Project Sekai SCP incident feat .   作:唯尊

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  -どういう事だ-

いや、考えてみればあり得る話だ。'アレ'に接触したのは理緒だけではない。同じような理屈でここに彼がいてもおかしくない。
ということは...。

 号令を最後に通話は切れた。その後メールが送られてくる。
「集合地点 WEEKEND GARAGE」と書かれている。

(行くしかないか...)
不安はある。本人が一体なにを考えているのか想像もつかないが、
この世界に頼れる人間がいない以上。接触してみるしかない。 
1人で脅威に立ち向かってもすぐに死んで終わりだ。

(天城さん。あんたを信じてみるよ。)


     カフェ&バー「WEEKEND GARAGE」
この手の店には馴染みがない。コーヒーは好き好んで飲まないし。
酒は下戸なので飲めない。
ストリート系の音楽が流れる店で俺は件の大男を探す。 
バーは賑わっておりかなり人がいたが、日本人の平均体格を大きく上回る彼はすぐに見つかった。
 
「...天城さん」

「あぁ...」

ジュリエット分隊 分隊長 天城英牙はこちらに少し振り向く。
臓物にまで響く低いバスボイス、柔らかくも大きな筋肉の鎧を纏った
体躯。肌と短いスポーツ刈りの髪は赤く焼けており、
目は分厚い日本刀のように冷たく鋭く光っている。
そこにいるだけで場の空気を変質させる赤鬼のような大男がカウンター席でビールを飲んでいた。

「まぁ座れ」
促され隣の席に向かい合うように座る。相変わらず機械のように無表情だが、目だけがどこか虚にギラギラしている。

「ノンアルコールビール一杯」
「は、はーい!」

カウンターの従業員の少女がビビりながらも明るい笑顔で対応する。
宇宙色の長い髪をした高校生くらいの少女がノンアルコールビールを
持ってくる。

「ごゆっくりどうぞー!」
足早にその場から去っていく。英牙のせいでカウンター席には誰も近づかない。まぁ牛頭馬頭の赤鬼に自分から近寄るやつはいない。
 
英牙はビールを一口煽ると恐ろしい目でこちらを見る。

「結論から言う。ここでの我々の任務は何も変わらない」

「!?」
理雄は驚愕する。分隊長は何を知っているのだろうか。英牙は続ける。

「この世界の存在を財団は以前から掴んでいた。元いた方のな」

「で、では我々は...」

「あぁ、’ここに送り込むために'あの作戦をおこなったんだ」

「......」

にわかには信じられなかった。全てが上層部に仕組まれていたなんて...。
だが、それくらいやりそうだと少しして思う。失笑する理雄を見ている英牙に今度はこちらから質問する。

「分隊長はどこまで知っているんですか?この状況」

英牙は少し申し訳なさそうな間を作ると。

「作戦概要は現地到達後に開示するように言われている」

英牙は語り出した。

[第4次OD作戦]のことを。





第六話 集り始める剣たち PART 2

[オーバーディメンション作戦]

 

略称[OD作戦]。1955年、日本各地で10代の若い世代の人間が行方不明になる事件が多発。その後、世界各地で同様の事件の発生が相次いで起こった。財団はこれをオブジェクトの可能性があると判断。

調査の結果、別世界の存在を確認した財団は1965年[第1次OD作戦]を開始した。元の世界から'謎の存在'により拉致された人物に近い空間に居合わせることにより、別世界に転移するという。

 

1回目の派遣でこの世界には元の世界と同様のオブジェクト、財団、要注意団体の存在が確認された。その後拉致された人物は見つからなかったが、この別世界の財団協力の下、’謎の存在'の調査、確保、収容、保護のほか。

この別世界の人類を守るという任務に従事する。  

 

それが[OD作戦]だという。

 

その4回目の派遣に参加するのが自分達らしい。

 

 

 

 

「俺が知っているのはそれだけだ」

 

「......」

 

疑問がないわけではない。ただこれ以上の事は本当に知らないのだろう。

この人は仲間に隠しごとはするが、嘘は絶対につかないと信用している。

今までの任務でも似たような事はあったが全てこの英傑のおかげで生き残れたのだ。

 

それに話しぶりからしても、クリアランスレベルの問題で知りようがないのだろう。

 

理雄は話の内容を変える。

 

「他の仲間は?」

 

「お前で最後だ。あとは全員確保済みだ」

 

「今は何を?あいつらどこに...」

 

「別行動中だ。付近で発見されたSCP-939の群れの討伐を行なっている」

 

どうやら身分のことに関しては問題ないようだ。頼れる仲間も見つかり、

これで財団の剣として思う存分に戦える。 

ノンアルコールビールを飲み干すと俺は席を立つ。

 

「もう行くのか?」

 

「明日も仕事があるんです。表向きの平和な仕事がね」

 

「ほぉ、何をしているんだ」

 

「女子校の客員講師です」

 

「そうか、ノンアルコールビール一杯で壊れる脳になってしまったか...。

可哀想に」

 

失礼千万な分隊長である。

 

 

 

 

店を出てしばらくすると、人気のない道に入る。夜風が止み気持ちの悪い空気になったがする。

 「......」

英牙の言っていたことが事実なら皆元いた世界からこちらに転移したことになる。しかし、今の志熊理雄には不審な点がいくつもある。秘密IDから見たこの世界での経歴、生きた痕跡、記憶。これは一体どういうことだろうか。自分と仲間たちには何か違いがあるのか?

 

 

タスケテ...

 

 

「...?」

 

助けを求める声が聞こえたような気がした。

 

タスケテ

 

 

やはりハッキリ聞こえる。理雄は人類の守護者の1人としての責務から

走りだす。気がつけば街路灯の灯りもほとんど見えない空き地に入る。

 

 

 

いやな予感がした時にはもう遅かった。

 

 

「!!」

 

 

 

悪寒を感じ、その場でしゃがむ。

 

 

後ろから飛びかかってきたソイツを睨む。赤みを帯びた体色、

体高2.2メートルの四足歩行の肉食動物

 

 

タスケテ

 

 

  SCP-939 数多の声で

 

声の主がそこにいた。周囲を見ると複数の個体が10体程いた。

間抜けにも俺はコイツらに誘い込まれたらしい。理雄はXDMを腰から抜く。1人で相手できる数ではない。ましてや拳銃一丁では...。

 

一体が死角から襲いかかる。理雄の体の半分を食いちぎ-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

れなかった。

 

周囲の暗闇から銃弾の雨が的確にバケモノどもに命中する。

断末魔を上げながらSCP-939は次々と生き絶え、あっという間に全滅。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に脳がやられたみたいだな、陰険姫」

 

暗闇の奥から人影が出てくる。完全武装した男達が理雄を囲む。

その中の1番背の高い男の毒に笑いながらこう返す。

 

「親切に囮をやってやったんだ。感謝しろ」

 

MTF-θ-25-J の隊員が全員この世界にそろった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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