最終回の倉庫でキラとニアのゾンビ籠城ライフ   作:ルーシー統括主任

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Episode.2 未解決の対立と未来

 

 

YB倉庫での籠城生活は続き、夜神月とニアの対立は一時棚上げされたものの、完全には消えなかった。外のゾンビがいつ収まるのか、誰も分からない。だが、この異常事態の中で、それぞれの思惑が交錯し、新たなドラマが始まろうとしていた。

 

夜神月はデスノートを取り戻す瞬間を待ちつつ、内心で呟いた。「この世界がゾンビに支配されても、僕が新たな秩序を作る。」

 

倉庫の中は、生存と対立、そして微かな希望が混在する空間として、静かに時を刻み続けていた。

 

 

 

YB倉庫での籠城生活が数週間続いたある日、SPKのジェバンニが倉庫の片隅にあった古いラジオを一晩で修理し、電波を受信することに成功した。一同が集まり、ノイズ混じりの放送に耳を傾けた。

 

「こちらはサクラテレビ緊急放送…現在、人類の9割がゾンビによる感染で淘汰されたと推定されます。生存者はわずかで、都市は壊滅状態です…」

 

その言葉に、倉庫内が静まり返った。松田が震える声で呟いた。

 

「9割…?じゃあ、外に生きてる人はほとんどいないってことか…」

 

夜神月はベッドに座ったまま、ラジオを見つめていた。彼の頭はフル回転していたが、その表情は次第に暗くなっていった。「人類の9割が死亡だと...。デスノートがあっても…人がいないんじゃ新世界の神とかの話じゃない...。」彼は立ち上がり、深呼吸した後、衝撃的な告白を口にした。

 

「僕がキラだ。ニアの言う通り、僕はデスノートを使って犯罪者を裁いてきた。でも…こんな世界じゃ、もう意味がない。全て話すよ。」

 

その言葉に、倉庫内が再び凍りついた。魅上照が目を丸くし、叫んだ。

「神!諦めるなんて…そんな…!」

 

彼は膝をつき、信じられない思いで夜神月を見つめた。

 

ニアは夜神月の告白に驚きつつも、冷静に彼を見つめた。

 

「夜神月、あなたが簡単に諦めるとは思いませんでした。キラとしての野望がそんな脆いものだったとは。ですが諦めたところで終わりじゃない。今の状況が収まれば、生き残った我々の中で法廷を設け、あなたを裁く必要がある。」

 

その言葉に、夜神月は力なく笑った。

 

「法廷か…生き残りが何人いるかも分からないのに?無意味だよ、ニア。」

 

彼の声には疲れが滲み、かつての自信は影を潜めていた。松田が困惑しながら口を挟んだ。

 

「月くんがキラだって認めたのに…まだ裁くの?もういいじゃないか、こんな世界になったのに…」

 

ニアは鋭く松田を睨み、言った。

 

「正義は状況で変わらない。キラの罪は消えません、松田さん。」

 

一方、魅上照は茫然と立ち尽くし、「キラ様が諦めるなんて…私の信仰は…」と呟き続けた。リュークはリンゴをかじりながら、「お前が諦めるなんて珍しいな、夜神月。面白くなってきたぞ」と笑った。

 

夜神月の諦めた姿を見たハル・リドナーは、複雑な感情に苛まれていた。やはり人間はイレギュラーで且つ生命の危機に脅かされる日々が続くと異常行動を起こすものだ。

かつてはキラを追い詰めるSPKの一員として戦ってきた彼女だが、傷心し、力を失った夜神月にどこか惹かれ始めていた。ある夜、彼女は夜神月に近づき、小声で話しかけた。

 

「夜神月…あなたがキラでも、もう戦う気がないなら、私には関係ないよ。私…あなたのそんな弱いところ、嫌いじゃない。」

 

夜神月は驚いて彼女を見たが、すぐに目を逸らし、呟いた。

 

「お前、何のつもりだ…僕に同情でもしてるのか?」

 

彼女は首を振って微笑んだ。

「同情じゃないよ。あなたがキラでも、人間なんだって分かっただけ。」

 

その言葉に、夜神月は言葉を失った。彼の心に微かな波紋が広がったが、彼はそれを押し殺し、「無駄な感情だ」と呟いた。しかし、ハルリドナーの視線は彼から離れなかった。

 

松田がそのやり取りを遠くから見て、「何!?ハルリドナーが月と…?」と呟いたが、すぐに相沢に「黙れ」と一喝された。

 

一方、相沢、茂木、伊出とSPKのレスター、ジェバンニは、倉庫の床下に隠し扉があるのを発見した。慎重に開けると、そこには倉庫の倍以上の物資が眠っていた。食料、飲料水、医療品、燃料、そして衣類や簡易発電機まで。相沢が目を輝かせて叫んだ。

 

「これだ!これがあればあと10年は持ちこたえられる!」

 

レスターが笑顔で頷き、「運が良かったな。この倉庫、ただの倉庫じゃないみたいだ」と呟いた。ジェバンニは物資を一つ一つ確認し、「生存の可能性がぐっと上がった」と冷静に分析した。

 

一同に報告すると、倉庫内が久しぶりに活気づいた。魅上照は「キラ様の運命が導いた物資だ」と呟き、夜神月をチラリと見た。夜神月は無表情で、「偶然だよ」とだけ言ったが、内心では「これがあれば、まだ何かできるかも…」と考え直し始めていた。

 

ニアは物資を見ながら、「これで時間を稼げる。ゾンビが収まるのを待つ間に、夜神月の裁きを準備できる」と計画を練り直した。

 

 

しかし、松田はこの状況でも役に立てなかった。物資の仕分けを手伝おうとして缶詰を落とし、シャッターの補強をしようとして工具を壊し、ハル・リドナーに「何かできることない?」と聞くと「邪魔しないで」と冷たく返された。彼はベッドに座り、頭を抱えて呟いた。

 

「何やってもダメだ…俺、ゾンビより役立たずかも…」

 

その姿に、相沢が呆れながらも肩を叩いた。「お前はそれでいいよ。生きてるだけで十分だ。」

 

夜神月はそんな松田を見て、微かに笑った。「松田のバカ」と呟きつつ、ハル・リドナーの視線を感じて目を逸らした。彼の心は諦めと僅かな希望の間で揺れていた。

 

魅上照は夜神月の側に寄り、「キラ様、諦めても私は信じています」と呟いたが、夜神月は返事をしなかった。リュークはリンゴを放り投げながら、「人間って面白いな。この状況でもまだ諦めきれてない奴もいるしな」と笑った。

 

倉庫内は、新たな物資による希望と、キラを巡る対立、そして個々の感情が交錯する場となった。ゾンビが外で唸り続ける中、YB倉庫の生存者たちはそれぞれの道を模索し始めた。夜神月の「新世界の神」への夢は消えたかに見えたが、彼の心にはまだ小さな火種が残っていた。そして、その火種が再び燃え上がるのか、それとも完全に消えるのかは、まだ誰にも分からない。

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