Project Sekai SCP incident feat . 作:唯尊
本編とは一切関係ない、パラレルワールドのお話…。
とある日曜日の朝、志熊理雄のマンションの一室にて、食卓に向かい合って座る2人の男がいた。
「うぉぉぉぉッ!うまい!これは最高にうまいぞ……ゲホッ…ゲホ!」
飢えた浮浪児みたいに丼をかき込み、むせた天馬司に烏龍茶の入ったグラスを渡す。
ゴッキュゴッキュと猛烈な勢いで烏龍茶を飲み干す金髪少年を、志熊理雄は呆れた様子で眺めていた。
やがて理雄が作った親子丼を全て平らげると、満足した顔で口元をハンカチで拭く。
「助かりました志熊先生!危うく餓死する所でしたよ!!」
「いや、お前……なんで休日の朝っぱらから川辺で倒れてたんだよ」
「それがですね……類と家で『どこでもドア』を開発していたら、電気系統が爆発しまして------」
どこから突っ込めばいいのだ。
「おかげで料理が不可能になった挙句、火災まで起きて家が全焼したんですよ。だから暫く川辺でキャンプをしていたんですが、どこでもドアの開発に家の貯金を使い果たしてしまい一文なしになりました」
「保険会社に連絡して保険金出してもらえよ」
「それが、実はどこでもドアの開発に貯金だけじゃ足りず、闇金さんに手を出したせいでお金が降りなくなったんですよ」
「ま…マジか…」
理雄は片手で顔を覆った。彼の将来が心配すぎて泣きそうだった。
「おかげで3日間何も食べてません。今までずっと家族揃って公園の水道水飲んで、川で体を洗ってました。水は冷たかったけどまぁ大丈夫です。咲希の視線の温度も冷たくなったけどまぁ大丈夫です!!」
理雄は両手で顔を覆った。
「マジかよ…ンドレッツ・ゲガより最低だな…」
理雄は泣いた。自分が町長選挙に当選するために罪のない女性を殺害し、四肢を切断してオブジェクトに改造したアルバニアの政治家よりも最低で泣いた。その内、司は高速道を暴走して事故死するかもしれない。
「そんなわけで、しばらく泊めてください!」
図々しく居候を要求してきた。
「断る」
「な、なぜ!?」
「咲希はいい、だがお前はダメだ」
司はこの世の終わりみたいな顔をするが、志熊理雄は女好きである。司みたいな男でヘンテコでイカれた役者志望なんざ願い下げである。志熊理雄の脳内に、LGBTQや博愛主義なんて物はない。
司は恥も外見もなく土下座をしてくる。そこには世界に羽ばたくペガサスの様な大スターを志す男の姿はなく、只々全てを失い懇願する哀れで醜い小僧でしかなかった。
「頼む!助けてくださいお願いします!!」
「宮崎のゲイバーに行け」
「ゲ…ゲイバーは嫌だ!あそこに行ったら借金した闇金の奴らと鉢合わせる…!内臓全部肩替わりにされる〜〜ッ…!!」
司は恐怖でショック症状を起こして泡を吹き倒れる。死にかけた蝉みたいに仰向けでピクピク痙攣し始める司を見て、理雄は重く嘆息する。
「ハァ……わかった。知り合いが経営する居酒屋があるから、そこでしばらく住み込みさせてもらえ、接客くらいできるだろ…」
携帯端末でその人にメールを送り、交通費として小銭を握らせ、マンションから司を追い出したのだった。
後日、
『世界は巨乳に満ちているッ、ああ…ッ!素晴らしきかな人生!!今までえむや寧々のまな板見ては溜息吐く人生とはおさらばだ〜〜ッ!!!!』
「…………」
『SCP-081-JP-J』に暴露した司がパトカーに押し込まれる様子をテレビのニュース越しに見る事となった。