ちゃんとアプリでアイちゃん達を探そうね。
アプリ内でのアイちゃんの誕生日ネタ?があります。
気になる人は先にウマ娘を開いてアイちゃんの誕生日の会話を見てから読んでください。
アーモンドアイのメイクデビューから数日が経った。あの日はライブを見てなんだかんだでうちの愛バは可愛いなんて思いつつ新潟レース場を出た。
次の日の朝は約束していたオッチャホイやタレかつ丼をシェアしつつ食べ終え、トレセン学園へと戻った。
……今更だけど、ご飯や甘味は食べさせ過ぎると太り気味になるからね。多くの種類を食べたいなら一人前ずつ食べさせるより、シェアさせて半分の量にしたほうがいい。おかげで俺の腹は死んだ。
そして今、アーモンドアイは超過したカロリーを消費するために、それなりにキツイメニューをこなしている最中だ。
「……」
「……」
「よし、もう一本行ってこい」
「き、きつい……わ」
「大丈夫だ。まだいける」
しっかりとステータスを見つつギリギリのラインを攻めている。もちろんセーフティゾーンを見極めた上でだ。
「流石に調子に乗って食べ過ぎたからな。今からしぼれよー」
「こ、こんな事なら、あの誘惑に、負けるんじゃなかったわ」
「太り気味になってたらこれどころじゃないけどなぁ。ほら、始めるぞ」
「うぅー!もう!行くわよ!!」
「よしきた」
また走っていくアーモンドアイを見つめる。
なんだかんだで走る時には目の色が変わるというか、走ることに対して真剣なのが伝わってくる。
とはいえ、課題は多い。
スタートをしても出遅れないようにゲートの練習だったり、備わったスキルを十全に扱えるようにする体力をつける必要があったり。
他にもレースセンスや緊張への対処など、あげていけばキリがない。
だがこの子なら全て乗り越えられることだ。
負けたことはもちろん悔しい。
だが、あの一度のレースで多くのことを発見し、体験し、飲み込んだ今なら……。
「事実、数日の間に結果が出てきている。次は勝てる。大丈夫」
「おう。どうだ?」
「ん?六平さん」
「よう」
六平さんが話しかけてきた。
横に並んでくる六平さんに目を向けるのをやめ、アーモンドアイに目を向けつつ話を続ける。
「見たぞレース。とんでもないウマ娘に目をつけたもんだな」
「ですね。ほんとに」
まさに豪脚。
お前は24年の年度代表馬か?って思えたぐらいには上がりの速度が出ていた。少しだけ大袈裟ではあるが、それでもあの馬に届きそうなぐらいの速度は出ていたのだ。
あとから記録見た時は驚きでしばらく固まってしまったのを思い出す。
「この子が出るティアラ路線では三冠をもらいますから」
「もう宣言か?気が早いんじゃないか?」
「逆にできないと思いますか?まだ勝利は掴んでませんが、次は勝ちますし」
目の前をアイが通過する。
タイムを見るが変に落ちる事もなく、俺が要求したものが出ていて安心した。
「俺たちはもう、負けるつもりはありませんから」
「へぇ?ならいつか、俺のところの子達とも競ってほしいもんだな」
「えぇ。その時はよろしくお願いします。負けた後のケアも考えておいてくださいね?」
「はっはっはっ!言うようになったなあ!……そんで?見ている限りじゃレース後とは思えないほどの練習量だが……何か意味はあるのか?」
「ちょっと絞らせてます。……あの子はちょっと爪が弱いんでそのための栄養素を摂らせてるんですが……ウマ娘は食う量もそれなりに多いですからね。本来食べるはずのもの以外も食べれば必要な量を超過しますから」
機嫌を保つために食べさせた部分もあるが、流石に甘くしすぎてしまった。止められなかった俺も悪いが、ここはしっかりと頑張ってもらわなければならないのだ。
「なるほどなぁ。それがこの間腹痛で休んだ理由か?」
「うぐっ!……仕事できなくなるほどの腹痛とか初めてでした……」
「聞いた時は笑ったぞ」
「忘れてください……」
六平さんに揶揄われていると、息が上がり限界のアイが戻ってきた。
「と、トレーナー?もう流石に終わりでいいわよね……」
「あぁ、いいぞ」
アイをベンチに座らせて、いつもと同じようにケアを始める。それを見ていた六平さんがまたも話をしてきた。
「おめぇさん。また余計な事言われてるみたいだが、大丈夫か?」
「まぁ、言わせておけば「心配ないわ」ん?」
「次勝てばなくなる噂だもの。わたしがきっちりと払拭すればいいの」
「ほぅ?頼りになるウマ娘じゃねぇか。トレーナー孝行ができるウマ娘でよかったな」
「……そっすね。ありがたいですよ」
噂。
それは俺の事で、アーモンドアイを勝たせられなかったトレーナーだと言われているらしい。
アーモンドアイのあの劇的な末脚を見た者達の反応。それは俺たちが想像していたよりもずっと大きなものとなっていた。
単純にアーモンドアイのこれからを応援するファンの声。それだけならまだいいのだ。
問題は能力のあるウマ娘に乗っかった新人トレーナーに任せていいわけがないという事。欧州での俺の評価なんて関係ない。騒いでいる人たちの中にはそこまで詳しく知っている人間なんてほとんどいないのだ。
「わたしのトレーナーがあまりバ鹿にされるのも嫌よ?だから次は勝ちますし、その次も、次も、ずっとわたしは勝者であり続ける」
「……」
「……こりゃ、本当にいいウマ娘を拾ったな」
「だから、そんなバ鹿みたいな噂なんて聞いちゃダメだからね?トレーナー」
「はいはい。ありがとうよ」
そういうとご機嫌になるアーモンドアイ。
……ほんと、六平さんがいう通り、いい子を拾えた。いや、出会えたと思うよ。
だからこそ、応えなければならない。
「なら、次だな」
「へ?」
「室内でウェイトトレーニングだ。スペシャリスト達も呼んでるぞ」
「へ?え?」
「そんなコネがあったのか?」
「えぇ、たまたま会ってぜひ手伝わせてくれと言ってくれたので甘えてみました」
「は?わたしのトレーナーが?甘えた?誰に?」
誰にって……?
あぁ、俺に声をかけた人か?
「ジェンティルドンナがな」
「あ……アイ、ちょっと用事があるのよね」
「逃げられませんわよ?」
「ひっ!?」
ビクリと跳ね上がるアーモンドアイ。
俺は声の方向を見るためにアーモンドアイの後ろを見たのだが、そこにはジェンティルドンナがいた。どうやら約束の時間になったようで迎えにきたようだ。
「と、トレーナー?いつもなら喜んで行くところだけど、さすがのアイも今日はちょっとだけ、ちょーっとだけしんどいかなぁ?なんて」
「あら?そうですの?なら天川トレーナーは空くのね?私のトレーニングでも「それはダメです!行きます!」えぇ、そう来なくては」
立ち上がったアイがジェンティルドンナと一緒にコースを出ていく。……そんなに耳を絞らんでもいいと思うのだが。ちなみに後は黒沼トレーナーとミホノブルボン。あとメジロライアンもいます。
「怪我だけはさせるなよ?」
「もちろんです。そこは見極めますし、俺の全てを尽くしてやり遂げます」
「そうか。まぁ、頑張って支えてやれよ」
「はい」
俺はそう言って先にトレーニング室へと向かった二人を追いかけるのだった。
「うぅぅぅ……」
がっっっつりと追い込まれてアイの体力は限界に近くなったらしい。俺の目から見てもこれ以上はやる意味が無いし、危ないから切り上げた。
というか、友情……あの気迫で友情と言っていいのかは謎だが、友情?トレーニングはすごいな。いつもよりも負けん気を出していたからか、アイの体力の減りが少なくなり、より濃いメニューをこなせていたのだ。
濃いメニューになる代わりに疲労度は上がるから多用はできないのが残念だ。
「頑張ったな」
「もう、限界、よ。これ以上は、無理ぃ〜……」
「安心していいよ。今日はもうしない。明日も軽めで流して終わりだ」
「……本当に?」
「あぁ、ゆっくりと回復に努めてくれ」
ウマ娘用のドリンクを作りながらアイと話をする。
そして出来上がったそれを飲まし、その間にカバンの中を漁って頑張ったご褒美を取り出す。
普通のトレーニングならともかく、体を絞る目的の方が重要だったからきつめだったしな。アイのモチベーションを下げるわけにはいかなかったのだ。
だからこそ前もって用意しておいて良かった。
「ほれ。これやるから今夜は少しでもリラックスするといいさ」
「え?こ、これ!」
「よくは知らんかったがいいやつらしいな。たまたま手に入ったからやるよ」
取り出したのはバスボム。
……この世界、ウマ娘のことになると頭のおかしい奴ってのは一定数いるのだ。ウマ娘のためにってのが色々と存在しすぎていて、トレーナーをしている俺にでもわからないような店が存在していたりする。
とはいえ、これはそれなりに有名らしい。
なんでもウマ娘の疲労すらもスッキリととってくれる優れものとかなんとか。
俺に縁がなさすぎただけで、色々と調べているとウマ娘……女の子にとっては知っていて当たり前の物のようだった……もっと、情報通にならんとなぁ。
「い、いいの!?これ、ちょっと前に発売された限定品でわたしも買えなかったやつよ!?」
「なら運が良かったんだな」
アイはお風呂が好きらしい。
それはこの数ヶ月間の間で知ったことの一つ。
アイが頑張った時のご褒美にでもなればと思い、たまに人気な店のチェックはしていたのだ。そしたらタイミングよく限定品が出るというではないか。
ならば買いに行ってみるか〜なんて軽い気持ちで行ってみた。学生として勉強があるウマ娘とは違い、俺は時間を作ろうと思えば作れるのだ。
「ほんと、うんがよかった……」
あの日のことを思い出すと、疲れのあまり言葉に力がなくなる。
あんなに人気なの?おかしくない?これただの入浴剤なんでしょ?ちょっと高いけどさ……。
あの時、少しだけ早く学園を出ることができ、やる事もないしと思い開店に合わせて店に向かった。
そこには思っている以上の人たちがいた。
俺も急いでそこに向かったのだが店の前にいる人たちの勢いに飲み込まれる俺。
もみくちゃにされる恐怖心で身を固くしたのだがトレーナーとして担当愛バへの想いなのか、無事商品は掴んでいたのだ。
レジに行った俺はボロボロだった。
担当愛バの為ならほとんど記憶はなくとも目的は達成できるらしい。俺も頭がおかしい奴らの一員だったのだと感じたものだ。
「ウマ娘にも効くほどの効果があるらしいぞ?リラックスして疲労も取れるとか。……体に影響ないよね?やっぱやめとく?薬効が強すぎて怖くない?」
「大丈夫よ!ありがとうトレーナー!大切に使うわね」
心配の必要なさそうなほどの元気な声。
だが元気なのは声だけ。俺の視界には満身創痍でボロボロなアイがいる。……うん、多少回復効果が強くても問題なさそうだな!!
今日のお風呂が楽しみだと言っているアイを見てそう思った。
日々トレーニング。
あれからアイのステータスも成長し、メイクデビューの頃よりも強くなった。それに今日はアイ自身の毛艶もいいし、顔色もよく調子も絶好調。
「出遅れ癖は直ってないけどなぁ」
「うっ!!」
「まぁ、いつも言ってるけど問題ないよ。その末脚で差し切れば多少の出遅れても何かいうことなんてないさ」
「ゲートの中だとソワソワしちゃうっていうか、落ち着かないっていうか……でもいつか直さないとね。わたしの課題の一つだわ」
「そうだな。これからも頑張っていこう」
ただの練習でもその癖が出るのだ。
実際アイのステータスには出遅れ癖がついてしまっている。こればっかりは練習を重ねて慣れていくしかない。
……ゲートも無しの用意スタートなら問題ないんだけどなぁ。保健室いって速攻で治る能力が欲しい。
っと、それは今は置いておこう。
「暑さもだいぶマシになってきたな」
10月。
アーモンドアイが未勝利戦を走った季節と同じころに、俺とアイは東京レース場にやってきていた。
そう。未勝利戦を勝ちに来たのだ。
今回のレースはあの日よりも距離を伸ばし、1600メートル。いくつかの予備登録をしていたが、上手いこといい条件に入れて良かった。他ならもう少し考えておかないといけなかったところだ。
「……ふー」
「ふふふ」
「ん?どうかしたか?」
「なんでもないわ。ただ、そんなに緊張しなくてもいいのにって」
「……まぁ、そうだな」
能力的には勝てる。
今のアーモンドアイには不安点はあっても、それを帳消しにできるほどのスキルもある。心配なんてしなくてもいい。……けれど。
「トレーナーとしては無事に戻ってきてほしいからな。勝ってくれる安心感はあっても、そのほかに不安はあったりするんだよ」
「そう?でも安心して」
アーモンドアイに目を向ける。
キラキラと輝く瞳が俺を撃ち抜いた。
「貴方とわたしに勝利を。それだけを持ってまたここに戻ってくるわ」
「……ははっ。頼りになるなぁうちの愛バは」
「なっ!?」
真っ赤になってて面白い。
それだけ信頼関係が築けてきたのだろう。
緊張も程よく、前のように無駄な力も入っていないように感じる。
「アイ」
「な、なに?」
「勝ってこい。一番前で見てるから」
「えぇ、もちろん勝ってくるわ。だから誰よりも私の一番を見ていてね」
俺はアイを、アーモンドアイを送り出す。
舞台は東京レース場、第二レース。
勝ちに行こう。
まだWIN4で止まった傷が癒えない。辛い。
さて、ここからですね。
難しいけど頑張りますので温かい目で見守っていただければと思います。