Project Sekai SCP incident feat . 作:唯尊
西暦20○○年4月10日
朝日の眩しさを感じ、目を覚ました。自室……それも見覚えがあるとは言いづらい微妙な感想と共に起きる。
いや……違う。こんな部屋を持った覚えはない。だが、記憶にはある。
「どうなっている…」
自分の名前は何だ。もちろん志熊理雄(しぐま りお)だ。20年以上も付き合っていればそうそう忘れはしない。
「酒でも飲んだ...、わけではないか。」
ましてやついにボケたわけでもない。だが目の前の状況と記憶が合致しない。そして、時間がある程度経つと脳が活性化し、昨夜のことを思い出す。
「…!作戦は……みんなは!?」
あの時部隊は敵対オブジェクトの攻撃を受けて……いや、違うそうじゃない。あの後生還したならここは財団の医療施設のはずだ。ここは一体…。
今の状況を理解するため、手元にある情報を漁り始める。
そして現状をある程度把握したので、順を追って説明する。
まずここは日本の東京。シブヤだ。渋谷ではない。他の地名も同様に若干な異なっている。大まかな歴史は俺の知っているものと大差ない。
1番の問題は自分の身分だ。財団の秘密IDにアクセスしてみると、死んだ両親は最初から存在しておらず。元孤児であるということ。これまでの活動実績が異なること。経歴は全く別人のものだ。
もはや断ぜざるを得ない。ここは元いた世界とは異なる場所だと。
さて、異世界や並行世界というものに驚きはしない。そういった存在はすでにいくつか財団が確認している。
「とはいえこれからどうするか...。」
財団職員は保安上の問題故に、迂闊に財団施設にアクセスできないようなシステムになっている。それに自分は別世界から来た余所者だ。自称別世界の財団職員なんて、怪しすぎる。敵対アノマリーか要注意団体の工作員扱いされて拘束されるか、最悪終了処分だ。自分から身分照会して貰おうにもそれはリスクが高すぎる。
------この世界の財団からの接触を待つしかないな……。
ふと自室の机の上に書類があることに気づく。どうやら新しく赴任する教師に対する案内等のようだ。
自分は……この世界の表向きの身分は、宮益坂女学院の客員講師らしい。
シブヤのスクランブル交差点前で信号待ちをしている。名物の大画面スクリーンからは初音ミクの新曲MVが放映されている。
右を見ても左を見ても平和な世界を抑鬱な表情で過ごしている人間ばかりだ。何を思い悩んでいるのかしらないが、平穏を一応享受しているなら自分から幸せを見つける努力をしろよと思う。
明日。いや、1時間後におぞましい最後を遂げてもおかしくないのがこの世界だ。
この世界にも財団があるということは、kクラスシナリオも普通に起きる可能性があるということだ。
'人類の平穏'のために全てを犠牲にする身としては、彼ら一般人には’今"を大事にしてほしいものだ。