Project Sekai SCP incident feat .   作:唯尊

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第五十五話 平穏な日常

 

 鳳幸之介が目を覚ました時、真っ白な壁が視界に入った。

 

「------ここは…」

 

ゆっくりと起き上がる。自分が横になっていたのは、硬いベンチの様な寝床だった。

 

 軽く視線を彷徨わせると、鉄格子が見える。3畳一間もない狭い部屋の中には、便座の付いていない水洗トイレと、今自分が座っているベンチベッド……あとは小さな洗面台だけだった。不気味な程清潔なので、一瞬、精神病棟の中かと思った。

 

 自分は今、檻の中にいる------。

 

「な、なんだ!?ここはッ…」

 

困惑のあまり立ち上がろうとするが、思う様に身体に力が入らない。腰を浮かした瞬間に膝から崩折れそうになる。

 

 なんだか眩暈がするし、いつもより身体が寒く感じる。どうにも体調が思わしくない。歳のせいか……あるいは別の要因か…。

 

 その時、起き抜けの脳がようやく覚醒し、昨夜の出来事を思い出す。

 

そうだ、自分は確か……別荘に居た筈だ。そして夜、寝ている最中に---------。

 

 その時、突如ブザーが鳴り響く。

 

 心臓に悪いくらいの大音量が独房の外から聞こえる。鉄格子の傍まで行くと、暗い廊下の奥に備えられた警報器から鳴らされている様だ。暗闇の中に非常灯の赤い光がポツンと点の様に浮かんでいたが、それ以外は何も見えない。幸之助から見える檻の外は、完全な闇だ。

 

 やがてブザーの音が止み、無機質なアナウンスが流れる。

 

『セクターG23収容ブロックにて、拘束者、鳳幸之助の覚醒を確認。繰り返す------セクターG23収容ブロックにて、拘束者、鳳幸之助の------』

 

冷たく低い男性の声が聞こえてくる。

 

 幸之助はますます困惑した。

 

 ここは何処なのだろうか?どうやら自分は拘束下にあるらしいが、一体誰の手による物なのか…。

 

 記憶が曖昧だ……意識がハッキリしないし、昨夜の事も、寝ている最中に"何か"があった筈なのだが……その後の事がまるで思い出せない。

 

 ふと上を見上げると、天井に設置された監視カメラがこちらを捉えていた。その時になってようやく、自分は目覚めるまでにずっと監視されていた事を知る。

 

 得体の知れない場所に連れて来られた事、身体に異常がある事に、幸之助は内心で不安と恐怖を感じていた。

 

 フェニックス・グループの代表として、ここまで来るのに様々な困難を乗り越えてきた自分だが、この様な事態は初めてだった。

 

------と、その時。

 

 突如として廊下の電気が点き、それまで闇に覆われていた空間が顕になる。この独房内と同じで、廊下の先も清潔過ぎる白い壁と床面が広がっており、周りの壁の方には、自分が閉じ込められている檻と同じ型の独房が幾つかあったが、自分以外の檻には、誰も入っていない様だった。

 

 自分から見て、廊下の突き当たりには頑丈そうな鉄扉がある。そして、その扉に備え付けられていた電子錠が解除音と共にロックが解かれると、扉が開く------。

 

 扉の向こうから姿を現したのは、黒のパンツスーツ姿の女性だった。人種は幸之助と同じ黄色人種だったが、日本人かどうかは判別がつかない。

 

 その背後から、もう一人の人物が入ってくる。こっちは白人だ。鈍い銀色を放つ白髪頭とダークブルーの双眸。線は細いが、筋肉質で引き締まった長身の体躯は、海外のエリート軍人の様だった。

 

 二人は幸之助が入る独房まで来ると、跪いたまま立ち上がれない幸之助を見て、冷たい視線を送る。

 

 思わずゾッ…とする程の目だった。どちらも人間を見る様な目をしていない。男の方は光の届かない深海の様な瞳をしており、女の方は、静かに憎悪を宿した瞳だった。

 

「お……お前たち……は…」

 

喋ろうとしたが、声が出ない。喉の筋肉が引き攣った様だった。

 

『なんなの、これ?』

 

『拘束した時、ボートの上で暴れられない様に3人に麻酔薬を打ったんだが、仲間が投薬の量を間違えて、コイツにだけ過剰投与しちまったんだ』

 

二人は英語を使って話しているが、目の前が揺れる上に、耳が遠退いてよく聞こえない。

 

『暫くは麻酔の影響が残る。意識が混濁してるだろうし、記憶も曖昧な状態だろうが、一日も待てば回復する筈だ』

 

『なら、先にコレの息子達の方を尋問しましょう』

 

しかし、『息子達を尋問する』というフレーズだけは聞き取れた。幸之助は鉄格子にしがみつき、必死に声を振り絞る。

 

「ま、待て…!お前……たち………警察…か…!?こんな事……」

 

「生憎だけど、アナタもアナタの息子達も、今後は警察は勿論、どこの国の司法機関にも守られないし、人権が保障される事はないわ。アナタ達の身柄は、この地上に存在するあらゆる法の庇護下から外されるし、まともな最期は迎えられないでしょうね」

 

言葉を日本語に戻した女は幸之助の質問に取り合わず、冷たく吐き捨てる。

 

 そのまま男と一緒に踵を返し、もう用はないと言わんばかりに先程の扉に向かった。

 

 その時、幸之助が床に倒れ込む。視界が徐々に狭まり、昔のレトロ映画のエンディングの様に、端からブラックアウトしていく。

 

 完全に意識を失う直前、女は扉の前で顔だけをこちらに向けてきた。

 

「息子達の尋問が終わったら、次はアナタの番よ。私の後輩を殺した落とし前として、生まれて来た事を後悔させてやるわ。覚悟しときなさい…」

 

それだけ言うと、黒スーツの女------田上由那とアポストレーチェ・ドミトリェスクは、扉の向こうに去っていった------。

 

 

 

 

 

 

 宮益坂女子学園1-Aにて、理雄は二時間目の現国(現代文)を担当していた。

 

「漢字の勉強は君達も小学生の頃からやってると思うが、大切なのは漢字の意味を考えながら勉強する事だ。読み書きの練習ばかりで、この辺を疎かにすると、実力テストや入試で痛い目を見る」

 

そう言いながら、黒板にチョークを走らせる。

 

「テストで狙われやすいのは、同音異義語、同訓異字だ。これらの問題では、漢字の意味を理解しているかどうかを問われている」

 

試しに理雄は黒板に『①追求』、『②追及』、『③追究』を書き出す。

 

「これらは全て『ツイキュウ』と発音するが、それぞれ意味が異なる。今から俺が読む例文の中には、全て『ツイキュウ』が入っているが、正しい漢字はこの三つの内のどれかだ。君達に当てていくから、正しいと思った漢字の番号を答えてくれ」

 

まずは例文を読み上げる。

 

「例文1……私は哲学の真理を『ツイキュウ』する」

 

そして、みのりに当てた。

 

「みのり、この文の場合、どれが正解だ?」

 

みのりは「はい!」と元気よく立ち上がる。

 

「①ですッ」

 

「惜しいな、正解は③だ。『真理』は究める……つまり"あきらかにする"ものだから、『追究』が適当だ。『追求』は"追い求める"だから、"あきらかにする"を"追って究める"と解釈した結果、『追求』になってしまったんじゃないか?」

 

「あ…」

 

 堂々と勢いよく答えたものの、間違いに気付いたみのりは、ガックリと残念そうに項垂れた。

 

「気にするな。こういう間違いは早くから気づいた方が、次から修正しやすいんだ」

 

みのりを着席させると、次の例文に入る。

 

「次、例文2……刑事は取調室で犯人を『ツイキュウ』した……次は……よし、小豆沢さん」

 

「は、はい…!」

 

次に当てたのは、色素の薄い稲穂色の髪を肩に下ろす様に二つ結びにした少女だ。フレームの細い眼鏡をかけている。どこか気弱で頼りなさそうな雰囲気をしており、背丈も低い。

 

「え、えと……その…」

 

小豆沢こはねは少し慌てた様子で席から立つが、声がこもり、視線は不安げに左右に揺れていた。

 

「……慌てなくていいから、落ち着いて答えてくれ」

 

 できる限り優しく促す。少し間が空くと、こはねは何度か呼吸を整えた後、ゆっくりと話す。

 

「……②……です」

 

不安そうな声で答えられる。

 

「正解だ。『追及』は"追い詰める"という意味だからな。座ってよし…」

 

こはねはホッとした表情になると、そのまま着席する。

 

「この様に、漢字の意味を理解していればなんて事はない。「漢字だから…」なんて舐めてかからなければ余裕でクリア出来るんだ。君達なら大丈夫。では次……」

 

 

平和な日常で繰り広げられる授業風景……。学生時代は退屈に感じていた何気ない日々も、今は何より……大切に感じる。

 

 自分もあの日、サーキックの連中に出会わなければ、彼女達の様に普通の人生を歩めたのだろうか……。

 

 こうしていると時々そう思い、どうしても彼女達が羨ましくなってしまう。

 

 だが、自分は決めたのだ。彼女達が暮らす日常を、必ず守ってみせると-----。

 

「…志歩、現国苦手って言ってなかったか?」

 

 教壇から視線を送ると、今の志歩は真面目にノートを取っている。普段から何事にも手を抜かない彼女だが、以前、国語を担当する同僚の教師から『現国の授業だけどうしても憂鬱そうな顔をされる』と嘆かれた事があった。てっきり自分の場合もしんどそうに溜息を吐かれるものだと思っていたが、当の本人にそんな様子は微塵もなかった。むしろやる気に溢れている。

 

「苦手ですけど、別に嫌って訳じゃないですよ」

 

「そうなのか?」

 

「はい、理雄先生の授業………………好きですから…」

 

 最後の方だけ何故かボソッと言われたが、とにかくやる気があるのは何よりだ。僅かに照れ臭そうにしている志歩を見て、理雄は何を思ったのか、意地悪そうにニヤァ…と口角を上げると、再びチョークを手に取る。

 

「よし、なら次の問題は志歩にやってもらおう。この前苦戦していた所に再チャレンジだ」

 

「…は…ちょ…!?」

 

突然の名指しに焦りを見せる志歩。

 

 そんな彼女を無視して長々と黒板に問題を書いていく。かなり難解な評論文だった。

 

「それじゃ、せっかくやる気もある事だし、張り切って行こう!なに、心配するな。一度敗北してもそこで諦めず、果敢に困難に立ち向かうのが日野森志歩の強さだ。そんな君なら絶対に折れない。この程度の問題、ドラクエの雑魚モンスターが中盤で多少デカくなってまた現れたくらいの事だ。頑張れ頑張れ、ファハハハハハハハ!」

 

 愉快そうにカラカラ笑う理雄に対し、志歩はクッ…と下唇を噛み、恨めしげに睨んでくる。

 

「……イジワル」

 

普段クールで無愛想な志歩が、珍しく拗ねた表情をする。可愛らしい仕草にますます嗜虐心をそそられた。

 

 いつの日か、咲希が言っていた『腹黒鬼畜イケメン教師」の姿がそこにはあった。

 

 ……というか、本人が自覚していないだけで、普通に志熊理雄の本質の一面だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二時間目を終え職員室に戻った理雄は、自分に当てがわれた長机のスペースの一角に座り、ワイヤレスイヤホンを装着すると、スマホの音楽再生アプリから適当な曲を流し、ここの図書室から借りた本を開く。

 

 今日は二時間目以降に担当する授業はない。客員講師である自分は他に仕事もなく、あったとしてもプリント制作と軽い書類整理の手伝いくらいだ。今はそれすらない。別にこのまま帰ってもいいのだが、家に帰っても特にやる事がないので、学校で生徒や職員達との交流を深める事に専念している。

 

「読書が好きなんですね。志熊先生」

 

 隣から声をかけられ、イヤホンを外す。

 

 20代前半の若い女性教師が人懐っこい笑みを浮かべてこちらを見ていた。薄紫色の髪を短めのポニーテールに結い、教科書類を傍に抱えて立っていた。

 

「何を読まれてるんですか?」

 

「アメリカ海軍特殊部隊『NAVY SEALs』出身、デイビッド・ゴギンズ氏の『CAN'T HURT ME』です。常人なら耐えられない様な過酷な訓練や任務を乗り越えた半生を綴った自己啓発本で、世界中でヒットしてるんですよ」

 

「うわ〜…厳しそう…、私にはとても無理ですね、特殊部隊の生活なんて…」

 

苦笑いしながら隣の席に着く。彼女の名は桑田優璃音。この学校で歴史を担当している教師だ。年齢が近い事もあってか、宮女に来たばかりで右も左も分からなかった頃の理雄に対し、色々と親切にしてもらった人だ。

 

「学校生活はもう慣れましたか?」

 

「えぇ、おかげさまで……仕事にも段々と慣れました」

 

「志熊先生がこの学校に来てからもう1ヶ月ですからね〜……なんかあっという間な感じがします…」

 

「まだ1ヶ月ですよ。最初はやっぱり不安でしたよ……周りは女性ばかりでしたから…」

 

宮益坂女子学園は歴史が長く、伝統的に女子教育を重んじる中高一貫校だ。その為、生徒だけではなく、教員も殆どが女性で占められる。現在は少子化やジェンダー平等の観念から、昔のような完全な男子禁制になっている訳ではないが、右を見ても左を見ても、自分以外に男性の姿はない。学校事務や用務員等を含めると、それなりの男性職員が在籍しているらしいが、優璃音曰く、普段からここの女生徒達と仲良くしている自分は、他の男性陣から大層嫌われているらしい。

 

 結果、この学校では大半の時間を女性と過ごす事になる。女性教師陣の中には、女子校に男を招く事に懐疑的な者もいたし、生徒達の中にも男性に対し苦手意識を持つ者もいる。それが理由で宮女に入学した子もいるので、それは仕方がない。

 

 そういった生徒に対しては、特に距離関係に注意してるし、授業中や校内での勤務姿勢に関しては真摯に取り組んでいる。彼女達との交流を深めていくにつれて、こちらの誠意が伝わったのか、比較的好意的に受け入れられる様になった。現在、特に問題やトラブルを起こす事もなく、自分は生徒達とも職員達とも上手く付き合えている。

 

 女性ばかりの環境に、最初こそ理雄も緊張したが、優璃音の様な人物に助けられた事もあって、今は心地良く働く事ができている。

 

「アハハ、実は私も『若い男の人が来る』って理事長から聞いた時、少し不安だったんですよ。私、中高共に宮女の出身で、教育大時代も歳の近い男性と関わる機会が少なかったので……」

 

「なるほど…」

 

 理雄は頷きを返す。

 

余談だが、自分に教師としての適正を見出したのは人事担当の後藤海であり、そんな自分を勧誘したのがこの学校の理事長らしい。

 

 この学校が財団の関係機関だった事、理事長が財団関係者だった事を知った時は流石に驚いたものだ。……まぁ、それを知ったキッカケが自分のミスで引き起こしたとある事件だったのだが…。

 

 あの時、一歌が散々暴れ回った後、自分は理事長に土下座しに行った。実弾の入った拳銃を校内で発砲させた挙句、負傷者まで出したのだ。最悪懲戒審査にかけられる事案だったのだが、自分の予想は大きく外れ、特に叱責される事もなく、笑って許してくれた。補充の効かない機動部隊員をそう簡単に現場から外せないのもあるのだろうが、それ以上に『今まで財団絡みの事案で校舎の全壊5回、半壊17回、全焼2回起こしてるから今更気にするレベルじゃない』と笑いながら言われた事に絶句した。今まで一体、それだけの規模の事をどうやって隠蔽してきたのか………謎が深まるばかりだった。

 

 ふと、理雄は海から聞いた話を思い出す。

 

 あの時、一歌が自分のマンションの部屋から落ちたがピンピンしていた----------らしいが、流石に14階から落ちて軽い骨折で済んだなんて事はないだろう。

 

 アノマリーじゃあるまいし…。

 

「でも、実際に会ってみると、すごく優しくて親切な方で安心しました。授業でも評判良いですし、生徒達からも好かれてる様で……力仕事でもすごく助かってますし、理事長の言っていた通り、素敵な方が来てくれて私達も嬉しいです。OBとしても、安心して生徒達を任せられますから」

 

「桑田先生の様に、こちらを理解してくれる方が居たおかげですよ。そういえば……桑田先生は2年生の担任でしたか?」

 

「はい。今年から高等部2年のクラス担任です。去年この学校に来た時は1年生の副担任で、その頃から歴史を教えていたんですけど、やっぱり女子って歴史が嫌いな子が多くて…」

 

優璃音は苦笑しながら話す。

 

「授業中、『元寇』の知られざる裏話とかしても全然食い付いてこないし、皆んな若さにかまけて呑気な顔してるし……こっちは彼氏いない歴=年齢で今年24になるっていうのにッ…」

 

「え…?」

 

なんだか途中から話が変な方向に向かった。

 

「あの子達みんなして『先生よりは若いから大丈夫』なんて余裕そうにして……こっちは宮女を卒業してから男の気配なんてカケラもなくて、しかも他校で彼氏作ってるのは聞いてもいないのに惚気話とか聞かされるし、久しぶりに友人達と会っても私が知らない間に彼氏作って惚気られてッ……職場でもプライベートでも私だけがひたすら孤独に歳をとっていくという現実をどいつもこいつもッ……!」

 

「あ、これからコーヒー買ってくるんで、桑田先生の分も買ってきますね…」

 

 何やらただならぬ雰囲気を感じた理雄は、適当な芝居文句を言ってそそくさとその場から退散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校内の一階にて、廊下の端に設置されている自販機で缶コーヒーを2つ購入する。

 

 熱い缶を両手に持って戻ろうとすると、携帯から着信音が入る。仕事用の方だ。

 

 両手のコーヒーを自販機の上に置くと、通話に出る。今は授業中なので、この辺りに人気はない。通話を聞かれる心配はないだろう。

 

「------もしもし?」

 

『理雄か?急にすまん』

 

「天城さん?」

 

 通話相手は、戦闘員として自分が最も尊敬している人物でる天城英牙だった。こうして言葉を交わすのは、先週のサイト-8156にて、『セカイ』と呼ばれる異常空間に突如として飲み込まれ、そこでIAと接触した時以来だった。

 

「緊急の要件ですか?」

 

『いや、そういう訳じゃないが、財団関係の話だから仕事用携帯でかけた』

 

「…というと?」

 

『----------俺達の一時帰還が許された』

 

 その瞬間、理雄は思わず声を上げそうになった。

 

「き、帰還ッ?つまり……元の世界に…?」

 

「そういう事だ。しばらくの間、この世界での任務はロメオチームと交代する。ジュリエットにはもう少し休養が必要と判断されたんだ』

 

「……つい最近、ロメオが来れる様になったばかりなのに、もう…?」

 

正直、信じられなかった。この世界に来てから1ヶ月……こんなに早く元の世界に帰れる日が来るとは…。

 

『財団の技術屋も相当酷使されたんだろうな……ま、おかげで早く家に帰れる訳だ。仕事をやり残して帰るのは気持ち悪いが、すぐにまたこっちに戻れる。今はしっかり休んで、全員でジュリエットを復活させるぞ』

 

「…了」

 

英牙との通話を終え、理雄は暫くその場に立ち尽くす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………俺は、またあの世界に戻るのか…。

 

 

 

 故郷に帰れるにも拘らず、志熊理雄の瞳は渇き果てていた。

 





 どうも皆さん。お疲れ様です唯尊です。

 さて、いよいよ今年も残り僅かとなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

 突然ですがここで、新作発表を行います!!

 忘れている方も居ると思いますが、今年の夏に発表した本作と共通の世界観を持つオリジナル作品の話です。

 理雄達の生まれた世界がどんな物か………まずは新作予告をご覧下さい!!



【新作予告】

 元の世界に帰還した理雄たちジュリエットチーム。

 そこで耳にしたのは、O5達からの衝撃の事実だった------!!

O5の皆様『この度、我々が100年以上に渡って異常存在から守ってきたこの世界ですが、最近、『よく分からない素敵な事』が起き、世界中から全てのアノマリーが消滅しました。ジュリエットチームが派遣された世界からも消滅しました。"不死の首飾り"で生きながらえていたブライト博士も蒸発しました。よって、本日をもちまして、我々SCP財団は解散する運びとなりました。つきましては、日々、献身的に人類の為に職務に当たっていた全財団職員の皆様、我々O5は貴方達に心から感謝すると共に、今日付けで全員を解雇とさせて頂きます。今までご苦労様でした------』



ジュリエットチーム『…………………………』


主人公、志熊理雄------------失・業!!


 その後、財団の転職支援で教員免許を短期で取得した理雄は、何故か一歌達の世界で宮女の正規教員となったが、今まで生命をかけて参加してきた過酷な任務の日々も、強敵から一歌達を守るという覚悟と決意も、全部まとめて退職時の記憶処理で忘れ果てた理雄は廃人と化していた------。

 やりたい事も夢中になれる事もなく、毎日を無気力に生きる日々…。

 そんな彼にチャンスと言わんばかりに次々とアタックを仕掛ける少女達の、熱く青い戦いが始まった------!!


「"アイポッド"(リス)は可愛いな……ほら、今日のエサだ…」

枯れた目で校庭の木に住むリスの世話が唯一の娯楽……志熊理雄(23)

「大丈夫ですよ理雄先生!先生の為に…私の声を届けます!!」

焼きそばパン中毒者にしてミク廃……星乃一歌(16)

「理雄先生の心を震わせる……そんな音を奏でてみせる!!」

ベースの鬼にしてツンデレ狼少女……日野森志歩(16)

「理雄先生を笑顔にできる様な…アイドルになるッ!!」

とにかく運がない鋼のメンタルタフネス……花里みのり(16)

「てめぇ理雄!俺のハーレム計画台無しにしやがってッ」

性犯罪の前歴持ちにして指名手配中---------宮崎信孝(27)

「クレフ!コンドラキ!どこに行ったッ?やる事ないし司でまた遊ぶぞ!今度は司をミミズ人間(文字通り)にするんだ!!」

何故かブライトの魂が宿った女……朝日奈まふゆ(17)

「誰かー!!このイカれた女を止めてくれぇぇぇぇぇぇッ!!」

 趣味の悪い拘束具に繋がれた自称スター……天馬司(17)

 アノマリーが居なくなったセカイで、カオスとキャラ崩壊が引き起こす史上最低の恋愛群青劇------------ここに開幕ッ!!

『プロ€せかっ!』

2026年1月……ハーメルンにて連載開始ッ!















 嘘です、ごめんなさい。

 ですが、新作は来年ちゃんと出します。是非ご期待下さい。

 ------という訳で!少し早めですが、皆さんよいお年を!!

 来年もまた、本作と新作の応援よろしくお願い致します。

 皆様の人生に、神と精霊の祝福があります様に------。

------唯尊。
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