夜、私は六本木にあるタワーの上で御前と鉢合わせていた。私がここにいる理由、
それは東京にある巨大な壁、エリアディフェンスが破壊されたと知ったからだ。偶然近くに
いた私はその情報を知り、自分の目で状況を見るためここに来ていた。そして町全体を
見るためにこの町で一番高いタワーの上に向かうと、何故かそこには御前がいた。
「....じゃあ何でここにいるの」
「少し見たいものがあっただけです」
「見たいもの、ね....」
「安心してくださいな。今日は背後から撃つ様な真似はしませんので。というか、そんな
暇もないので。あなたはあなたのやりたいようにどうぞ」
「言われなくても、そうさせてもらうよ」
そう言いながら私は人間の姿から怪物の姿になった。
『....余計なことはしないでよ』
「それはお互い様ですわ」
そう言って、私はタワーから飛び降りた。そして、降りた先にいたヒュージを地面に
踏み潰した。
『さて、行くとしましょうか』
私はそう呟き、レアスキルを発動させながらとある場所に向かった。
~~~~
私が着いた場所はエレンスゲ女学院だった。
『リリィは全員出払ってる....丁度いいタイミング』
私はエレンスゲの正門から中に入り真っ直ぐ校舎の中に入った。
『....地下か』
私は右腕を剣に変形させ、校舎の床を切り裂いた。その後もどんどんと床を切り裂きながら
私は地下の研究施設に到着した。
『....』
私は地下の研究施設を歩きながらとある扉の前に着いた。そしてその扉を私は蹴破った。
「な、何だ!?」
『どうも、こんばんは』
そう言いながら、私は右腕の剣からマギの銃弾を発射した。銃弾は研究員の身体を貫き、
数人の研究員は絶命した。
『全員動かない方が良いよ。動いた瞬間、殺す』
私は鉄のように固くなった髪の毛の先端を研究員達に向けながらそう言った。
「き、貴様....何者だ!」
『あなた達の実験の成功作、いや失敗作って言った方が良いのかな? 私を制御できてない
から』
「実験の成功作、だと....」
「貴様、まさかあの実験の生き残りか!」
『動いて良いって言ってないけど?』
私はさっきの発言した女の首を髪の毛で貫いた。
「っ....!?」
『はぁ....人の話、ちゃんと聞いたらどう? ....いや、それは無理か。リリィの意思を
無視して人体実験をするような連中に』
「あ、ありえない....! あの実験のサンプルは全て死んだはずだ! あの日の研究所の
爆発で、生きているはずがない!」
『....そうね。あんな爆発、リリィでも生き残るのは難しい。でも、皮肉なことにこの身体の
おかげで無事だったのよ。それに、ある人が私を守ってくれたから。そのおかげで私は
こうして生きている。....残念ね、証拠を全て消せなくて』
「な、何が目的だ....」
すると、研究員達の中で一番偉そうな男がそう聞いてきた。
『目的....? そんなの、言われなくても分かってるでしょ?』
「わ、我々を殺して何になる! 殺したところで我が組織の牙が貴様に向くだけだ!」
『そうね。確かにその通りかもしれない。....でも、それが何?』
「何だと....?」
『私に牙が向く? それで結構。その方が色々と都合が良いわね。どこから送られてきたか、
誰が送ってきたか、わざわざ言っているようなものだもの。効率よく、私の敵を殺せるわ』
そう言いながら、私は近くの拳銃に手を伸ばそうとしていた男の首を貫いた。
『さて、無駄なお話はこれで終わり。私もここに来た目的を果たさせてもらうわ』
「それはいった....」
私は男の言葉を最後まで聞かず、この場にいた全員の首を髪の毛で貫いた。
『言う必要がないでしょう、死ぬ人間に対して』
私はそう呟き、近くの実験データが記された紙やパソコンを見た。
『....』
私は使えそうな情報をいくつか探し、パソコンのデータをUSBメモリに保存した。そして
書類は全て細切れにし部屋から出た。
『(情報の量に関しては期待外れってところか....まぁ何もないよりはマシだけど....
ただ....)』
私は自分が開けた穴から翼を生やして地上に戻った。そして私は校舎から出て、ある場所に
向かって飛んだ。その目的地に着くと、ラージ級のヒュージと戦っているリリィが五人いた。
『あれが今のヘルヴォル....連中が消そうとしていた....』
ラージ級と戦っていたのはエレンスゲ女学院のトップレギオン、ヘルヴォルだった。それは
彼女達が着ている服を見て分かった。
『(....何故連中は消そうとした? 仮にもトップレギオンになった程の実力者を。中には
強化リリィもいる。わざわざ被検体を殺す理由は何....)』
そう考えていると、地上ではラージ級ヒュージが爆発した。恐らく彼女達のノインヴェルトに
よる攻撃で起こったのだろう。
『(リーダー格は死んだ....これで終幕ね)』
そう思いながら下を見ていると、ヘルヴォルのリリィの一人が私の方を見た。
『(....気づかれた?)』
私はそう思い、"ユーバーザイン"を使い気配を殺した。すると私の方を見たリリィは目を
擦りながら周囲を見渡していた。
『(どうにかごまかせた....今のうちに離れよう)』
そう思い、私は一足早くこの場から撤退した。
~~~~
「....にしても、ヒュージの襲撃の間に学園が襲撃されるなんて。まさか今回のヒュージの
襲撃、学園を狙うための囮?」
「どうだろうね....でも、明らかに私達リリィがいないタイミングを狙ったって思うのは
不思議じゃない」
「....」
「だよねぇ....ヒュージって、そんな頭良かったっけ? ねぇ千香瑠?」
「....」
「千香瑠?」
「っ! ご、ごめんなさい。少し考え事をしていて....」
「どうかしたの? さっきからずっと黙って何考えてるけど....」
「何か心配事?」
「いえ、その....さっきの戦闘の終わった後、変なものを見た気がして....」
「「変なもの?」」
「きっと、疲れていたから見間違いだと思うのだけど....」
「変なものって、何見たの?」
「....その、ラージ級のヒュージを倒した後、空を見たら人型の何かがいて。一体何だろうと
思って目を凝らして見ようとしたらいつの間にか消えていて....」
「人型の何かって....」
「リリィじゃないの?」
「分からないわ。暗くて見えづらかったから」
「うーん、暗くて見間違えちゃったんじゃない? それに戦闘の疲労もあったし」
「そう、かもしれないわね....」
「(でも、あの姿とフォルムはまるで....)」
「人型のヒュージ....?」
「何か言った、千香瑠?」
「っ、いいえ! 何でもないわ」